映画「羊たちの沈黙」あらすじと感想【ネタバレあり】強烈な絵面の人肉食
トマス・ハリスのベストセラー小説を映画化し、第64回アカデミー賞の主要部門を総なめにしたサイコ・スリラーです。
イエール大卒の才媛でありながら、それまでどこか下品な感じの女性を多く演じてきたジョディ・フォスターが、ようやく本来の頭の良さを出した知的な役を演じています。
どういう役柄でもピッタリとハマる演技ができて、安定感のある女優さんですね。
「告発の行方」に続き、この作品で2度目のアカデミー主演女優賞を受賞しています。
対して、普段から紳士的な雰囲気を醸し出しているアンソニー・ホプキンスは、「連続猟奇殺人鬼」という、紳士とは真逆のような存在を、敢えて紳士的に演じて圧巻の不気味さを出しています。
こちらもアカデミー主演男優賞を受賞。
この後も「ハンニバル」「レッド・ドラゴン」で同役を演じています。
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あらすじ
若い女性が生皮を剥がされる猟奇殺人事件が連続で起こり “バッファロー・ビル事件” として全米を揺るがせていた。
FBIアカデミー訓練生のクラリス・スターリングは、行動科学課主任のクロフォードから、元精神科医で連続猟奇殺人犯のハンニバル・レクターと面会して、用意した質問に答えてもらってくるように命じられる。
レクターはクラリス自身に興味を持つが、クロフォードの用意した質問には一切答える気がない。
諦めて帰ろうと出口に向かうクラリスに、隣の房の囚人が精子をかけるという無礼を働く。
ショックを受けるクラリスをレクターは急いで呼び戻し、今の非礼のお詫びに「自分の以前の患者モフェットに会え」という情報をくれた。
元患者の情報を得るため、レクターが借りているボルティモアの貸倉庫を開けると、瓶詰の生首を発見して言葉を失う。
再びレクターに会いに行き、あの首は誰なのか聞くと、やはり元患者のラスペールという人物だった。
殺したのは自分ではない、というレクターは、バッファロー・ビルの資料をよこせと要求してきた。
何か関連があるのかと訝るクラリスに、レクターは捜査資料を読み込み、心理分析をやってみろ、と助言し、自分も手伝う、と申し出た。
レクターは「犯人はもう次の獲物を狙っている」とクラリスに伝えるのだった。
河から新たな遺体が見つかりクラリスもクロフォードに同行して検死に立ち会う。
遺体の喉から虫の繭が出てきて、クラリスは専門家に見てもらうことにした。
アジアにしか生息していないはずの珍しい蛾のサナギと判明する。
レクターの予言どおり、バッファロー・ビルの新たな犠牲者として、上院議員の娘キャサリンが誘拐された。
クラリスはキャサリンを救うべく、レクターの心理ゲームに付き合う。
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感想
レクターは8年間独房で拘束されており、その間女性を1度も見ていません。
そこへ若い美人クラリスが現れたのですから、確かにそれだけで彼の興味を惹いたと思われます。
しかし初対面のクラリスは、精神科医のレクターからすれば、分かりやすくて面白くない人間だったのかもしれません。
ファッション小物使いのチグハグさや南部訛りから、都会に憧れているただの田舎娘、と一刀両断して、質問に答える気はないね、と突っぱねました。
呼び戻して情報を与えたのは偶然の産物でしたが、その後、ラスペールの首について聞きに来たクラリス (雨の中を走ってきたのかずぶ濡れ) にタオルを渡します。
そしてバッファロー・ビル事件について解決の糸口を掴めるように誘導するようになります。
クラリスを昇進させるために。
おそらく情報を素直に聞き入れ、すぐに行動してあの生首まで辿り着いた気骨を気に入ったのかもしれません。
田舎から出るために相当な努力をしてきた、とレクターはクラリスを分析しましたが、自分が分析した以上のものを何か内面に秘めている、と考えたのでしょう。
もしかしたらコレ、原作ではもっと言及されている部分で、私の解釈はトンチンカンかもしれません。
原作は一度読もうとしたのですが、途中でぎぼぢ悪ぐなっで止めまじだ。
それ以来レクターは、バッファロー・ビルについての情報を差し出す代わりに、クラリスの個人情報・過去のトラウマについて語らせて彼女のことをもっとよく知ろうとします。
トラウマを聞くことで彼女の弱さを知ると同時に、自分の与える情報を有効活用し打てば響くような結果を出してくる強さにも惹かれたのではないでしょうか。
教えたことを素直に受け取って期待に応える、優秀な生徒のようでもあったこともレクターが彼女を気に入った点かもしれません。
好意が高じて相手を食べちゃいたい♡ と比喩されることがあります。
しかしレクターは、嫌いな人ほど食べちゃいたい♡ なようです。
そもそもレクターが捕まっているのは、何人もの人間にかぶりついて殺しちゃってるから (殺してから食べるもアリ)
カニバリズム… 絵面的に強烈なものがありました。
しかしクラリスにはかぶりつきません。
おじさんとかよりよっぽど美味しそうなのですが (なんだこの感想)
決して彼女がつけている香水が、ぎぼぢ悪ぐで食欲失ぜるがら、ではないと思います。
※レール・デュ・タンは良い香りの香水です
脱走前に彼女には自分のメモ入りの資料を渡しています。
そのときに指でそっと彼女の手をなぞり、自分の意志を伝えました。
バッファロー・ビルの逮捕を彼女に託し、レクターは脱走。
がぶがぶ食べまくって無事に逃げおおせます。
事件が無事解決し、クラリスも正規の捜査官になったところでレクターはクラリスに電話をかけます。
しかし直に会おうとはしません。
彼女のことは食べようとも傷つけようともしません。
むしろ自分をいびりまくり、上院議員に引き渡したチルトンは食べます。
おそらくクラリスがビルに殺されていた場合、レクターはクラリスの能力に落胆するだけで、死ぬこと自体はわりと平気だったかもしれませんが、それでも他の人間より彼女を気に入っていたことは確かです。
自分の手では傷つけたくない。
そう思うくらいには特別だったのではないかな、と考えます。
誰でも本来は好きな人を傷つけたくなんかありません。
だけど愛憎がもつれたり、愛しすぎると壊したくなる、という気持ちがムクムク湧いてくる不思議な現象も心の中では起こります。
少し落ち着いて、それこそレクターのようにリゾート地に遊びに行って離れてみるのもいいかもしれないですね。
芯が強いクラリスにも、まだ内面には子供の部分があり、その弱さがギャップになってレクターの気を惹いたと思います。
しかしラスペールに関して「どうしようもないほど変態」と分析し、さらに「話してても退屈な平凡な男」と感想を述べています。
変態だけど平凡!!
なんですかこの、ギャップ萌えしない反意語の組み合わせは。
普通さ、ギャップがあったら萌えるものじゃないですか?
不良が動物に優しいとかさ、気が強い子が泣くとかさ…
ギャップにも萌えるものと、ドン引きするものがあるのですね (当たり前か…)
みなさま、組み合わせを間違えないように。
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