ディズニー「白雪姫」あらすじと感想【ネタバレあり】昔から変わらないオカン像とツンデレ像
1937年に全米公開。
日本では戦後の1950年になってようやく公開された、ディズニー初であり世界初でもある劇場用長編アニメーション作品です。
カラーなことも初めてでした。
漫画の神様・手塚治虫先生も50回は観たと言っていましたが、確かに何度観ても飽きることのない面白さです。
テクニカルな面も凄ければ、音楽やキャラクター造形・演出なども抜かりがなくて、子供だけではなく大人も楽しめます。
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あらすじ
雪のように白い肌に赤い小さな唇、艶やかな黒髪のプリンセス・白雪姫。
父王が亡くなった後、後妻である王妃からは召使い扱いされ、ボロ服をまとって家事をさせられていた。
容姿に絶対の自信を持つ王妃は、毎日魔法の鏡に「この世で一番美しいのは誰?」と尋ねる。
鏡が「それはあなたです」と答えるのを聞いて満足していた。
しかしある日鏡は、一番美しいのは、ボロを着ている肌が雪のように白い娘だと答えた。
誰のことかすぐに分かった王妃は、白雪姫を亡き者にしようと画策する。
そのころ、歌が大好きな白雪姫は、小鳥たちと歌いながら井戸の水を汲んでいた。
森を散策中だった他国の王子の耳に、美しい歌声が聞こえてくる。
興味を引かれた王子は声のする方向に出向き、そこで楽しそうに歌う白雪姫を見つけた。
そっと近づいていって一緒に歌うと、白雪姫は驚いて家の中に入ってしまう。
素敵な人だけれどボロ服を着ている自分が恥ずかしい。
それでも窓から顔を出して会話をし、互いに一目惚れして帰って行く王子を見送った。
白雪姫殺害を王妃に命令された狩人が、白雪姫を森に連れ出した。
ナイフを振り上げるが殺すことができず、白雪姫に遠くへ逃げるように急き立てた。
白雪姫は必死に森を駆けるが、王妃が自分を殺そうとしている事実と、暗い森の幻覚が彼女の恐怖心を煽り、ついには地面に突っ伏して泣いてしまう。
しかし森の動物たちが心配して慰めると元気を取り戻した。
そして白雪姫は、優しい動物たちの案内で小さな家に連れて行ってもらう。
生活感のあるその家は家具類が全部小さい。
そして長年掃除がされた形跡がないため、白雪姫は動物たちに手伝ってもらって徹底的に掃除した。
この家の住人は7人の小人たち。
鉱山で宝石を採る仕事をしており、きっかり定時退社。
今日の仕事を終えて家に向かっている間に、掃除を済ませた白雪姫は睡魔に勝てず、小人たちのベッドを占領して眠ってしまう。
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感想
事件の発端となる鏡とのやり取り。
王妃は毎日鏡から「あなたはお美しい~。おっふ♡」と言われていれば満足でした。
(よく考えるとコレかなり虚しい)
しかしあるとき鏡が真っ正直に「一番美人は白雪姫っスね(鼻ホジ)」と言ったせいで、王妃は大激怒。
白雪姫殺害を企てます。
(よく考えるとコレもかなり斜め上の発想)
さて「白雪姫」で一番悪いヤツは誰だ? という話になったとき、実は鏡もヴィラン側として候補に挙がります。
鏡が空気読んで「そりゃあ、王妃様の大人の色気の前では、誰も敵うわけないッスよ~(ヘイコラ)」とでも言っておけば、王妃満足・白雪助かる、だったわけです。
まあ鏡が正直でないと物語が始まらず、7人の小人との出会いもないので仕方がないのですが…
それに下働きのままだとシンデレラとキャラ被っちゃうし。
とはいえ現実では、噓も方便でいきましょう。
人を誰か別の人と比べて、あっちの人の方が優れている、なんて無神経なことをいうのは最悪です。
実際に思っていることを正直に言うより、相手を気分よくさせるほうが人間関係の摩擦も少なくすみます。
そういえば以前、何だったかの診断テストで「あなたは魔法の鏡です。一番美しい人は誰? と聞かれて、なんと答えますか」という質問がありました。
