映画「世にも怪奇な物語」あらすじと感想【ネタバレあり】名監督たちの三者三葉ホラー

エドガー・アラン・ポーの短編小説を、ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニがそれぞれ監督したオムニバス作品です。
監督も豪華ならキャストも豪華。
ヴァディム監督の第1話ではジェーンとピーターのフォンダ姉弟が共演。
マル監督の第2話はアラン・ドロンの主演にブリジット・バルドーが加わり、フェリーニ監督の第3話はテレンス・スタンプが主演です。
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第1話「黒馬の哭く館」あらすじ
莫大な遺産を相続した伯爵令嬢フレデリック。
誰も自分に逆らえないのをいいことに、日々使用人たちを虐待しては享楽に耽っていた。
しかし彼女より家格が低い男爵家の長男ウィルヘルムだけは、彼女にへつらうことはしなかった。
ある日、狩猟用の罠にかかったフレデリックはウィルヘルムに助けを求め、それ以来彼に惹かれる。
しかし彼からはっきりと拒絶されたフレデリックは、怒りに任せて使用人ユーグに命令して男爵家の厩に火をつける。
何よりも馬を大切にしているウィルヘルムは、馬たちを逃がそうとして火に巻かれて死亡した。
彼を殺すつもりはなかったフレデリックは、それ以来黒馬の悪夢に苛まれる。
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第2話「影を殺した男」あらすじ
軍服を着た男が、慌てふためいて教会に駆け込んできた。
礼拝の後で、と諭す神父を無理やり告解室に入れて自分の話を聞いてもらう。
たった今、人を殺したという男は、自分の過去から語りだす。
男の名前はウィリアム・ウィルソン。
子供の頃から異常な凶暴性を持っており、周囲を従えてひとりをターゲットにする陰湿な暴力を行ってきていた。
しかしいつも一線を越えそうになると、ウィリアムを止める男が現れる。
この男もウィリアム・ウィルソンという名前なのだ。
イカサマ賭博で驕慢な美女を負かして、彼女を鞭で叩いた後、さらに凌辱しようとしたところでまた同名の男は現れてウィリアムのイカサマの手口を皆の前で暴露する。
これに呆れた上官から軍を解雇され、怒りのウィリアムは男を追いかけた。
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第3話「悪魔の首飾り」あらすじ
アルコールに溺れている落ち目の俳優トビー・ダビッドは、久しぶりの映画出演のためローマにやってきた。
たくさんのカメラのフラッシュが眩しくて目を開けていられない。
彼には空港の光景もオレンジ色に霞んで見え、不気味な笑みを浮かべながらボール遊びをする少女の幻影が見える。
現地のテレビ番組に出演したり、映画賞の授賞式に登場したり、トビーは目まぐるしいスケジュールをこなす。
しかしアルコールに蝕まれている体と頭で、常に心ここにあらず、という状態だった。
授賞式を途中で抜けると、ギャラとして用意されていた金色のフェラーリに乗って街を爆走する。
気の向くままにハンドルを切っていたが、道に迷い、戻れなくなってしまった。
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感想
1話と2話はおそらく原作と同じ時代。3話は現代 (1967年当時) が舞台になっています。
ストーリーとしては個人的に3話が一番ハマらなかったのですが、ラストの衝撃は一番強かったです。
少女が持っているボールは… トビーの頭。
首をバッサリ持っていかれるんですね~。怖かった (;´Д`)
タイトルの「首飾り」の意味は分からなかったけど。
第1話はヴァディムの趣味が光っています。
享楽に耽る怠惰な貴族の隠微な描写は、完全に監督の好みですね。
退廃ムード漂う館に掛かっている黒馬のタペストリーを、ウィルヘルムの死後、フレデリックは怖くなります。
全てを見抜かれているように感じたのでしょうか。
タペストリーを作り直させることにします。
だけどその完成を見ないうちに、彼女もまた燃え盛る炎に焼かれて亡くなります。
タペストリーの新しい黒馬の目は赤いものでした。
意味深で怪奇色が出ている、ポーの原作らしい作品だと思いました。
第2話は、悪役が板についているアラン・ドロンが、これまた一人二役というお馴染みの設定にハマッています。
「黒いチューリップ」や同姓同名に翻弄される「パリの灯は遠く」などにも活かされていますよね。
ウィリアムのすることが本当に酷くて、中盤が一番怖かったです。
生きたまま女性を解剖しようとするシーンは本当に怖くて、ずっと心の中で「やめてやめて~」と唱えてました。
(いいオッパイしてるな~、とも思ったけど)
善のウィリアムに助けてもらったのに、なぜ彼女が悪のウィリアムの方に駆け寄ったのか謎ですが。
そして後半に出てくるBBは今回、黒髪。
金髪も似合うけど、黒は黒でミステリアスな女性っぽくて素敵♡
相変わらず男に酷い目に遭わされるけど、キリッとしながら涙を流す演技は彼女の十八番。
とても魅力的です。
名監督たちの三者三葉のオムニバス作品は、どれも見ごたえがありました。
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