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映画「疑惑」あらすじと感想【ネタバレあり】“別れのワイン” はぶっかけ合い

2024/01/08
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

松本清張先生の原作を野村芳太郎監督で映画化した法廷サスペンスです。

夫殺しの疑惑を一身に受ける毒婦を桃井かおりさん、彼女の弁護を引き受けた国選弁護人を岩下志麻さんが演じます。

同じ陣営でありながら敵同士のように火花をバチバチ散らす女の戦いは見ものです。

柄本明さんや鹿賀丈史さん、小林稔侍さんなど脇役も豪華。

演技派女優ふたりの華をより際立たせています。

疑惑

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あらすじ

富山県にある埠頭から、男女ふたりが乗った一台の車が海に落ちた。

車に乗っていた女性は自力で脱出して救助される。

その女性が、地元でも有名な名家・白河酒造の現当主・福太郎の後妻・球麿子と分かり、警察は色めき立つ。

警察と内通している北陸新聞の記者・秋谷も同様だった。

何しろ暴行・恐喝など前科4犯あり、金目当てで大富豪の後妻に入り込んだ毒婦だと評判の女である。

秋谷もさっそく彼女の旧姓・鬼塚を使って「鬼クマ」とあだ名をつけて新聞に悪評を書き立てた。

運転していたのは球麿子で、3億1千万もの保険金が目当てで福太郎を殺したのだという風評が広がっていた。

しかし球麿子は、運転していたのは福太郎のほうであったとして、一貫して無実を主張した。

白河家の顧問弁護士を雇い、勝訴に自信を見せる球麿子だったが、状況証拠が揃いすぎるため拘置所に入れられる。

しかも顧問弁護士は旗色の悪いこの裁判に尻込みして、初公判の開廷直後に弁護を下りてしまった

悪評がひどい球麿子に、国選弁護人選びは難航した。

しかし最終的に、民事専門だった佐原律子弁護士が球麿子の担当につく。

互いに相容れないタイプではあるが、律子は真実を追求するため奮闘する。

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感想

実は観るのは3度目なのですが、やっぱり何度観ても面白い!

法廷サスペンスの傑作です。

次々と現れる証人に、いちいち食って掛かる球麿子に手を焼きながらも、律子は冷静な反証をして裁判を有利に進めていきます。

このあたりのやり取りが、どれもテンポが良く見ごたえがあるんですよね~。

サックサク進む♪

だから途中でダレることがない。

そこに、主演女優ふたりの圧倒的な演技がプラス。

岩下さんも桃井さんも、すごくカッコいいんです。

反目している間柄なので、互いに睨み合って「舐められてたまるか」という気持ちがヒシヒシ伝わります。

それでも死刑を免れるために律子を頼るしかない球麿子、球麿子を信用しているわけではないけれど真実のみを見ようとする律子。

ユニークなタッグの組み方なのでバディではないのですが、この大人の女性同士の関係、観ていて面白いです。

 

この作品、法廷サスペンスの中に、マスコミの在り方も問題提起しています。

当時は、芸能人や話題の人物にマスコミが張り付いて、進路妨害をするかのようにマイクやカメラを向けていました。

この映画にも随所にそういうシーンが入れられています。

柄本明さん演じる秋元は、そのマスゴミの象徴的人物に描かれていて、ウソをでっち上げて風評被害をバラまいて球麿子を追い詰めます。

秋元に乗っかってさらに窮地に追い込むのが、球麿子の元カレ・豊崎勝雄

インタビューされるのが嬉しくて、サービス精神から球麿子がやっていないことまで秋元の誘導により彼女がしたことにしてしまうドアホ。

律子にツッコまれると「だって、話きいているうちに、そうかもな~、って思っちゃったんだもん」と答えます。

この「人をだんだんその気にさせる、信じ込ませる」というのが悪徳新聞屋のやり口なんですよね。

マスコミが冤罪を作った、というのは実際にあることです。

今はマスコミによる世論誘導も、一般の人たちもだんだん分かってきて乗せられにくくなってきていますが、この映画の当時はまだまだ…

新聞などが書き立てていることを、むやみに鵜呑みにしないように促している面がある作品です。

最後に球麿子は無罪となりましたが、悪し様に書いていた手前、無実でも彼女は毒婦だと、悪あがきのように書いていました。

秋元も「あんな女が無罪なんて納得いかない」と律子に宣戦布告します。

このしつこさたるや…

確かに球麿子はひどい女です。

冷酷で強欲で狂暴ですが、間違ったことは言っていないんですよね (;´∀`)

身近にいたら嫌いになるとは思うけど、無罪判決はスカッとしました。

観ている側に嫌われるか嫌われないかギリギリのキャラクターに仕上げたのはすごいと思います。

ラストの律子とのワインぶっかけ合いも、なぜか二人ともカッコよくて、後味の良い締め方でした。

でも顔を合わせたのはこれで最後だから… 「別れのワイン」

コロンボ屈指の名作タイトルに偶然にも一致しましたが、ぶっかけ合いになるところが、この人たちらしいです。

 

 

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