映画「ヘアスプレー」あらすじと感想【ネタバレあり】重いテーマだけど観ていて楽しいミュージカル
1988年の同名映画、そしてブロードウェイ・ミュージカルで大成功した演目を、豪華キャストで再映画化した作品です。
カラフルでレトロ・ポップな可愛い映画ですが、人種差別問題という社会的なテーマも織り込まれています。
ミュージカルから演技派に転向し「もうミュージカルには出ない」と公言していたジョン・トラボルタが、シナリオと主演のニッキー・ブロンスキーを気に入って、主人公の母親役を承諾したそうです。
6時間かかる特殊メイクで、超ビッグサイズの中年女性になりきり、観客を驚かせました。
仕草や表情が可愛くて男性のトラボルタが演じていると忘れる瞬間が多かったです。
あらすじ
1962年。
ボルティモアに住むぽっちゃり体型の女子高生トレイシーは、午後4時からローカル局で放送される番組「コーニー・コリンズ・ショー」が大好き。
歌とダンスで構成されるこの番組には、同級生のリンクやアンバーなども出演しており、トレイシーはリンクのファンである。
毎日放課後は親友のペニーを誘って自宅に急いで帰り、テレビを前に一緒に踊る。
トレイシーの夢は、いつかこのショーに出演することだった。
スポンサーがヘアスプレー企業で、番組内でも頻繁に宣伝されているため、トレイシーもヘアスプレーをガンガン使った流行の盛り髪にしている。
母エドナは娘のミーハーぶりに嘆息するが、父のウィルバーはおおらかに受け止めていた。
ある日メンバーに空きが出て、レギュラー出演者を決めるオーディションを行う、と番組で発表された。
トレイシーは学校をサボッてオーディション会場に向かう。
しかしアンバーの母親であり、番組プロデューサーでもあるヴェルマに、体型を理由に即不採用を言い渡されてしまった。
学校では遅刻した罰に居残りを命じられてしまう。
放課後、居残り組が集まる部屋に入ると、黒人の生徒たちが楽しそうに踊っていた。
親しみやすい性格の男子生徒シーウィードが、トレイシーの頼みに応じてブラック・ミュージック特有のダンスを教えてくれ、トレイシーはすっかり仲間として打ち解けた。
居残り教室の前を通りかかったリンクは、楽しそうな音楽に惹かれ、ドアについたガラス越しから陽気に踊るトレイシーを見て、番組のパーティーに彼女を誘う。
パーティーは盛況で、この日は別枠で放送される「ブラック・デー」のメンバーたちも、メイン番組の出演者たちと一緒にいた。
リンクがステージで歌うなか、トレイシーは「レゲエ風のダンスをやろう」とシーウィードに持ちかけるが、白人至上主義のヴェルマの手前、断られてしまう。
そこでトレイシーは、自分がやってみせる、とホールの中心に行き、全員の注目をさらう。
ヴェルマや娘のアンバーは、なんて下品な、と憤るが、差別をなくしたいと考えている番組ホストのコーニーや、自由を受け入れるリンクはトレイシーを好ましく思い、彼らの後押しでトレイシーはレギュラー出演者に抜擢された。
天真爛漫で歌もダンスも上手いトレイシーはあっという間にお茶の間の人気者になり、ビッグサイズ専門店のイメージガールをオファーされ、自身のエージェントに引きこもりがちのエドナを指名。
順風満帆だったが、トレイシーを引きずり降ろそうとするヴェルマとアンバーの嫌がらせが加速し、ついにはトレイシーと仲が良い人たちが大勢いる「ブラック・デー」の打ち切りを決められてしまう。
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感想
トレイシーの母・エドナは自分の体型を気にして長年外に出ない暮らしをしてきました。
父のウィルバーはデブ専なのでそのわがままボディも含めてエドナを愛していますし、トレイシーも母のことは、ケンカもするけれど大好きな存在です。
それでも自分に自信が持てずにいました。
トレイシーは自分のエージェントに、一番信頼できる人物としてエドナを指名します。
長年外出などせず、家事と簡単なクリーニングの仕事で慎ましく暮らしていたエドナは、ビジネスの交渉なんて無理、とためらいますが、その表情から嬉しさは隠しきれません。
はにかみながらもなかなか外に出ようとしないエドナの手を引っ張り、トレイシーは「もう60年代だよ。新しい価値観を受け入れて楽しく生きよう」と言って、ビッグサイズ専門店に連れて行きます。
お店とトレイシーの契約条件に厳しく目を通し、実はエージェントとしての能力を持っていたエドナ。
オーナーの厚意で二人は好きな服をプレゼントしてもらいました。
家に引きこもっていては気づけなかった才覚や恩恵に、エドナはトレイシーと一緒に喜び合います。
この作品は、人種間だけではなく、体型や個性への外見的な差別の解消もテーマに含まれています。
元ミス・ボルティモアで、徹底したダイエットで今も美貌を保っているヴェルマは、肥満体型のトレイシー親子が我慢ならない存在となって攻撃的な態度をとりますが、まあ外見で差別する人は今も昔も、それこそ老若男女問わず一定数いるんですよね。
見ず知らずの人なのに心無い暴言をぶつけるモンスターもいるので、外見に自信が持てないと外出が怖くなって引きこもってしまうのも分かります。
太っていても痩せていても、背が高くても低くても、引け目を感じて外の世界に背中を向けていると、楽しみやチャンスを逃してしまいます。
アレコレ言う人は無視して、自分の好きなところに行き、好きなことを貫きましょう。
天真爛漫に笑顔でいれば、惹かれて寄ってくる人が大勢います。
トレイシーに精神的ダメージを与えるため、ウィルバーとエドナの仲を裂いてやろうと、ヴェルマはウィルバーにハニー・トラップを仕掛けに彼の店に出向きます。
しかしそこはイタズラおもちゃ専門店。
ヴェルマが色気を振りまいても、すぐにバカバカしい仕掛けがしてあるグッズを紹介しては出鼻をくじきまくって回避します。
まあ、ウィルバーはデブ専なのでヴェルマのようなスレンダーな体型に興味がないこともあるのですが…
こちらにその気がないのに、なんかセクハラ…?と思えるような誘惑をしてこようとする人に巡り合うとき、ごくたまにありますよね。
冷たくあしらうことも出来ますが、怒りの感情を呼び起こさせてしまうのも厄介です。
そういうとき、くだらないギャグをガンガン飛ばして相手の欲情を消滅させる方向にすると、怒らせることもなく上手く逃げ切れることが多いです。
イザというとき、すぐにバカバカしい空気に持っていけるようにしましょう。
数年前、タレントのryuchellさんとぺこさんの夫婦が、長男の名前をこの映画のリンクからとったと言って話題になっていましたね。
女の子が主役のガールズムービーという見方が強い作品なので、私の中でリンクの印象は薄かったのですが、今回改めて見直して、カッコつけているだけではない等身大の男子高校生の部分がありつつ、内面の成長もきちんとしているキャラなんだな、と思いました。
お二人のお子さんも、名前に願いを込めたとおり、物事の本質を見極めて信じた道を進めるリンクのような人になってくれたらいいですね。
何度も書いてますが、重いテーマが背景にある作品です。
だけど楽しくてハッピーな気持ちにさせる明るさがあって、定期的に見たくなる映画です。
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