映画「アンタッチャブル」あらすじと感想【ネタバレあり】サスペンスの演出が俊逸
禁酒法時代にシカゴを牛耳っていた有名なギャング、アル・カポネとその組織を壊滅するために立ち上がったエリオット・ネス率いる特捜チーム「アンタッチャブル」の戦いを描くサスペンス・アクションです。
ネス本人の回顧録がベースになっていますが、ドラマ性を盛り上げるために大幅に改変してあり、エンタメ色を強くなっています。
この作品でネスを演じたケヴィン・コスナーと、アンタッチャブルの一員・ストーンを演じたアンディ・ガルシアが注目されて、順調なキャリアを築くきっかけになりました。
カポネ役のロバート・デニーロは安定の演技力。
ショーン・コネリーもまた、この作品でゴールデングローブ及びアカデミー賞助演男優賞を獲得しています。
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あらすじ
1930年代。
禁酒法が施行されている中、ギャングのアル・カポネはシカゴを支配し、密造酒の売買で大儲けをしていた。
気に入らない人間は手下を使って殺害し、子供が巻き添えになることも厭わない。
そんな横暴ぶりに、財務省から酒類取り締まり局の捜査官エリオット・ネスが市に派遣されてきた。
シカゴ警察の警官たちの上に立ち、カポネ逮捕の指揮を執る。
カポネがカナダビールを密輸入した、という情報を掴み、荷物が搬入される倉庫に一斉突入をしたが、一杯食わされてしまった。
警官たちには嘲笑され、新聞にも「黒星」と書かれてネスは落胆する。
橋の上で苦々しく新聞を丸めて川に投げ捨てると、巡回中の警官に咎められた。
捜査チームの人間ではない。
その初老の警官ジム・マローンとのやり取りで、警察内部が腐敗していることや、彼自身は真っ当な警官であろうとしていることを知る。
翌朝、カポネが仕掛けた爆破事件の巻き添えを食った少女の母がネスを訪ねてきた。
娘の仇をとってくれるよう懇願する彼女を見て、ネスは決意を新たにし、チームを再編成する。
信用できる人間たちで固めるため、まずはマローンをスカウトした。
カポネの狡猾さと残酷さを知っているマローンは二の足を踏む。
そのため一度は断るが、警官の仕事を全うしたいという気持ちが強く出て、翌朝ネスのところに出向いて仲間に入った。
そしてマローンの提案で、まだ汚職に染まっていない警察学校の生徒を入れることになり、射撃の成績が優秀なストーンが加入。
ここに財務省から手助けに来た会計士のウォレスが加わって、この4人で「アンタッチャブル」という特別捜査チームが完成した。
すぐに密造酒売買の情報が入り、4人揃って銃を携えて現場に向かう。
今回は大金星だった。
その場にいたカポネの手下たちを全員摘発し、ネスたちは新聞に称えられた。
喜んだのも束の間、まだカポネ本人を逮捕する決め手がない。
カポネの帳簿から不審点を見つけたウォレスは、まずは脱税容疑で逮捕してみないか、とネスに提案。
カポネのせいで何人も命を落としているのに脱税では軽すぎる。
ネスは不服だったが、まずは捕まえることが先決と割り切り、その提案を受け入れた。
そんな話をしているとき、市会議員をしているという男がネスの元にやってきた。
賄賂を寄越され、カポネから手を引くように言われたネスはそれを突っぱねる。
その夜、仕事を終えて家の前まで辿り着くと、反対車線に駐車していた男に声をかけられた。
白いスーツを着たその男は「家族に何か起こらないよう、せいぜい気を付けるんだな」と警告して去っていく。
全身に戦慄が走り、ネスは妻と娘の名を呼びながら急いで家の中に入り、ふたりを探し回った。
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感想
手始めにマローンが仲間になりましたが、まだ人数が全然足りません。
とはいえ警官たちのほとんどは汚職まみれの信用できない者ばかりでスカウトできない。
どうしよう、とマローンに相談すると「腐ったリンゴがいっぱいの樽からキレイなリンゴを探すのは大変だ。まだ腐る前のリンゴを収穫すればいい」と言われて、ふたりで警察学校に出向いてストーンをスカウトしました。
日本では昔の学園ドラマから「腐ったミカン」と表現されるのが有名ですが、リンゴもまた樽の中に腐ったものがあれば、ほかのリンゴも腐っていく…
朱に交われば赤くなる、の法則ですね。
道徳や人道に背いた行いだと分かっていながら、上の者がそうだから、正直者が馬鹿を見る世の中だから、と染まっていってしまうんですよね。
とある遊郭で育った方たちが、自身が女性不信になった理由を「田舎から出てきたオドオドしたウブな娘も、数か月すると着物の裾も気にせず足を開いてご飯を掻っ込むスレた女に全員なってしまうから」と語っていたことがあります。
染まらざるを得ないという圧が、やっぱりどんなところにもある、ということなのでしょう。
そうした中から染まっていない人物を探し出すのは確かに至難の業です。
マローンの言うとおり、まだ腐っていないリンゴは、自分からリンゴ狩りに参加してもぎ取るのが一番信用できるやり方です。
まだ染まっていない人は、愚直ともいえるくらい素直に従うことが多いです。
何かの事情で仲間を増やしたいときは、これまでとはガラリと違う人選をしてみると、新しい価値観に出会えるのかもしれません。
ヒッチコック監督の大ファンだというブライアン・デ・パルマ監督だけあって、サスペンスの雰囲気がカッコいいです。
特にマローンが自宅で狙われるときの演出。
外から彼の自宅を確認し、襲撃の配置につくビリー・ドラゴ演じる悪役の、陰影のあるショットが、俯瞰の構図とも相まって「シブ~~~い (死語) 」と言いたくなるくらいクールでした。
衣装担当がジョルジオ・アルマーニなこともクールさを倍増させています。
襲撃されるマローンも、元祖ボンドだけあってタフな戦い方で緊迫感を盛り上げます。
さらに「戦艦ポチョムキン」のオマージュになっている、階段から落ちる乳母車をストーンが掴むシーンは、アンディ・ガルシアのキャリアの中でもとりわけ彼をカッコよく魅せる名場面。
ハラハラ・ドキドキしながら、命がけの戦いに挑む男たちのカッコよさを堪能できる作品です。
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