映画「バニラ・スカイ」あらすじと感想【ネタバレあり】漂う雲のような掴みどころのない映画
2001年公開。
スペイン映画「オープン・ユア・アイズ」を観たトム・クルーズが、自らリメイク権を手にして主演した作品です。
ヒロインをオリジナル版と同様、ペネロペ・クルスが演じ、本格的にハリウッド進出する足掛かりになりました。
主人公に冷たくあしらわれる女性をキャメロン・ディアス。
他にカート・ラッセルやティルダ・スウィントンなどが脇を固めました。
人気ドラマ「ビッグバン・セオリー」が始まる前のジョニー・ガレッキ (レナード役) も登場してます。
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あらすじ
大手出版社を亡き両親から引き継いで社長に就任している青年実業家のデヴィッド。
持ち株の51%を相続し、残り49%は7人の役員たちに配分されていた。
役員たちはデヴィッドを退任させ、彼の持ち株分も自分たちのものにしようと考えている。
デヴィッドは彼らのその狙いが分かっていた。
それでも彼は強気だった。
自分は若くて見た目も良く、仕事も順調でお金もある。
当然モテるし適当に遊べる女友達もいた。
すべてに恵まれている自分は、人類が滅んでも自分だけは生き残れる、とデヴィッドは思っている。
その頃は夢の中で夢を見ていたり、妙にリアリティがあったりして夢と現実の狭間が分かりにくくなっていた。
今、ラテックスのマスクで顔を覆い、囚人服を着ているデヴィッドは、精神科医のマッケイブに当時を思い起こしている。
デヴィッドの誕生日パーティーに、友人のブライアンが連れてきたソフィアという女性に一目惚れをした。
ソフィアもまたデヴィッドに惹かれているように見える。
いい雰囲気なのだが、セフレのジュリーも招待していないのにやってきていた。
ジュリーは女のカンでソフィアを牽制しようとする。
しかしデヴィッドはお構いなしにソフィアの家にお邪魔した。
デヴィッドのアプローチをソフィアは煽りながらも巧みに躱し、一晩一緒にいながら会話を楽しむだけでそういう関係にはならなかった。
もともと楽しみは後にとっておく性質のデヴィッドは満足していた。
翌朝、満たされた気持ちで外に出ると、ジュリーが車で待ち構えていた。
尾行されていたのだ。
ジュリーに促されて彼女の車に乗り会社に向かう。
車内で彼女は、自分のCDを雑誌で宣伝してほしい、とデヴィッドに売り込んで、何事もないように振舞う。
しかし、自分のことをブライアンにセフレだと言っていたことを昨夜知り、その上デヴィッドは今ソフィアに心を動かされていることに気づいたジュリーは、徐々に怒りを抑えられなくなってきた。
泣きながらデヴィッドを責め、自分を制御できなくなった彼女は、ハンドルを切って跨線橋の柵に激突し、そのまま車は高架下に墜落した。
その事故でジュリーは死に、デヴィッドは顔に大けがを負う。
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感想
この作品では何度か「人生には酸っぱさがあるから甘さも感じるんだ」というセリフが出てきます。
ラストでもデヴィッドはそう言って、ある決断を下しました。
酸いも甘いも嚙み分ける、というとなんか、年取ったなぁ…という印象で枯れた気分になってしまいますが (;^ω^)
人生の高低を経ていろんな感情を経験してこないと人間力は上がらない、という言葉なわけですよね。
噛み分けられるようになるには、その時その時の出来事とそれに付随する自身の感情や体験をしっかり噛みしめて味わうことだと思います。
デヴィッドは順風満帆の人生を謳歌していたところで、急転直下しました。
甘い味を知っている状態での苦い味に彼は一時、打ちのめされます。
そして逃げた先は、すべて自分の理想となる夢の世界だったわけですが、それは次第に悪夢に変化。
デヴィッドは辛いことがあっても現実世界がいい、と思うのです。
人って、理想を追い求めますよね。
あれが欲しい。これが欲しい。
ああなりたい。こうなりたい。
数え上げると切りがありません。
理想があるから、それを求めて努力をします。
何も苦労せず手に入ったらラッキーですが、それはそれで虚しくなるかもしれません。
理想を現実にするための努力は酸っぱいものです。
その過程での成功体験の積み重ねは甘いです。
失敗したり怒られたりしたら酸っぱいです。
褒められたり感謝されたら甘いです。
こうして酸いと甘いは交互にやってきて、人生に “充実感” という中身を与えていきます。
酸いも甘いも分からない人生は空っぽに思えます。
そんな人生を歩んだ人の中身も空っぽだと思ってしまいます。
人生も人間性も空っぽなんて、イヤだと思う人のほうが多いのではないでしょうか。
自分の理想通りの夢が悪夢に変わったことで、デヴィッドも本当は、何もせずとも理想を実現させた、という状態がイヤだったのかもしれません。
彼は理想を追うために苦労をする現実に戻ることに決めます。
そのほうが実現したときの甘美が増すことを知っているから。
理想を追って酸いも甘いも知ることで人生の充実度が違ってくるんだろうな、と感じます。
どこからが夢でどこまでが現実か。
観ていて分からなくて、ずっと地に足がつかないというか、掴みづらいというか。
フワフワした感覚になる作品でした。
ラストで説明されたのでモヤモヤはしなくて済みましたが。
こちら、監督はキャメロン・クロウなのですが、楽曲担当の中に彼の元妻でロックバンド「HEART」のヴォーカル&ギターのナンシー・ウイルソンがいました。
スタッフロールで名前が出て、懐かしさに声出して歓喜 (≧▽≦)
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