映画「ビッグ」あらすじと感想【ネタバレあり】早く大人になりたい願望を叶えてみると…?
1988年公開。
ペニー・マーシャル2作目の監督作品です。
主演のトム・ハンクスはこの作品でゴールデン・グローブ主演男優賞を受賞。
アカデミー主演男優賞もノミネートされました。
この数年後に2年連続で受賞する快挙に先駆けて、すでに演技派の顔を覗かせています。
ヒロインはエリザベス・パーキンス。
意地悪社員をジョン・ハードが演じています。
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あらすじ
コンピューター・ゲームが得意で、隣に住む親友ビリーといつも一緒に遊んでいる13歳のジョッシュ。
少し年上の女の子・シンシアのことが気になっている。
彼女も気さくに挨拶してくれるけれど、いつも一緒にいるのは同学年くらいの、車を持っている男の子たちばかり。
仲良くなりたくても、付け入るスキはなかった。
ある日、町にやってきた移動遊園地に家族と遊びに行き、ジェットコースターの列にシンシアが並んでいるのを見たジョッシュは、両親に「一人で行動するから」と言ってシンシアの元へ行く。
一人で来たように見せかけて大人びたフリをするけれど、両親は近くからジョッシュの写真を撮ってはしゃぐし、彼女と釣り合いの取れた男友達は現れるし、挙句の果てには身長が足りなくて搭乗拒否の憂き目に合う。
ジェットコースターに乗り込むシンシア達に背を向けて、ジョッシュはその場から離れた。
肩を落として歩いていると、誰からも見向きもされていない筐体が、片隅にひっそりと置いてあるのが目に入った。
透明ケースの中には、ターバンを巻いた異国の男性を模した人形が鎮座しており、ゾルターと書いてある。
書いてある指示通り25セントを投入すると、願いを言うように促された。
まだ子供であることに嫌気が差しているジョッシュは「早く大人になりたい」とゾルターに向かって呟く。
すると1枚のカードが出てきて「願いは叶えられた」という言葉が書かれてあった。
バカバカしい、と思いながら家に帰ったジョッシュ。
しかし翌朝目が覚めると、一気に体が成長し30歳の大人の外見になっていた。
パパの服を拝借して移動遊園地の場所に行ってみるが、すでに撤去されており、ゾルターのマシーンも無い。
ママに助けを求めようにも、侵入者およびジョッシュを連れ去った誘拐犯と勘違いされて追い立てられて家にいられなくなる。
ジョッシュはビリーの元に行き、やはりママと同様に、見知らぬ姿のジョッシュを怪しい人物と思ってパニックになる彼に、二人だけしか知らないオリジナルソングと振り付けで、自分がジョッシュであることを証明する。
着替えとお金を用意してくれたビリーの助言でニューヨークまで行き、元の姿に戻るために、次にゾルターがどこに現れるか手がかりを掴もうとする。
役所に出向いて移動遊園地の行き先の情報を教えてもらう手続きをするが、早くて6週間もかかると聞いて途方に暮れる。
そんなジョッシュに、ビリーは就職するように進言した。
おもちゃ会社のコンピューター部門の求人に応募し、みごと面接をクリアすることができたジョッシュは、中身は子供のまま大人の社会に入り込んでいく。
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感想
おもちゃ会社に入社したジョッシュは、休日に五番街の大手玩具店「FAOシュワルツ」でビリーと遊んでいるところをマーケティング中の社長に声を掛けられます。
足で踏むタイプの巨大鍵盤を、社長と連弾するシーンは有名ですね。
このときに発揮した遊び心が社長に好印象を残し、ジョッシュはコンピューター部門から商品開発部門に抜擢されます。
古参のスーザンやポールは面白くありませんが、ジョッシュの子供らしい純粋さはスーザンの興味を惹きます。
スーザンはポールと付き合っていて、ビジネスでも対等の立場に立つキャリアウーマンです。
タバコも吸い、仕草に色っぽさもある大人の女性なのですが、ジョッシュを嫌うポールの陰険さに呆れていました。
ジョッシュは会社のパーティーに、全身白の刺繍入り燕尾服で現れてポールたちに嘲笑されますが、スーザンは逆にジョッシュに近づき、一緒に抜け出そうと誘います。
ジョッシュはリムジンに大はしゃぎし、部屋の中はおもちゃだらけ、渋るスーザンをトランポリンに誘って、寝るときは二段ベッドの上と下。
大人の関係を期待していたスーザンは呆気にとられますが、最後にはその童心を忘れていない純粋さに真剣な恋愛感情を持ちます。
…まあ実際、見た目はオッサン・頭脳は子供!の逆コナンなので童心があるのは当たり前なのですが(;^ω^)
誰でも子供時代があったけれど、大人になるにつれて世の中の汚い部分もどんどん見えてくるし、しがらみも増えるし、常識や処世術も身に着けてきて、純真さは徐々に失っていきます。
そういうことに囚われずに成長する人は現実では少ないかもしれませんが、ときどき子供のように何かに夢中になっていたり、イタズラ好きだったり、性を匂わせずに一緒に楽しめる雰囲気をもった人に遭遇することがあります。
大人になっても子供の部分を多く残している人は、他人を惹きつける力があるのかもしれませんね。
例えば、ふなっしーの中の人… あわわわわ! な、中に人なんていないなっしー!
ちなみに上記の「FAOシュワルツ」は、2015年に閉店しましたが2018年11月に、ロックフェラーセンター前に場所を移して再オープンしました。
老舗の底力!
このお店は「ビッグ」以外にも、「ホームアローン2」や「赤ちゃんはトップレディがお好き」でも撮影場所として使われています。
仕事もスーザンとの関係も順調に行っていたジョッシュですが、次にゾルターが現れる場所も分かり、ホームシックから元の13歳の少年に戻ろうと決意します。
そしてスーザンに事実を告白しますが信じてもらえず、喧嘩状態になったまま翌日を迎えました。
新製品のプレゼンを手早く済ませたジョッシュは、タクシーを捕まえてゾルターの元に向かいます。
もう二度と会えないのではないかと胸騒ぎがしたスーザンは、すぐに後を追いました。
まだ大人の姿のジョッシュに間に合ったスーザン。
「こんな形で別れるなんてイヤよ!」と叫びますが、ジョッシュの「元に戻りたい」という願いはもう聞き届けられていました。
恋愛の終わりに綺麗な別れ方をするカップルは、そう多くないのでは、と考えます。
喧嘩してそのまま互いに相手を憎んで終わりとか、一方的な終局宣言とか、何となく連絡をとらなくなって自然消滅とか…
何かと傷ついたり悔恨を残したりすることのほうが多い気がします。
だけど、どんなに傷つくことを言われようと、スーザンのように追いかけて行って納得のいく形になるように話し合おうとする姿勢を持つ方が、気持ちに区切りはつけられるのではないでしょうか。
スーザンと大人の恋愛関係になった後、ジョッシュの服装は一変します。
それまでは会社でも派手な柄物シャツにジーンズとスニーカー、という子供らしい動きやすい服装だったのが、黒をベースにしたスーツと革靴に変化しました。
「大人になりたい」から「大人になった」への変貌には、まず見た目から変わっていくのかもしれません。
コメディなんだけど、ほろ苦い後味が残る作品です。
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