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映画「告白小説、その結末」あらすじと感想【ネタバレあり】ポランスキーのサイコ・サスペンス

2024/06/21
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督の、サイコ・サスペンス作品です。

主演は監督夫人のエマニュエル・セニエ

彼女に近づくミステリアスな女性を、「007 カジノ・ロワイヤル」でボンドガールを務めたエヴァ・グリーンが演じます。

そして脚本には「夏時間の庭」などの監督オリヴィエ・アサイヤスが参加しています。

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あらすじ

精神錯乱から自死した母親をモチーフにした私小説で、処女作にしてベストセラー作家に仲間入りしたデルフィーヌ

しかし次作が書けずスランプに悩んでいた。

サイン会も途中で切り上げ、パーティーも気乗りしない。

そんな彼女の前に、熱心なファンだという女性エルが現れた。

話してみると、とても面白い。

エルは著名人たちのゴーストライターとして活躍していて、同じ物書き同士で気が合った。

デルフィーヌの話を熱心に聞いてくれ、辛口だけど正直だ。

次作は完全フィクションにすると決めているが、エルは私小説にするべきだとアドバイスしてきた。

エルとの出会いで執筆ができるようになりそう、とデルフィーヌは期待し、そんな心境を夫のフランソワに打ち明ける。

応援してくれるフランソワは、テレビ番組の司会者をしており、署名な作家にゲスト出演してもらってインタビューしている。

近くアメリカに行く予定でもあった。

エルから誕生日パーティーに招待され、斜め向かいのアパルトマンに住んでいる彼女のところにデルフィーヌは向かう。

しかし招待客は自分以外誰もいない

毎年、招待しても無視され続けている、と聞かされてエルの孤独をデルフィーヌは知った。

ある日、無記名の手紙を受け取る。

中を見ると、処女作の内容に関して非難する手紙だった。

親族の内の誰かが書いたもののようである。

不安に駆られたデルフィーヌはエルを呼び出して相談に乗ってもらう。

エルによるとFacebookでも炎上しているという。

登録した覚えがない。

見えない恐怖に縮こまるデルフィーヌに、エルは同居を申し出てきた。

 

感想

フランス語のエル (Elle) は「彼女」のことで、英語ではSheに該当します。

この名前を聞いてデルフィーヌは「おかしな名前だな」と違和感を持ちました。

話を聞いたフランソワも同じ反応です。

この時点で観ている側も、偽名だな、と察しがついて、エルの動向に注視していきます。

誕生日パーティーに招待しても誰も来てくれないエル。

こんなに嫌われているってことは相当なことをやらかしているはず。

それは何だろう?

こんな感じで、彼女の正体を知りたくてラストまで引っ張られます。

同居をする前から、頼んでもいないのにデルフィーヌのスケジュール管理やメール返信など秘書気取りの彼女。

一緒に暮らすようになると余計に口出しするようになり、正直ウザいです。

だけどデルフィーヌはエルに頼りまくり。

パソコンのパスワードを教えて好き放題に触らせるし、執筆のための大事な構想ノートは広げっぱなしにするし…

デルフィーヌの危機管理意識の低さにイライラしました。

観ているこっちは、手紙を送ってるのもネットで炎上させてるのもエルが犯人でしょー! と思ってますからね。

途中でデルフィーヌに成り代わってエルが講演会に出席するために外見を近づけたとき、この作品は「ルームメイト」と「ミザリー」を足した感じを目指したのかな、と感じました。

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ありきたりなサイコ・サスペンスになりそうだな、と思っていたのですが…

捻ってましたね

気づかなかったです。

 

エル自身が空想上の友達 (イマジナリー・フレンド) の話を出したのは最大のヒントだったんですね、彼女の正体を知る上で。

デルフィーヌを自分に依存させようとするエルと、エルが話す彼女の人生を内緒で執筆しようと狙うデルフィーヌ。

この互いの腹の探り合いからストーリーは面白くなっていったのですが…

すべてはデルフィーヌの幻覚だったのでしょうか。

自死した母をネタにして作家になったことへの後ろめたさ。

それでも書きたい、という自身の希望。

その相反する気持ちが、デルフィーヌの中で希死念慮と生存本能のせめぎ合いを引き起こして、エルというイマジナリー・フレネミーを作ったのかもしれません。

デルフィーヌが作り出した人物ならば “エル” という名前は “何者でもない女性” の象徴として捉えることができます。

近年、イマジナリー・フレンドはよくネタとして扱われていますが、ポランスキーがやるとは思わなかった(;´∀`)

やられました。



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