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「かくも長き不在」あらすじと感想【ネタバレあり】思い出してほしい妻と思い出したくない夫

2022/09/15
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

戦争が終わっても、その負の爪痕は何年経っても人の人生に影響を及ぼし不幸にする、という反戦メッセージが込められた作品です。

アリダ・ヴァリが、気丈に振舞い一縷の望みに賭けても応えてもらえない哀しみを抱える女性を好演しました。

フランスの国民的作家、マルグリット・デュラスが共同脚本に名を連ねています。

 

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あらすじ

パリの裏通りでカフェ「アルベール・ラングロワの店」を切り盛りしているテレーズ・ラングロワ

7月4日の巴里祭だというのに営業している、と常連たちにからかわれるくらいワーカホリックな女性だ。

折しもバカンス・シーズンがすぐそこまでやってきており、パリからは人がいなくなるので、周辺の店主たちもお店を閉めてバカンスに出かけていく。

テレーズは恋人のピエールに、故郷のショーリュに戻るのなら送る、と言われるが、戻っても特にやることもないので、結局パリに残ることにした。

カフェは営業するが、街も閑散としているし、お客もほとんど来ない。

そんな中、オペラを歌うホームレスがカフェの近くに現れるようになった。

顔を見たことはないが、歌声はよく聞こえる。

気に留めていなかったテレーズだが、ちょうど表に出て作業をしているときに、そのホームレスが通りがかり、その顔を見た瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けた。

ウエイトレスのマルティーヌに頼んでその男性を店に招き入れ、ビールを提供させる。

その間テレーズはバックヤードに隠れてふたりの会話に聞き耳を立てた。

何も知らずにやってきた常連客も会話に加わり、マルティーヌと一緒に男性の素性を探っていく。

身分証明書に記載されている名前はロベール・ラングとあるが、彼は記憶を喪失しており、それが本名なのか彼自身にも分からないのだと告白した。

それを裏で聞いていたテレーズは、衝撃のあまり全身の力が抜けて倒れ込んでしまった。

物音に驚いたマルティーヌと常連客がテレーズを助け起こすと、彼女は「やっぱりそうよ」と言って笑みを浮かべる。

急いでカウンターに出ると、もうロベールの姿はそこになかった。

さっきの会話で、川の向こうに住んでいる、と言っていたことを頼りに、テレーズはセーヌ川に沿ってロベールを探し回る。

 

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感想

テレーズがロベールを見て衝撃を受けた理由。

それは20年前にゲシュタポに不当逮捕され、その後収容所送りになって以来行方不明になっていた夫・アルベールにそっくりに見えたからです。

恋人は作ったけれど再婚することはなく、夫の名を冠した店を守り続けてきたテレーズは、ずっと夫が生きていることを信じて、その帰りを待っていました。

生死が分からない人を待つ。20年も。

寂しさや不安に何度も襲われ、精神的に崩れそうになったことが幾度かあったことと思います。

それでも望みを捨てなかったテレーズの歓喜は想像以上だったでしょうね。

そしてロベールが本当にアルベールなのかを確認するため、テレーズは、故郷から彼の叔母アリスと甥のマルセルを呼び寄せました。

彼がいつも歌っているオペラのレコードを流して店内に招き入れ、ジッと曲に聴き入っている様子を見てもらい、アリスたちの近くのテーブルに座らせてビールと雑誌を提供します。

テレーズはアリスたちのテーブルに座って、ロベールによく聞こえるようにアルベールのことを話し始めました。

何か思い出して反応するはず

そう期待するのですが、結局何も得られないままロベールは帰ってしまいます。

それでもテレーズは興奮しながら「どう?間違いなくアルベールでしょう?」と訊きますが、アリスたちの反応は冷ややかです。

あれは違う、と言われて不満げなテレーズにアリスは、テレーズが知り合う25年も前からアルベールを知っているのだから間違いない、と断言します。

そして「 “最大の理解者は恋人” だというけれど、私はそうは思わない。恋愛感情がないぶん濁りなくその人を見ることができる」と畳み掛けました。

一理あるな、と思いました。

恋人や配偶者が一番の理解者であるのは理想ではあるのですが、恋愛感情からの贔屓目が入って、わずかに誤解も入っている場合があるのです。

冷静さが少し欠けてしまって、ちょっと評価がマシマシされるんですね。

アリスさん、年の功でよく分かってらっしゃる ( ̄▽ ̄)

 

ロベールにアルベールに似ていることを告げ、ときどき夕食を食べに来てほしい、と頼んだテレーズ。

約束通りロベールはカフェにやってきます。

好物を訊かれても分からないけれど、失った記憶を一生懸命に呼び起こして思い出そうとします

そしてようやくブルーチーズが好きなことを思い出しました。

本当は季節外れのため品薄だったのですが、ブルーチーズはアルベールの好物だったので、テレーズは事前に用意していたのです。

周囲がどんなに違うと言おうとも、ロベール=アルベールだと確信していました。

記憶を取り戻したい、という気持ちのほうが強かったかもしれませんが、純粋に「好物で喜んでほしい」という気持ちもあったと思います。

久しぶりに会う夫 (仮) ですもんね…

 

ロベールの後頭部には、長く深い傷跡がザックリと残っています。

ゲシュタポから受けた凄惨な拷問の痕です。

彼は狭い小部屋に入ることも怖くてできません。

おそらく、そういう場所で拷問を受けていたのでしょう。

記憶が戻る可能性はほとんどない、と医師から言われていますが、この恐ろしい記憶を封印したことで精神崩壊を起こさずに済んでいるのかもしれません。

ロベールはおそらくアルベール本人です。

(ラストでそれらしい行動を見せますが、はっきりとは分からないようにしてあります)

テレーズはなんとか思い出してほしいのですが、アルベール自身は思い出さないほうが幸せなのだ、と本能で感じているようでした。

辛い過去を忘れるために、幸せだった時間も忘れておかなければならない

その記憶を思い出したら、拷問や収容所のことも思い出してしまうから。

生き延びたことは良かったし、テレーズも諦めてはいないけれど、結局どう転んでもこの夫婦は不幸な感じがして切なさが沁みました。

 

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