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「欲望という名の電車」あらすじと感想【ネタバレあり】舞台演技は計算の上

2022/07/06
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

1952年公開。

テネシー・ウイリアムズの戯曲を、初演舞台の演出も行なったエリア・カザン監督の手で映画化された作品です。

準主役のマーロン・ブランドキム・ハンターらが同役で続投し、ブランドの映画デビュー作になりました。

主演のブランチ役も、ロンドンで同役を演じたヴィヴィアン・リーが受け、二度目のアカデミー主演女優賞を獲得しています。

ハンターとカール・マルデンも同助演賞を受賞しました。

 

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あらすじ

ルイジアナ州ニューオリンズ。

“欲望”行きの路面電車から下りた女性・ブランチは、結婚してこの町に住む妹のステラの元に身を寄せた。

狭いアパートで大人三人での暮らしは窮屈で、ステラの夫・スタンリーはお高くとまっているブランチと相容れないこともあって彼女を毛嫌いした。

ブランチもまた、粗野で下品ですぐに怒鳴り散らして凶暴になるスタンリーが大嫌いで、ステラに別れるように進言する。

ステラは妊娠中だというのに、夫と姉の間で板挟みになりつつも何とかうまく調整しようと奮闘する羽目になった。

ブランチがここに来た理由が、両親や親族が立て続けに病死したため、抵当に入れていた屋敷を売却したためだと聞かされる。

介護費用や葬儀代を、いち教師のブランチひとりの給与では賄いきれなかったのだ。

ステラは生まれ育った屋敷が無くなりショックを受けるが、そう責められては反論できない。

しかしスタンリーは違った。

屋敷の相続権利はステラにもあり、それは引いてはスタンリーの財産にもなっていたものだから、勝手に売却したことに憤り、それを証明する書類を出すように迫る。

ブランチの荷物には、没落した人間には相応しくない毛皮やドレス、アクセサリーなどが詰まっており、屋敷を売ったお金は借金の返済ではなく、ブランチの道楽に消えたのだとスタンリーは考えていた。

ある日ブランチとステラが外出から戻ると、スタンリーの仲間たちが集まり、男たちは狭い部屋でカードゲームに興じていた。

ブランチたちはカーテンで仕切った向こう側の部屋に行くが、バスルームがこの部屋の隣のため、用を足しにいく人は横切っていくことになる。

仲間の一人、ミッチがそれでブランチたちの部屋に行くと、バスルームはステラが使用していた。

ブランチとミッチは挨拶を交わし、それでブランチは、ミッチが彼女好みの紳士的な振る舞いをする人だと気づいて好意を持つ。

ラジオをつけて音楽を流すと、その前にも怒鳴って止めさせていたスタンリーは激昂して、怒鳴りながらラジオを窓から投げ捨てた。

驚いたステラがバスルームから飛び出し、なおも暴れるスタンリーを抑えようとして殴られる。

アパートの上階に住むユニスがブランチたち姉妹を避難させてくれ、スタンリーは仲間に抑えられた。

しかし夜、ステラに捨てられたくないスタンリーは、外に出てユニスの部屋を見上げ、泣きながら必死にステラの名を呼び続ける。

 

感想

ひとりで屋敷を守り通すことができなかったブランチは、自分は弱い人間だと知っています。

だから自分は強い人に頼らないといけない、とステラに本音を打ち明けました。

強い人を惹きつけるために輝き続けるという信念を持ち、優しいだけではなく魅力的であろうとしますが、容姿の衰えによってそれが出来なくなってきていることに恐怖を感じています。

ステラ以外に身寄りがなく、勤めていた教職からも追われ、若い頃に結婚した夫は自殺してこの世にいない。

このハードな人生の中で、誰かに縋りたくなる気持ちは分かります。

己の弱さを分かっているところも、自己分析がちゃんと出来ていて、頭がいいと思います。

ただ、弱いのは自分だけではない、ということに目を向けていません。

凶暴マッチョのスタンリーだって、ステラに捨てられそうに(ダジャレのつもりはないっす…)なれば、寄る辺のない子犬の瞳になって泣き喚きます。

ミッチも病気の母を抱え、ブランチのとんでもない過去を知って動揺して逃げ出します。

強そうに見えても、誰でも弱い面があるのです。

それを支えようという気持ちがなく、自分だけが一方的に守ってもらおうと思っていることがブランチの不幸なのかもしれません。

ブランチはミッチのことが好きなのではなく、ミッチと結婚すればここから出ていけるから、という打算が働いています。

すごく自分本位で浅はかです。

相手の人柄や取り巻く環境をろくに見ず、自分の願望を叶えるための手段としてしか見ていないようでは、破綻はいずれやってきますね。

自分本意では幸せになれない、と分かりやすく理解できます。

 

この作品でのヴィヴィアン・リーの演技は、いかにも舞台というものになっていて、最初は違和感を覚えます。

だけど観ていくうちに、ブランチという女性が、ロマンチックすぎる妄想現実の世界で再現しようとしているから、芝居じみた仕草や表情・セリフなんかで、自分に酔っているのだと分かってきます。

“素敵な私”を演出して“素敵な彼”と恋愛したり言い寄られたりする一人芝居を普段からしている人なのだと。

それを考えると舞台演技はブランチという女性を表現するのにピッタリ当てはまり、最初に感じた違和感は、ブランチがすでに妄想と現実の狭間にいることに、観ているこちらが気づいていなかったためだ、と合点がいきました。

普段のブランチはかなりお花畑全開の人で高めの声でキャピキャピ (死語) しています。

だけど真実を突きつけられたときや狂気を纏ったときは、低い声で相手に挑むような話し方になり、目が離せなくなるほどの怖さがあり、同時に面白くなりました。

他のキャストたちもいいのですが、リーの演技力は頭一つ抜けているくらい圧倒的です。

しかもおそらく全部計算の上でやっています

だから効果的。

後半のこの演技だけでも一見の価値がある作品です。

 

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