映画「さよなら。いつかわかること」あらすじと感想【ネタバレあり】言い出せなくて…
ジョン・キューザック主演のヒューマンドラマです。
ワンシーンだけ、マリサ・トメイが出演しています。
クリント・イーストウッドが音楽を手掛けました。
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あらすじ
シカゴのホームセンターで働くスタンレー。
軍人である妻グレースは現在戦地に行っており、12歳の長女ハイディと8歳の次女ドーンと一緒に、彼女の帰りを待っていた。
しかしある朝、グレース戦死の知らせが届く。
その際、45日間は遠くに行かないでほしい、と言われた。
仕事を休み、呆然と床に転がって一日を過ごす。
帰宅した子供たちが、玄関先に置いてあったキッシュを持ってきて食べようとするのを、スタンレーは止めた。
そして母の死を娘たちに伝えようとするが、どうしても言葉にすることが出来ず、彼女たちを外食に連れ出す。
自分の気持ちを持て余すスタンレーは、そのまま娘たちとドライブ旅行に行くことにした。
ドーンがフロリダにあるテーマパーク「魔法の庭」に行きたい、と言うので、そこを目指す。
だがスタンレーは途中で気が変わり、実家に寄ることにする。
母が一人で暮らしていると思っていたが、32歳でニートの弟ジョンが同居しており、母は不在だった。
ジョンと娘たちだけで外食に行かせ、スタンレーは実家のベッドで横になって嗚咽した。
帰宅したジョンは、友人からの電話を受ける。
そこで彼はグレースの死を知ってしまう。
娘たちに早く言うべきだとスタンレーに進言するが、まだ迷いがあるスタンレーはジョンに掴みかかり、すぐに娘たちを連れて実家を後にした。
フロリダまでの長い道中、ハイディは父の様子がおかしいことに不安感を持つ。
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感想
大きな山場というのは特になく、ひたすら、妻の死を娘たちに伝えられず自身の心の整理もつかない父の葛藤と、そんな父に振り回されて何があったのか分からずに戸惑う娘たちの姿を追っていきます。
殊更に感動を盛り上げようとしたり反戦メッセージを送っているのではなく、家族を失った悲しみに焦点を当てており、戦争で家族を失ったわけではない観客にも共感できるものだと思いました。
娘たちにとっての母親の死を告げる。
自分でも受け入れがたい事実にスタンレーは懊悩し、旅先から何度も自宅に電話をします。
留守番の音声録音はグレースが吹き込んでいたからです。
彼女の肉声が聞ける唯一の手段に縋り、自分の悩みを彼女に相談する形でスタンレーは気持ちを吐露していきました。
早く言わなければ、と頭では分かってはいても、なかなか決心がつかない。
その心の揺れが、気まぐれに娘たちを振り回しているようにも見え、尋常ではないことを察したハイディは特に気を使います。
子供って、意外と親の変化に敏感だし、親に気を使うんですよね。
特にハイディはおねえちゃんだし「しっかりしないと」という躾をされてきたんだろうな、と。
彼女は、荷物をまとめる暇さえない突然の旅行に、学校の心配をして、ホテルの部屋から連絡を入れます。
(学校の電話番号を暗記しているのすごいな)
欠席はあっさり認められ、電話に出た先生の声には気遣いのようなものが感じられます。
グレースの死は、周囲には知れ渡っていました。
だから近所の人はキッシュを作って玄関先に置いていたんですね。
アメリカの風習のようで、お葬式にはキッシュが山積み、なんてこともあるようです。
でもまだ娘たちに知ってほしくないスタンレーは「食べるな」と言い、口さがない近所の噂や声掛けから知らされるよりは、と旅行に連れ出したのだと思います。
45日間の待機は無視して。
そのくらいスタンレーは動揺しています。
フロリダまでの長い道中は、決して楽しいものではありませんでした。
ドーンも次第に母親が恋しくなってきます。
母の死をまだ知らなくても、不在が寂しかったのでしょう。
そして「魔法の庭」で一日楽しく過ごした後、スタンレーは娘たちにグレースの死を告げます。
抱き合って声を上げて泣いた三人は、そのまま寄り添って水平線に沈む夕日を眺めます。
事実を静かに受け入れ、乗り越えていくものを見据えているようでした。
グレースのお葬式で、ハイディは母の人生を読み上げ、スタンレーもドーンも泣かずにしっかり立っています。
軍人を身内に持つ方は、もしかしたら「国のために立派に戦って死んだ」と受け入れる覚悟が元からあるのかもしれません。
だけど戦死の知らせを受けたら、やはりショックは大きいわけで…
覚悟をしていたはずのことでも、現実として受け入れるには時間が必要なのだと思います。
キャスト全員の演技がナチュラルで、とても現実感がありました。
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