映画「悪霊島」あらすじと感想【ネタバレあり】何もかもレット・イット・ビー
鹿賀丈史さんが金田一耕助を演じる横溝正史作品です。
篠田正浩監督がメガホンを取り、監督夫人の岩下志麻さんをはじめ、古尾谷雅人さん、室田日出夫さん、伊丹十三さんなど豪華なキャストが揃います。
他作品 (本陣殺人事件) で金田一を演じた中尾彬さんも出演。
そして岸本加世子さんが一人二役を演じました。
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あらすじ
1969年。広島。
ヒッピーの青年・三津木五郎は、電車の中でバタバタしている不審な男と出会った。
持っていた切符を失くしたらしい男に、最初からキセル乗車のつもりの三津木は、降車駅で一緒に駅員から逃げるよう促した。
駅員を撒いて共に刑部島行きのフェリー乗り場に着くと、そこには警察がいてものものしい雰囲気が漂っている。
その現場にいた磯川警部は、三津木の連れの男に親し気に声をかけた。
男が金田一耕助だと知って三津木は驚く。
金田一は刑部島出身の億万長者・越智竜平の依頼で、青木という人物を探すためにやってきたのだ。
しかしその青木こそ、ここに警察を集めた原因になっている。
彼は刑部島の崖から転落し、このフェリー乗り場に上げられたが「あの島には悪霊が住んでいる。鵺の鳴く夜は気を付けろ」と言い残して息を引き取ったのだ。
参ったな、と頭を搔く金田一に、磯川は自分の事件を手伝ってほしいと申し出る。
実は磯川は、別件で広島に来ており、それでたまたまこの現場にも駆り出されていたのだ。
磯川は数日前に浅井はるという面識のない老婆から手紙を受け取っていたが、出張中であったため手紙を読んだのは届いてから一週間後のことだった。
その間にはるは殺されていた。
祈禱師や産婆などをしていた彼女は大勢の秘密を知っている。
その中で24年前の出来事が、いま自分に恐ろしい形で降りかかってくる、と恐れて磯川に手紙を書いていたのだった。
フェリー乗り場で再び三津木と一緒になった金田一は、刑部島に向かう。
島では大きな祭りがあるため、その参加者たちとも同乗である。
宿に行き、宿帳を盗み見て青木の名前を確認する。
そのことを宿の経営者で島の実力者・刑部大膳に指摘されてバツの悪い思いをした。
島内を見て回り、神主の刑部守衛の家まで来ると、彼の美しい妻・巴と双子の娘たち真帆と片帆の写真を撮っている三津木を見つける。
そして金田一たちを警戒するよう見つめる越智吉太郎の存在に気が付いた。
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感想
ずっと石坂版金田一で、昭和20年代の舞台設定に見慣れていたから、昭和40年代の鹿賀版金田一に違和感持ちそう、と構えていましたが、案外すんなり受け入れられました。
コミカルな面も含めて、ちゃんと金田一シリーズのカラーになっています。
事件の猟奇ぶりも変わりません。
この島に着いてからの犠牲者はふたり。
まずお祭りの最中に守衛が、巨大な矢で射貫かれました。
その後本土から来ていた青年とデートしていた片帆が殺されます。
片帆は扼殺ですが、野犬に食い荒らされて、なかなかにグロい死体になってます。
めちゃ綺麗なピンク色してましたけど。
この二件の殺人で容疑者に上がったのが、巴の双子の姉ふぶき。
最初に容疑をかけられた三津木の証言からです。
貞淑な巴とは正反対の男狂い、とのことですが、実は巴の別人格。
自分のお股を押える岩下志麻さんの姿にビックリしました。
監督、奥さんだからってやりたい放題 (￣▽￣)
で、こういう二重人格とか出てきちゃうと自然と犯人分かっちゃうわけで。
そもそも金田一シリーズの犯人は基本ベテラン○優ですから。
岩下さんの怪演が光ります。
この映画、ジョン・レノン暗殺のニュースを見た三津木が12年前の事件を回想する、という形をとっているので、ここでまず三津木は容疑者から外れますしね。
この冒頭シーンにあやかって、ビートルズの楽曲「レット・イット・ビー」と「ゲット・バック」が使用されています。
特にラストでは「レット・イット・ビー」フルで流れて雰囲気を盛り上げました。
双子も (この島の因習では忌み嫌われている)
二重人格も (ふぶきの人格は大膳たちが必死に隠している)
シャム双生児も (巴が死産した竜平との子供・ミイラとして地下の祭壇に祀られている)
私生児も (巴と竜平の子で里子に出されていた。浅井はるはこの子を取り上げたことが殺害される原因になった)
全部、隠したり忌み嫌ったりせず「あるがままに」受け入れていれば悲劇には至らなかったのかも、 というメッセージだったのかな？ と推察します。
(ただの制作者側の好みだったりして)
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