そして選択肢のひとつに「普通の鏡のふりをして答えない」というのがあり笑ったんですが、聞かなかったことにする、というのもアリかもしれません。
※鏡のキャラが映画とだいぶ違っていますが、私の中の鏡像が先行してしまいました。
鏡ファンのみなさま、すみません。
その後、住まわせてもらう代わりに家事や炊事を請け負うと申し出た白雪姫。
おこりんぼ以外の小人たちは大歓迎です。
そして白雪姫は食事の前に手を洗うように言って聞かせます。
汚れている手を隠す小人たちに、腰に手をあてて怒ってみせたりして、居候なのにオカンのようです。
小人たちが帰る前にも、家を掃除するシーンがあったのですが、実は動物たちが頑張っていて、白雪姫自身はあまり動いていません。
指示出し… つまり司令塔の役割になっています。
家庭の雰囲気は母親が作る、と一般的に言われています。
太陽のように明るいお母さんが仕切っていると、家庭の雰囲気も明るいようです。
キッチンを仕切る人がその家の司令官になるらしいので、お母さんが家庭内のボスになることが少なくありません。
自分でも家事ができるけれど、場を取り仕切って人を動かす能力がある陽気な人、というのが理想的な母親像だと見受けます。
まだ10代前半の白雪姫ですが、実はかなり理想の母親に近い女の子なんですね。
しかも完ぺきなスレンダー女子ではなく、ちょいポチャというか、健康的にお肉が顔やボディについているのがまたオカンの貫禄を出しています。
そしてオカン的女子はモテます。
それも「いいお嫁さんになりそう」と本命視されるモテかたです。
モテの秘訣は実は白雪姫にあったのか…… といまさら知って呆然となりました (手遅れ)
さて、7人の小人それぞれにキャラ付けされているディズニー版白雪姫ですが、その中で特に突出したキャラが “グランピー” こと、おこりんぼです。
突如現れた白雪姫を、他の小人たちがすぐに受け入れたなか、おこりんぼだけが「図々しいヤツ」と言って、 “アンタなんか嫌い! ふーんだ!” という態度をとります。
だけど家を出るときに、白雪姫から他のみんなが頭にキスされてるのを見て、ドアを出る前に帽子を取って頭を撫でつけ、また帽子を被ってから仏頂面でドアの外にいる白雪姫の元に行きます。
みんなと同じようにキスされ、怒り顔のまま歩きますが、数歩進んだところでデレデレの腰砕けになりました。
素直じゃなくて可愛いですねぇ (≧▽≦)
白雪姫のことを嫌っていると思われたおこりんぼですが、白雪姫のピンチを察したとき、真っ先に駆け出しました。
しかも「姫を助けるぞー!」と他のみんなにも声を掛けます。
ここから魔女 (=王妃) を岩山の上に追い込むまで、全てのシーンでおこりんぼが先陣を切っています。
実は白雪姫を一番大切に想っていたのはおこりんぼだった、と分かるニクい演出です。
ふだんツンツンしている人でも、心から冷たい人というわけではなく、デレの部分も実はあったりします。
しかもそういう人ほど心を許した相手のことを「何かあったら絶対助ける。守る」と熱くなったりします。
昔、職場に、誰に対しても怒鳴ったりするタイプのお客さんがいました。
しかし彼は、自分の話をじっくりと聞いてくれて理解を示す人には心を許し、そういうスタッフには「なんか困ったことあったら言ってくださいよ」と笑顔で声を掛けていました。
ツンデレの人って、もしかしたら寂しくてツンツンするけど、デレると情が深い人が多いのかもしれないな、と思っています。
もう80年以上も昔の作品ですが、今観ても、そして何回観ても、まったく色褪せることのない名作ですね。
白雪姫は優美に、小人たちはコミカルに、そして王妃はホラー寄りに、とキャラクターごとに持ち味が違うのに上手く融合させて全体として楽しく仕上げているディズニーの手腕。
脱帽です。
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