映画「デッドマン・ウォーキング」あらすじと感想【ネタバレあり】
俳優のティム・ロビンスが監督・脚本・製作を手掛けた作品です。
主演は当時のパートナーだったスーザン・サランドン。
この演技でアカデミー賞主演女優賞を獲得しました。
もうひとりの主演、ショーン・ペンの演技も高く評価されています。
まだ無名で体も細かった頃のジャック・ブラックがペンの弟役で出ていました。
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あらすじ
黒人居住地域でシスターをしている白人女性ヘレン。
ある日、彼女の元に死刑囚マシューから手紙が届いた。
独房で孤独な日々を過ごしている彼を哀れに思い、ヘレンは彼に会いに行く。
殺人犯ましてや死刑囚を直接見るのは初めての経験だ。
粗野で傲慢な性格が垣間見えるマシューだが、自分は無実だとヘレンに訴える。
1組の若いカップルを惨殺した罪だが、ほとんどは共犯のカールがしたことであり、そのカールが無期懲役で自分は死刑なんておかしい、と憤っていた。
そこでマシューは、赦免委員会に提出する書類をヘレンに託す。
弁護士がついていないマシューが頼れるのはヘレンだけだった。
書類を受け取ったヘレンは、周囲と相談しつつも、事件について詳しく調べ始める。
ニュース映像に流れる、被害者遺族たちを挑発するマシューの姿に、ヘレンは「こんな男を助ける価値はあるのか」と自問自答した。
そのときマシューから電話がきた。
処刑日が一週間後に決まり、絶望の中から一縷の望みをかけてヘレンに助けを求めてくる。
ヘレンは急ぎ弁護士のバーバーに連絡を取って、翌日彼と一緒にマシューに会いに行く。
マシューを説得し、赦免委員会には彼の母親にも証言してもらうことになった。
当日、マシューが危惧したとおり母親は泣き崩れて証言もろくにできない。
休憩中にヘレンは、被害者のひとりウォルターの父親デラクロワ氏に呼び止められ、マシューに肩入れしていることを責められる。
そして審議の結果、マシューの特赦は却下され、死刑は予定通りに執行されることになった。
死刑囚にはカウンセラーをつけることができる。
マシューはその役目をヘレンに頼んできた。
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感想
アメリカの「注射による死刑」って、もっと安楽死に近いものだと思っていました。
違うんですね。
バーバーさんの委員会での説明で、苦しんで死んでいるんだと初めて知った次第です。
個人的には、何も罪を犯していないのに苦しんで死んだ被害者たちの無念を、加害者にきちんと噛みしめさせることができて良かったと思います。
楽に死んでいたら、ちょっとね…
執行前に家族に会うことや、最後の晩餐で好きなメニューを食べられることなんかですら厚遇だなぁ、とモヤモヤしますもん。
もう一人の被害者ホープちゃんのママは、娘との最後の会話が「スカートの裾がほつれてる」だったことに後悔している、と言っていました。
被害者は、家族に別れを言うことも出来ずに突然理不尽に命を奪われた。
それを考えるとやっぱり、なぜ加害者のほうが被害者より厚遇されるんだろう、と嫌な気持ちになります。
私個人の考えなんですけど、加害者って、人を殺した時点で怪物なんですよ。
人間なら理性があるもの。道徳もあるもの。
超えてはいけない一線を理解しているはずだもの。
自ら人間であることを辞めて怪物に成り下がった。
だから「加害者の人権」なんて聞くと、人じゃないのに「人としての権利」なんていらないでしょ、と考えてしまいます。
この映画は、どちらかというと「死刑制度反対」の立場で描いていると見受けます。
だけど被害者遺族たちの嘆きもきちんと描き、ヘレンに苦悩もさせます。
募る憎しみをどう昇華していいか分からない被害者の親たちにもヘレンは寄り添おうとしますが、赦しというのは難しいものです。
死の間際に己を反省し、被害者のために祈りを捧げたというマシューに、ヘレンは「あなたは神の子になった」と言って、神の赦しを得たと告げて喜ばせました。
神の子 = いい子、とは言ってない。
それでも、ヘイトをまき散らした彼だけが死の直前に改心して赦される。
マシューを赦すことができない被害者遺族たちは、憎しみを抱えたままこの先も苦しんでいく。
キツいな… と切なくなりました。
憎しみや怒りの、負の感情もまた神が人間に与えたものであるし、それを抑えつけて加害者を赦す、というのもなかなかに過酷な修行。
死刑制度… 私は無くすべきじゃないと思っていますし、この映画を観ても考えは変わりませんでした。
できれば、加害者より被害者のほうの人権が守られ救われるようになってほしいと思います。
酷い目に遭って、それで死人に口なしじゃ可哀想すぎる。
ただまあ、執行する刑務官さんたちの精神的な負担は軽減されるといいと思うので、そもそも死刑になるような犯罪をするなよ、というところに帰結しますね、こういう問題。
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