映画「罪の声」あらすじと感想【ネタバレあり】当事者が受ける負の影響
1980年代半ばに連日世間を賑わせた劇場型犯罪「グリコ・森永事件」をモチーフにした、塩田武士さん原作のサスペンス映画です。
「ビリギャル」の土井裕泰さんが監督し、ドラマ「アンナチュラル」の野木亜希子さんが脚本を担当。
主演は小栗旬さんと星野源さんが務めます。
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あらすじ
亡父が遺した仕立て店を継いだ曽根俊也。
ある日、天袋から父の遺品が入った箱を見つける。
懐かしい品々に顔を綻ばせ、その中から「1984」と書かれたカセットテープを聞いてみると、幼い頃の自分の声が録音されていた。
その内容は、道案内のようにも聞こえるが覚えもなく、不思議に思いながら箱に一緒に入っていた手帳に目を落とす。
そこに「GINGA」「MANDO」の記述を見つけてネットで調べてみると、35年前の未解決事件「ギンガ・萬堂事件」 (ギン萬事件) に行きついた。
この事件の脅迫電話には子供の声が使われており、音声データを開くと、ホープ食品への脅迫電話は、今しがた聞いた俊也のテープだったことに愕然とする。
同じ頃、大日新聞の記者・阿久津英士は、特別企画として「ギン萬事件」の特集記事を任された。
1984年に、お菓子を主力にしている食品メーカー「ギンガ」の社長が誘拐されたことに端を発した一連の事件である。
「くら魔てんぐ」と名乗る犯人は、人質の命と引き換えに10億円を要求したが、社長は自力で逃げ出した。
身代金を受け取れなかった犯人は、店頭に並んでいる商品に致死性の青酸ソーダを混入する、と無差別殺人を予告。
ギンガだけではなく、萬堂製菓ほか4社も脅迫し、警察には何度も挑戦状を送りつけて世間を翻弄した。
捜査員が目撃した「キツネ目の男」の似顔絵が公開されたが、結局解決に至らず時効を迎えたのであった。
阿久津はキツネ目の男の足取りを追ってロンドンまで出向いたが、空振りに終わる。
しかし帰国してから預かった資料の中に、ロンドンの有望株が外国人に買われている、という記事を見つけた。
上司に聞くと、当時犯人たちは身代金を手に入れられなかったが、本当の目的は株価操作だったのでは、という噂があったのだという。
一方、俊也は、手帳が父の兄・達雄のものだと分かり、入院中の母に尋ねてみるのだった。
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感想
少しずつ進展する二人の調査を交代で見せている構成なので、場面に変化があってダレることがありません。
そしてふたり共同で調査を始めると、記者目線の阿久津・当事者目線の俊也の調和により、スムーズに事が運びます。
サクサク進むので最後まで一気に観られました。
ちょっと株関係について難しかったですが… (;´・ω・)
子供の声を使った脅迫テープは俊也だけではありませんでした。
犯人一味にいた元汚職刑事・生島の娘・望と息子・総一郎が利用されています。
事件の鍵を握っている俊也の伯父・達雄の行方を追いながら、ふたりは彼らの足取りも追っていき、俊也とはまるで違う悲惨な人生に心を痛めました。
生島が元暴力団対策課の刑事で、ヤクザからの収賄で解雇され、そしてヤクザたちと一緒にギン萬事件を起こしているという背景があったため、生島が殺された後、家族は達雄たちの手引きで逃げ出したにも関わらず、結局ヤクザたちの手に堕ちました。
母は組事務所の事務員をさせられますが、いいようにいたぶられます。
隙を見て逃げ出した望は、追いかけてきた「キツネ目の男」を振り払おうとした弾みでトラックに轢かれて死亡。
映像翻訳家になりたかった彼女の愛読雑誌「スクリーン」が懐かしい!
「ロードショー」と一緒に毎月買ってたー!
おっと、脱線した。すみません。
そして総一郎は、組のシノギである建設現場での雑用をさせられますが、自分に唯一親切にしてくれた組員・津村を助ける際に放火殺人を起こし、それに乗じて逃げ出しました。
母を置いて行ったことを悔恨しつつ、上手くいかない人生に自死を考えていたところで、俊也からの電話で救われます。
阿久津と俊也の調査により絡み合った過去は解れていき、事件の真相、そして過去の清算を各々が向き合って終息。
リアリティのある描写で、実際の「グリコ・森永事件」もこうだったのでは? と思わせます。
この事件がきっかけで、店頭に並ぶお菓子にビニールの包装がされるようになったんですよね…
忘れていたけれど、本当に影響の大きい事件でした。
今となっては真相は闇の中ですが、この映画のように「何も知らなかった人たちが巻き込まれ、その後の人生に負の影響が残っていませんように」と願うばかりです。
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