映画「白い恐怖」あらすじと感想【ネタバレあり】ヒッチコックのサイコ・サスペンス
1945年のヒッチコック監督によるサイコ・サスペンスです。
「めまい」のように恐怖症を扱っており、そこに記憶喪失も付け加えて人物の不安感を押し上げています。
不安に苛まれるのはグレゴリー・ペック。
彼を支えようとする心理分析科学者をイングリット・バーグマンが演じます。
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あらすじ
精神病治療施設に、新しい院長エドワーズ博士が赴任してきた。
思いのほか若い男性だったので、前任のマーチソン博士はじめ待ち構えていた医師たちも軽く驚く。
マーチソンは部屋をエドワーズに明け渡し、簡単な挨拶を済ませて出ていった。
昼食時の食堂でも、医師たちの話題は新しい院長のことで持ち切りだった。
唯一の女医であるコンスタンス・ピーターセン博士も、好奇心を持って話を聞いている。
そこへ当の本人エドワーズが現れた。
彼の魅力にコンスタンスは一目で心を奪われる。
エドワーズは彼女の隣に座り、話しに加わった。
近々この施設にプールが併設されるという話題になり、その形が少し変わっていることをエドワーズに説明するため、コンスタンスはフォークで白いテーブルクロスに形をなぞる。
クロスにつけられた筋を見たエドワーズは突然不安感に襲われ、怒鳴り声をあげてしまった。
エドワーズは院長室で「自分が父親を殺してしまった」という罪悪感に囚われている入院患者ガウースの診察をする。
元々コンスタンスの患者で、部屋にやってきた彼女はガウースの状態についてエドワーズに説明する。
彼は父を殺してはおらず、そう思い込んでいるのだった。
話を聞いた後エドワーズは、半ば強引にコンスタンスに外の案内を頼んだ。
何もない枯草だらけの牧草地だが、二人で歩くだけで楽しい時間だった。
施設に戻って食堂に行ったコンスタンスは、他の医師たちにからかわれて居心地が悪くなり、早々に退散する。
その夜、寝付けないコンスタンスは図書室に向かった。
図書室の隣にある院長室から灯りが漏れているのを見て気になる。
図書室からエドワーズが執筆した本を持ち出し、院長室のドアをノックした。
案の定エドワーズは起きており、コンスタンスは今持ち出した本について質問がある、と口火を切った。
しかし後が続かず、正直に本を口実にしてこの部屋に来たことを告げる。
互いに一目惚れだった二人は、気持ちを確認して激しく抱き合った。
だがコンスタンスの着ていたガウンが、白に筋がついた模様だったので、エドワーズはまたしても不安定な状態になる。
そのとき内線電話が入り、ガウースが自殺未遂をしたため緊急手術が必要になった。
だが手術中、エドワーズは様子がおかしくなり、身をかがめてメスが握れない。
結局エドワーズは自室に運び込まれ、コンスタンスは眠る彼の傍らにつく。
そのとき、著書本の最後に載っていたエドワーズ自筆のサインと、部屋にあった彼の手紙の筆跡が違うことにコンスタンスは気づいた。
目を覚ましたエドワーズを名乗る男に、コンスタンスは「あなたは誰?」と訊く。
男は自分の名前さえ憶えていないことに慄きながら、エドワーズ博士を殺して成りすました、と言って狼狽した。
彼もまたガウース同様、やっていない殺人の罪悪感を拗らせており、しかも記憶喪失になっているのだとコンスタンスは分析し、医師として彼を助けようとする。
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感想
無駄がないですねぇ。
その分ご都合主義にもなってしまってるけど…
ストーリーの無駄をなくすため、登場人物が“かまってちゃん”になっているのも笑えます( ̄▽ ̄)
だってこの成りすましさん、この後すぐコンスタンスに手紙を書くのですが
「君に迷惑をかけたくない。ぼくはここを出ていく。
ニューヨークのエンパイア・ホテルに行くよ」
ときたもんだ。
迎えに来てください、と言ってるじゃないですかコレ。
そしてコンスタンスがホテルに行くと「なぜ来たんだ!」
って、アンタ……
まあストーリー上、いなくなった成りすましさんをいつまでも探し回ってるわけにはいきませんものね(;^ω^)
警察の目を掻い潜ってコンスタンスの恩師の元にふたりは行きますが、この老恩師、無双。
世界一の精神分析科学者ということで、成りすましさんの怪しさを僅かな手がかりから見抜いて出し抜きます。
何気に深いことを言っていて、この世で最も厄介なのは老人だ、とか今聞くと“老害”についての注意喚起がされています。
そして科学者としての冷静さより、女性としての情のほうが上回るコンスタンスを理詰めで叱り飛ばします。
役柄としてめちゃくちゃカッコいいポジションだな。
この映画のMVPは間違いなくこの爺ちゃんです。
まあ結局コンスタンスの情のほうが勝っちゃって、ふたりは一緒にスキーに出かけるんだけど(遊びじゃないよ)
元々美女ですが、美女好きヒッチだけあってバーグマンの美しさが際立っています。
素っ気ない白衣姿が、真剣な表情や書類を書く仕草なんかで知的な雰囲気も出ていて、かなりいいです!
「山羊座のもとに」でハート型の帽子かぶらされたのとえらい違い(こっちのが後か)
そんな美女の顔を隠したくなかったのでしょう。
スキー場のシーン、ふたりともゴーグルつけていません。
滑走中の向かい風は強そうですが、美男美女ですから当然ヘンな顔になんかなったりしませんよ。
美意識が高いヒッチの面目躍如です(そうか?)
スタジオ撮影なのが丸わかりですが、昔の映画なのでこれはこれで味があります(´▽`*)
ラストは有名。
ほんの些細な一言に疑惑を持ったコンスタンスが犯人と対峙し、真相を問い詰めます。
そして彼女に向けられた銃口が、ゆっくりとこちらに向きズキューン!
昔からこのシーン、あんなに綺麗に真っ直ぐとこちらを向くものなのか疑問でした。
んー、肩と肘も使えばなんとか… 撃ちにくーーーい!!
映画的演出でカッコいいけど、リアルでやろうとすると腕のアチコチが痛いでんがな!(やろうとすんなよ)
なんかいろいろディスってしまいましたが……
面白かったですよ!
いやホント面白いんです、この作品。
愛ゆえのツッコミだと思っていただければ幸いです。
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