映画「ワーキング・ガール」あらすじと感想【ネタバレあり】パクラーマンに天誅!
80年代後半は、日本はバブル景気の真っ最中で、会社員たちの生活がこの上ないほど潤っていた時期でした。
同盟国であるアメリカも同様で、この頃のハリウッド映画は、野心溢れる会社員が出世の階段を昇ろうとするプロットの作品が多くあります。
「ワーキング・ガール」もそういった作品のひとつで、学歴が低い、というハンデがありながら知恵と度胸で昇りつめようとする30歳の女性の奮闘を軽やかに描いています。
メラニー・グリフィスの初主演作にして代表作。
ハリソン・フォードやシガニー・ウィーバーらが脇を固めて、何気に豪華キャスト。
まだ無名の頃のケヴィン・スペイシーがワンシーンだけ出演しています。
監督はマイク・ニコルズ。
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あらすじ
証券会社で秘書業務をしているテスは、毎日終業後にはいろんなスクールやセミナーに通って正式な証券マンになることを目指している。
しかし上司は彼女の「夜間学校&秘書養成専門学校」という学歴を軽視して、証券マン養成コースの受講を許可してくれない。
ガッカリするテスに、アシスタントを探している有力者を紹介するから、と喜ばせるが、その人物は下品極まりない好色男だったため、からかわれたと知ったテスは、仕返しに上司の悪口を社内の電光掲示板に流す。
おかげで人事異動させられることになり、合併・買収を主とする部署に配属された。
今度はボストンから新しく来たばかりの女性重役・キャサリンの秘書として働くことになる。
テスより年下だが、スマートに仕事をこなし、テスにもアシスタントとしてアイディアをどんどん出してほしい、と気さくな面を見せるキャサリンに、テスはすぐに好感を持つ。
テスは、トラスク産業が持つラジオ局の買収を考えており、それをさっそくキャサリンに打診してみた。
あまり気乗りした様子のないキャサリンだったが、考えておいてくれるという。
これが上手くいけば、ずっと弾かれていた証券マン養成コースに推薦してもらえる。
一歩前進した気持ちになるテスだった。
そんな折、翌日に休暇を満喫していたキャサリンがスキーで足を骨折してしまい、しばらく休職することになってしまう。
キャサリンは仕事だけではなく、家のことまでテスに代行させた。
入院中のキャサリンの家を任されるが、そこで彼女がテスに内緒でラジオ局買収のアイディアを盗用して、デューイ社に勤めるジャックという男性と組んで自分たちだけの手柄にしようと企てていることを知ってしまった。
キャサリンの裏切りにショックを受けて帰宅すると、同棲中の恋人・ミックが女性を連れ込んで、言い逃れ出来ない行為の真っ最中にさらにショックを受ける。
そのままアパートを走り去り、しばらくキャサリンの家で寝泊まりすることにした。
それと同時にキャサリンを出し抜いて、自分が手柄を上げようと行動を開始する。
キャサリンが手を組もうとしていたジャックに近づくためアポを取り、さらにアポ前日のデューイ社のパーティーにも顔を出す。
そこで一人の男性にナンパされて前後不覚になるほど酔ってしまったテスは、翌朝その男性のベッドで目を覚まして仰天する。
パニックになりながら大急ぎで出社してデューイ社に出かけていくと、約束していた相手・ジャックは今朝ベッドで一緒にいた男性その人だった。
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感想
キャサリンにアイディアを盗まれる寸前だったことが分かり、はげしく落ち込むテス。
家に戻ると、ショックに追い打ちをかけるショッキングシーンに動揺して、荷物も持たずに走り去ってしまいます。
彼氏の浮気現場。
そんなもん見たら「アタマは真っ白、目の前は真っ暗」に当然なります。
関係だって終わりです。
しかしミックは、もう誤魔化すこともできない、まごうかたなき真の浮気現場というのを見られたというのに、事あるごとにテスへの未練をチマチマ出していって復縁をしようとします。
ろくに謝らず←ここポイント
テスの親友・シンシアの婚約パーティーで久しぶりにミックと顔を合わせるテスですが、「元気?どうしてる?」的な、当たり障りのない会話のみで核心に迫る話はしません。
(おめでたい席で、そんなケンカになりそうな話題はするはずありませんけどね)
しかしパーティーの賑やかな雰囲気に流されたのか、テスの気持ちを置いてけぼりにして、ミックはみんなの前でひざまづいて「結婚してください」とテスに言ってきました。
テスは( ゚Д゚) ←こんな顔になって目を泳がせたあと「考えさせて」と返事をします。
そのままパーティー会場を出たところで、追いかけてきたミックに「恥をかかせやがって」と怒られるのですが…
いや、だって浮気の件、うやむやだよねぇ?
