映画「危険がいっぱい」あらすじと感想【ネタバレあり】前門のマフィア、後門の殺人鬼
「太陽がいっぱい」のコンビであるルネ・クレマン監督とアラン・ドロンが三度目のタッグを組んだサスペンス映画です。
ドロンを翻弄する若いメイドをジェーン・フォンダが演じます。
新品価格 |
あらすじ
アメリカでマフィアのボスの妻に手を出したマルク。
捕まる前にフランスに逃げてきたが、ボスの手下たちはここまで追ってきた。
拷問を受け、自動車事故に偽装して殺されかけるが、寸でのところで逃げ延びる。
所持金もないため救済院に駆け込むが、そこもマフィアに嗅ぎつけられた。
救済院を運営している牧師はマフィアを説得で追い返すが、マルクには規則により5日間しか匿ってあげられない、と告げる。
だが車の運転ができるマルクを、熱心に救済院の手伝いにやってくる女性に紹介した。
住み込みの専属運転手として雇ってもらえたのだ。
女性は富豪の未亡人で、バーバラといった。
いつも姪でありメイドでもある若い女性メリンダと一緒に救済院に来ている。
こうして上手く隠れ家を見つけられたマルクだったが、バーバラたちを乗せて車で出かけるたび彼を探すマフィアを見かけて生きた心地がしない。
それに、静かで広い屋敷にバーバラとメリンダと三人きりというのも、プレイボーイの彼にはつまらなかった。
バーバラの夫だったこの屋敷の主人は、2年前に押し入ってきた強盗に殺害されている。
犯人はバーバラとねんごろだったスキー講師のヴァンサンだそうだが、彼はいまだに行方をくらませていた。
マルクは美人のバーバラに興味はあるが、メリンダが好意を見せてきて居心地が悪い。
ここから逃げ出して女友達のところに行こうと段取りをつけて、マルクは駅に向かった。
しかし切符を買ったところでマフィアに見つかってしまう。
新品価格 |
感想
いやもう本当に危険がいっぱいで、思わず笑っちゃうほどです。
前門の虎、後門の狼って感じで
屋敷の外はマフィア。
屋敷の中は… 殺人鬼 (ll-Д-)
バーバラの私室には隠し部屋があり、そこにヴァンサンが隠れて暮らしていました。
メリンダも知っています。
なので、なんかイヤな感じがして女友達のところに逃げようとしたマルクの判断は正しいです。
判断というか… マフィアに捕まる前にフランスに逃げてきたところから、危険が迫りそうになると何か先んじて本能が働く人みたいですね。
でもチャラ男で詰めが甘いから結局フランスで一旦捕まっちゃうんだけど。
そしてメリンダが恋に一途なこともマルクの計算違いでした。
駅でマフィアに見つかったマルクでしたが、メリンダが車で駆けつけて彼を助けます。
マルクにすっかり恋しているメリンダは、彼に屋敷を出ていってほしくなくて追いかけてきたのです。
これ以来、彼を繋ぎ止めるためなら何でもする勢いです。
さすがのマルクも重すぎるメリンダにウンザリ。
むしろ好みのタイプでクールなバーバラに彼は惹かれていました。
メリンダは可哀想だけど、二股かけるよりはっきり好みを示してくれたほうが諦めもついていいですよね。
メリンダの気持ちを考えると、自分には冷たい態度なのにバーバラとは目の前でイチャついてたりすれば、傷ついて泣いて落ち込みそうだけど…
でもメリンダ、諦めないんです。
脈なしだからもう忘れたほうがいいと思いますが、諦めきれない気持ちも分かるから切ない気持ちで観てしまいます。
そしてその諦めない気持ちが、マルクを追い詰めます。
マルクを殺して成りすまし、バーバラと一緒に南米に逃げようとしていたヴァンサン。
はじめはヴァンサンの計画に乗っていたのに、マルクへと気持ちが移るバーバラ。
すべての計画を知った上でヴァンサンを出し抜いて自分がバーバラと逃げようとするマルク。
このトライアングルの中、メリンダはのけ者です。
だけど彼女こそが一番危険人物でした。
マルクにはっきり振られた彼女は、何としても彼を自分のものにするためにニセの電報をバーバラに打ちます。
そのためマルクからもヴァンサンからも、第三者と浮気をして自分を裏切ろうとしている、と思われてしまったバーバラは、ふたりから責められ、そしてヴァンサンに殺されます。
そしてヴァンサンは、屋敷を突き止めたマフィアたちに、マルクと間違えて殺されました。
そしてまたもやメリンダの画策によって、この二人の殺人はマルクの罪にされてしまったのです。
これまでヴァンサンが暮らしていた隠し部屋に、この先マルクはずっと暮らすことになります。
メリンダと二人きりで。
もう彼女から逃げることはできません。
遊び好きなプレイボーイに、この仕打ちはキツい!
でも元々マフィアの妻に手を出さなければこの結果にならなかったわけで…
調子こいてるチャラ男が監禁生活になる、というブラックなオチはかなり意外なラストでした。
面白かったです。
他ルネ・クレマン監督作品
他アラン・ドロン出演作品
「黒いチューリップ」あらすじと感想【ネタバレあり】アラン・ドロンの一人二役
映画「パリの灯は遠く」あらすじと感想【ネタバレあり】同じ名前で運命逆転
映画「山猫」あらすじと感想【ネタバレあり】新しい価値観を受け入れられない貴族たち
映画「冒険者たち」あらすじと感想【ネタバレあり】兵どもが夢の跡
映画「世にも怪奇な物語」あらすじと感想【ネタバレあり】名監督たちの三者三葉ホラー
他ジェーン・フォンダ出演作品
映画「また、あなたとブッククラブで」あらすじと感想【ネタバレあり】80年代映画オタクの脳汁全開
映画「獲物の分け前」あらすじと感想【ネタバレあり】金髪美女は “してやられる”
新品価格 |