映画「第3逃亡者」あらすじと感想【ネタバレあり】ヒッチコックで少女漫画
1937年公開のヒッチコック監督作品です。
殺人犯に疑われた青年が偶然知り合った女性と一緒に、警察の手を逃れながら真犯人を追う監督お得意の「巻き込まれ型サスペンス」。
ロマンティック・コメディの要素もある明るい作品です。
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あらすじ
夫と激しい口論をした翌朝、女優のクリスティーヌは遺体となって海岸に打ち上げられた。
傍らには彼女の首を絞めた凶器であるベルトが漂っている。
偶然近くを通った青年ロバートは彼女の顔見知りであり、遺体を見てすぐに助けを呼ぶために駆け去った。
入れ違いに海水浴にやってきた女性たちも遺体を発見。
そして、走り去っていくロバートを目撃する。
警察が集まり、ロバートと女性たちもその場に立ち会った。
女性のうち、ひとりは警察署長の娘エリカである。
彼女たちの証言によりロバートは容疑者として拘束されてしまった。
凶器のベルトはレインコートについているものであり、ロバートは食堂でレインコートを失くしている。
そのことが目撃証言と相まって彼の容疑を深めてしまった。
さらには、クリスティーヌはロバートに1200ポンドもの遺産を遺していたのだ。
そう聞かされてロバートは気絶した。
取調室に入ってきたエリカの介抱でロバートは目を覚ました。
すぐに帰ろうとしたエリカだが、入り口前に止めた車のエンジンが掛らずにまごついていると警官と共に建物を移動するロバートに声を掛けられた。
警察署から向かいの裁判所に移動したロバートは弁護士と会ったが、味方とは言い難く、相談料としてなけなしのお金まで支払わされて不信感が拭えない。
そして裁判が始まる直前、目が悪い弁護士を利用して彼の眼鏡を盗んでロバートは逃亡した。
捜索隊にはエリカの車も利用され、エンジンが掛りづらいため彼女も同乗。
田舎道でエンストしてしまった。
警官たちは通りかかった荷馬車に乗ってロバートを探しに行く。
ひとり車を押しているエリカに、ロバートが助手席側から顔を出した。
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感想
この辺りから主人公はロバートからエリカに交代します。
苦境に立たされるイケメンを放っておけない乙女の目線で、濡れ衣を着せられた逃亡者であるはずのロバートに緊張感がありません。
ニヤニヤしながらエリカをからかったりするあたり、少女漫画のメインヒーローのよう…
そんな軽やかな雰囲気に、コミカルな演出が光ります。
気絶しやすいロバートを介抱するエリカの手際は実はかなり雑。
バチバチびんたに耳グイグイ。で、ブランデー。
2度目の気絶でも水飲み場の水に何度も頭から突っ込ませる雑さ。
男らしいヒロインだな、オイ (; ̄▽ ̄)
こんな目に合わされても彼女を「ナイチンゲール」と呼べるロバートのお花畑っぷりに、こちらのほうがヒロインに見えてきてしまう。
そして彼らを追う2人組の警察官や、ロバートのレインコートを持っていたキーパーソンのウィルも、とぼけたキャラクターをしていて笑いを取りに来ています。
そして犬!
エリカの愛犬なんですが、彼女のオンボロのオープンカーに必ず同乗していて、ストーリーを動かすいい働きしています。
すごく可愛い♡
既定路線のベタなストーリーだし、観客には犯人がわかっているので、サクサクしたテンポの良さでサスペンスを盛り上げています。
でもヒッチコック作品なんだけど、昔の少女漫画のような印象を受ける映画でした。
女性主人公、オープンカー、犬、ドタバタ・ラブコメディ…
これらの要素がそう思わせるのかもしれませんね。
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