浮気は男女問わず、「相手を許せない裏切り行為」のかなり上位に食い込みます。
それなのに謝ることが苦手な人は、ろくな謝罪もせずに、ほとぼりが冷めただろう、くらいの考えで許されたと勘違いすることがあります。
そして適当に流したまま “結婚” をチラつかせたり、こんなふうにいきなりプロポーズして、それを謝罪代わりにしたり…
許せない気持ちを抱えていても、プロポーズされて舞い上がって許してしまう人もいますが、本質を置き去りにしたまま、なあなあで結婚しても上手くいくのかは疑問です。
気にしすぎていては結婚できない、というのも分かりますが…
何年もずっと続いていくものですし、やっぱりよく考えたほうがいいとは思います。
ましてやミックがやったような、こちらが断りづらい状況でっていうのは… ねえ?
「やめといたほうがいいぞ、この男」という囁きが絶対自分の中から湧いて出るでしょうね。
ネットが普及してからパクリは容易くバレるようになったのですが…
オマージュだのインスパイアだのと、つべこべ抜かして煙に巻いてちゃっかり人様のものを自分のものにしようとするパクラーマンは、いつの世も存在します。
ラジオ局買収について、テスは普段からいろんな新聞や雑誌に目を通して情報収集を怠らない努力をしていたからこそ思いついたのであり、それを実現させる道筋も彼女自身が考えて温めていたアイディアでした。
ある程度、現実化への構想がかたまって、満を持してキャサリンに打ち明けたのだと推察します。
それなのに自分を完全排除して丸パクしようとしていた、なんて分かったら激怒するのは当たり前。
結構前の話ですが、銭湯絵師見習いとかいう肩書の人がライブペインティングで有名イラストレーターさんの作品をパクッて大ごとになりましたが、盗作を認めずにいたらかえって過去の盗作作品がガバガバ見つかるわ、twitterでの発言まで他人のツイをパクッていたことが明らかになるわ、他人の経歴に背のりしていたことまでバレて、ちょっとした祭りになりました。
さすがにここまで何もかもパクるのは「人間的に中身が何もありません」と自己紹介しているようです。
正直ゾッとしました。
中身が何もないけれど自己顕示欲を満たしたい人がパクリに手を出すのでしょうね。
だけど許されることではありません。
この作品では「ラジオ局買収を思いついた経緯」をトラスク産業社長にきちんと説明できたテスが最後には信用されるオチになっています。
キャサリンは社長に訊かれたとき、しどろもどろでした。
結局ニセモノはこういうところで足がつきます。
今の時代、パクリは必ずバレます。
昔のように隠ぺいが容易ではないことを胸に刻んで、ズルいことせずに自分自身で勝負していかなきゃな、と自戒を込めてここに書いておきます。
ビジネスの世界を扱った映画ですが、ロマンティック・コメディにしてあるので、ビジネスに明るくない人でも取っつきやすい作品になっています。
カーリー・サイモンが歌った主題歌「Let the River Run」も、OPとEDを盛り上げる名曲です。
力強い歌声が、明るいサクセスストーリーにぴったりでした。
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