映画「グリーンマイル」あらすじと感想【ネタバレあり】能力者ゆえ死を望む
「ショーシャンクの空に」に続いてフランク・ダラボン監督がスティーブン・キング原作の小説を映画化した作品です。
前作同様、刑務所が舞台ですがこちらはファンタジー要素が加わっていてテイストが違っています。
主演はトム・ハンクス。
能力者である心優しい死刑囚をマイケル・クラーク・ダンカンが演じて、アカデミー助演男優賞にノミネートされました。
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あらすじ
ノースカロライナの老人ホームで余生を過ごしているポール・エッジコム。
毎朝長い散歩に出かけるのが日課になっている。
ある日、談話室のテレビから流れた古い映画「トップ・ハット」を観て泣き出して中座した彼を、友人のエレインが付き添った。
そしてポールは1935年の出来事を彼女に語る。
同州の刑務所で死刑囚監房の看守長だったポールは、尿路感染症に苦しんでいた。
囚人たちの面倒をみて、死刑の執行のたび入念なリハーサルを重ねて指揮を執る多忙な彼は、医者に通ってじっくりと治療に専念することができない。
加えて新人看守のパーシーが常に彼や他の看守たちを困らせていた。
冷酷で傲慢、注意力も不足している鼻つまみ者である。
知事夫人の甥である彼は、精神病院への転属を希望しているが、その前に死刑を見てみたいという残忍な欲望のためにここにやってきたのだ。
もうすぐひとりの刑が執行されるというときに、新たな囚人がやってきた。
ジョン・コーフィーという黒人の大男だ。
その体躯に圧倒されて警戒を強めるポールたちだったが、ジョンは大人しく従順だった。
しかし身上書を読むと、ジョンは幼い姉妹に対して強姦殺人を行ったと記述してある。
二人の亡骸を抱き寄せながら号泣し「間に合わなかった」と訴えていたという。
読んでいて胸の悪くなったポールに、刑務所長のハルが声をかけた。
ハルの妻メリンダは、脳腫瘍により日に日に衰弱していっている。
ポールは心配するが、どうすることもできなかった。
長く収監されていたアーレンの死刑が執行された。
ポールの指揮により滞りなく進み、ほぼ見物だったパーシーもこれで満足して転属するだろうとポールたちは期待していた。
だがパーシーは、次の死刑は自分に指揮を執らせろ、と言ってきて留まった。
アーレンと入れ替わるように次の囚人ウォートンがやってきた。
精神薄弱を装っていたが、房に入れられる直前に凶暴な本性を剝き出しにして看守たちを攻撃する。
止めようとしたポールは、患部を攻撃されてしまう。
副看守長のブルータスのおかげでウォートンを鎮圧することができたが、ポールは立ち上がれなかった。
そんなポールに、ジョンは自分のところまで来るように伝える。
そして患部に置かれたジョンの手から光が湧きだし、痛みが消えていった。
手が離れ、呆然とするポールの目の前でジョンは大きく口を開いて、体内にあった無数の黒い虫のようなものを放出していく。
ポールの尿路感染症はすっかり治っていた。
ジョンには他人の治癒や感情の共感、悪事の記憶を読み取る不可思議な能力が備わっているのだとポールは知る。
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感想
ジョンの超能力がストーリーの要なのでジャンル分けするとファンタジーになるんだけど、私はこの作品、ヒューマンドラマとしての部分が優れているから名作なんだろうな、と思っています。
心優しく他者のために尽くし、実際に人類の役に立つ人が、誤解され不遇の死を迎える理不尽。
彼の冤罪を知りながらどうすることもできずに彼の死刑を執行しなければならないポールの無念。
すごく考えさせられます。
殺された姉妹のことを、ジョンは助けようとしていたのですが間に合わず、逆に殺人犯の誹りを受けて死刑に。
同じキング原作作品「デッドゾーン」の主人公と重なります。
二人とも神様からのギフトとして、その能力を世のため人のために使ってきたのに、そのギフト故に哀しい死を迎えてしまう。
しかもジョンは「もう生きていたくない」と死刑を受け入れているのです。
ポールたちが彼を死なせたくないと願っても。
超能力者の孤独が、無能力者の私にも伝わります。
ウォートンがしたことを見せるためにジョンは自分の能力の一部をポールに渡します。
そのためポールは人一倍長生きすることになりました。
ポール自身はこれを「ジョンの死刑を執行した罰」と言ってましたが、それは違うんじゃないかと感じます。
なぜパーシーを使ってウォートンを殺したか。
順番的に次は自分が刑に処されると分かっているジョンは、残ったウォートンがポールたち看守にとって危険人物であり、下手すると誰かが殺される可能性があります。
だから百聞は一見に如かずで、言葉よりポールに真実を見せるために能力を渡しただけであり、彼を尋常以上の長生きにさせるつもりはなかったと思います。
それと、なんとなくですが、ジョンはポールがいい人だと分かっていることもあり、この能力を継承して人を救ってほしいと願い託したのかな、とも思いました。
いずれにせよ、苦しめるつもりはなかったのに、結果苦しめてしまうことになってしまった、という皮肉なラストです。
早く死がやってくることを願うポールの独白で終わるラストに、切なさと怖さを感じました。
この最後のセリフで、この作品はやはりファンタジーでもヒューマンドラマでもなく、ホラーなんだな、と。
ゾクッと背筋が寒くなる余韻を残させるあたり、ホラー作家キングの作品だけありますね。
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