「ナイアガラ」あらすじと感想【ネタバレあり】モンローウォークで悩殺悪女
マリリン・モンローの代表作のひとつで、有名な「モンロー・ウォーク」はこの作品で注目されました。
決して狙った歩き方ではなかったのはカメラワークで分かります。
マリリン独特の歩き方が注目され、そこから映画も注目されたのは嬉しい誤算だったことでしょう。
この作品、主人公はジョゼフ・コットンと、大富豪ハワード・ヒューズ夫人になる知的美女のジーン・ピーターズなのですが、どうしてもマリリンに目を奪われます。
やはり華やかさがあるというか、オーラがあるんですよね、彼女。
今回は珍しく悪女の役なのですが、あの甘い顔立ちは、苦々し気に舌打ちする表情になってもやっぱりキレイ、と見惚れました。
ローズレッドのドレスや、シックな黒のスーツなど、ファッションも見ごたえありです。
あらすじ
カナダ・トロント。
景勝地ナイアガラの滝の眺めが良く見えるコテージ「レインボー・キャビン」のB号室に、ジョージとローズのルーミス夫妻が泊っている。
夫のジョージは、朝鮮戦争に出兵したトラウマから陸軍精神病院に入院していた。
退院した今も克服できてはおらず、ナイアガラの滝に出向いては心を落ち着けようと努めていた。
しかし妻のローズには別の思惑がある。
アメリカから、遅い新婚旅行ということでレイとポリーのカトラー夫妻が「レインボー・キャビン」にやってきた。
彼らはB号室に宿泊する予定なので、オーナーはルーミス夫妻に部屋を明け渡すように伝えた。
滝から戻ってきてすぐに寝入ってしまったジョージの代わりに妻のローズが応対する。
ジョージの具合が悪いので、このままにしてくれ、と頼むローズにカトラー夫妻は別の部屋を用意してもらった。
さっそく観光に行こうとコテージを出ると、買い物に出かけるローズと出くわす。
別の道を行く彼女を見送り、カトラー夫妻は滝壺ギリギリまで近づく遊覧船「霧の乙女号」に向かった。
ビショビショになりながら遊覧船を楽しんだ後、ふたりは観光トンネルをくぐって記念写真を撮る。
そのとき被写体としてレイより一段下の岩場でポーズを取ろうとしていたポリーが、人目を忍んだ岩陰でローズが男と密会しているところを目撃する。
その夜、宿泊客向けのガーデンパーティーで、ローズは持参のレコードをかけてくれるようDJにお願いした。
曲をかけてもらって、ローズはカトラー夫妻の元にやってくる。
ジョージが精神不安定であることを彼らに話し、曲に耳を傾ける。
ずいぶん煽情的な歌詞の曲だった。
コテージ内からパーティーの様子を見ていたジョージは、乱暴にドアを開けて大股でDJの元に寄って、レコードを素手で粉々に割った。
ローズの浮気に気づいているジョージは、よくも他の男への思いを代弁するような曲をかけたな、とローズに詰め寄った。
しかしパーティーに水を差した気まずさから、それ以上は何も言わず部屋に戻る。
ジョージが手をケガしたことに気づいたポリーは、手当てをするためジョージの部屋に行った。
ジョージはポリーに心を許し、ポツポツと自分のことを話す。
翌日、ローズは愛人に電話した。
昨夜の騒動のおかげでジョージは精神的にかなり危ない状態だと周囲に思わせることができた。
殺人計画を決行するのに、今が最大のチャンスだと伝える。
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感想
ジョージは精神不安定のためナイアガラの滝に身投げして自殺した、という筋書きで、ローズと愛人は共謀して殺人計画を進めていました。
そのためにカトラー夫妻やオーナーに、事あるごとにジョージの不安定さをアピールしていきます。
ローズの場合は殺人計画の一端ですが、日常にも他人にレッテルを貼り周囲の人に悪印象を持たせようとする悪意に満ちた人は存在します。
目的は「敵の排除」というところでしょうか。
職場から、近所から、目の前から出て行ってほしい。
その一心で、やたら一生懸命に悪口を言い回ったり、ジッと監視するように睨み付けては過剰に攻撃してきます。
嫌いな人とは極力関わらないようにする、という私から見ると、なんで嫌いな人にほど過剰に目を光らせて関わろうとするのか、正直その精神構造は理解できないです。
存在を無視すればいいのに、と思うんですけどね…
傷の手当のためにジョージの部屋にやって来たポリー。
思いがけず親切にされて、ジョージは落ち着きを取り戻し、大人しくポリーに手当してもらいます。
消毒してもらいながら、戦争の後遺症で辛いことなどを吐露するのですが、ずっと泣き言を聞かされてポリーは「あなたは自分の悲劇を楽しんでいるわ」と言い放ちます。
悲劇的な出来事があった。辛い思いを抱えている。
そういうとき、誰かに話を聞いてもらって少し気はラクになります。
だけど聞いてもらえることが嬉しくて、つい喋りすぎてしまって、ずっとそんな話をしていたら、聞かされるほうはウンザリします。
ネガティブな思いを分けてしまうことですからね。
あまりにもガッツリと話を聞かされるのは、相手の心の負担になってしまうものです。
大切な人に負担に思われないように、辛いときは本当に解決策が欲しい時に相談するだけにして、グチや弱音の吐き出しは独り言で済ませられるとベストですね。
それにつけても夫婦そろって煩悩まみれのジョージとローズ。
滝の近くまで行っても、打たれないかぎり煩悩は消えないようです。
二人とも、見るだけじゃなくて滝修行をしてみれば無我の境地になって事件を起こさずに済んだのにー♪
って、ナイアガラで滝修行したら確実に死にます。絶対無理。
こんなバカなこと考える私も煩悩まみれ。
ちょっとイグアスの滝に打たれてきま… 絶対やりません!
全編通してナイアガラ瀑布に圧倒される映画です♪
実はだいぶ昔に行ったことがあるので、観光トンネルとか「霧の乙女号」とかすごく懐かしい気持ちになりました。
遊覧船の船着き場のスタッフにすごいイケメンがいたことを思い出し、場所が場所なだけにその人もずぶ濡れでした。
あぁ、水虫祟る… じゃなかった、「水も滴るいい男」ってリアルにいるんだ~、と花畑全開にアホなことを思ったこともついでに思い出しました。
この映画、サスペンスとしては弱いのですが、時間も短いし、ナイアガラ観光に行く前の予備知識として観てもいいと思います。
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