映画「間奏曲はパリで」あらすじと感想【ネタバレあり】倦怠期を乗り越えよう
2014年公開のフランス映画。
「ピアニスト」であまり表情のない役柄ながら内面の情念を表現する凄絶な演技を見せたイザベル・ユペールが、打って変わって表情豊かでチャーミングな女性を演じます。
夫役は「画家と庭師とカンパーニュ」のジャン=ピエール・ダルッサン、アバンチュールの相手役は「ミレニアム」シリーズのスウェーデン俳優ミカエル・ニクヴィクトがそれぞれ演じています。
あらすじ
ノルマンディーで畜産業を営むグザヴィエとブリジットのルカニェ夫妻。
牛の品評会で優勝したり、雌牛のお産を一緒にやったり二人三脚で切り盛りしている。
一見仲の良い夫婦だが、結婚して数十年。倦怠期はやってきていた。
グザヴィエは文句が多くて、遊び心があるブリジットがおもちゃの王冠をかぶっても変人を見る目で見たり、ブリジットの作る食事をエサ呼ばわり。
ブリジットはストレスでデコルテ部分の広範囲に赤い湿疹ができてしまった。
ある日、隣の家に親戚が遊びに来て、にわかに活気づく。
若い女の子たちは男の子も呼んでパーティーを開いているのだ。
グザヴィエはイヤな顔をするがブリジットは女の子たちと仲がいいこともあり気にしない。
まだパーティーが続いている中、スタンという青年が、知らない人ばかりで辟易するということでブリジットの家に避難してきた。
少し話した流れでスタンはブリジットをパーティーに誘い、スタンを迎えに来た隣家の子も誘ってきた。
グザヴィエは寝ており、ブリジットはこっそりパーティーに参加した。
ブリジットの湿疹はひどくなり、パリにある皮膚科に行くことにする。
羽を伸ばしたいブリジットは、前泊も含めて2泊してくることにした。
だけど実は皮膚科はウソ。
パリに行ってスタンと再会することが目的だった。
パリに着いてスタンの勤務先に出向き無事再会を果たす。
夕食の約束をし、順調に楽しめそうだったのだが、スタンはブリジットが思うほどの好青年ではなかった。
ガッカリして見切りをつけるブリジットだが、宿泊先のホテルで同年代の紳士的な男性・ジェスパーに出会う。
一方グザヴィエはパリに住む妹と連絡をとり、ブリジットが予約した皮膚科はとっくに廃業していることを知る。
不審に思い自らパリに出向き、宿泊先のホテルでブリジットがジェスパーと楽しそうに街に出かける姿を目にする。
しばらく後を尾けるが、ふと虚しくなり途中で止めてパリで軽業師を目指している息子のところに行く。
ブリジットはジェスパーと一線を越えるが、結局彼とはそれきりにグザヴィエの元へ帰る。
グザヴィエは駅まで迎えに来てくれていたが、それまで弱腰に対応していた仲介業者からの電話に出て強気な対応をしたり、レストランではステーキの部位についてウエイトレス相手に喧嘩腰になったりと様子がおかしい。
だけどブリジットに対しての態度は以前より優しいものになっており、彼女のために旅行まで計画してくれる。
そして荷造りの最中、ブリジットはグザヴィエがあのときパリに来ていたことを知り動揺する。
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感想
ブリジットのデコルテを見てグザヴィエは医者にかかることを勧めます。
だけどかかりつけ医はパリ在住のため、そうおいそれと行ける場所ではありません。
泊りがけでもいい、とグザヴィエは言いますが、夫婦二人で牛たちの面倒を見ているので、ブリジットはためらうのです。
そこでグザヴィエはブリジットに、助っ人に来てもらうし大丈夫、と言って安心させようとするのですが、自分がいなくても仕事が回ると思われていることにブリジットはショックを受けます。
本当に私なしでも平気? と念を押しますが一笑に付されるだけ。
私は不要ね、と落ち込むと、その湿疹はストレスじゃなくヒガミ根性で出たんだ、とひどいことを言われます。
グザヴィエは親切心でブリジットを安心させようとして言っていることは分かります。
だけど長年夫婦二人で頑張ってきたなかで、いなくても大丈夫、と言われると悲しくなるブリジットの気持ちも分かります。
人間は誰だって誰かに必要とされたいという欲求を持っています。
「生きがい」にもなり得ますよね。
その逆に「だれからも必要とされていない」と感じたときに無性に孤独感が募り、死にたい気持ちが湧いてくることもあります。
いなくても大丈夫だよ、という気づかいは大切な人にほどやらないほうがいいことです。
相手の存在を軽く扱わず、あなたは自分にとって必要な人間だ、と伝えてください。
浮気をするブリジットは人からの共感を得られない悪女のようにもとれますが、実はグザヴィエも過去に浮気をしています。
この双方の浮気を乗り越えて二人は元サヤに収まりますが、互いの苦しみや罪悪感を共有することはありません。
互いにそれぞれ罪は罪として認め、そして相手を静かに許す。
修羅場を演じるのではなく、ただ黙って許し合う夫婦が長続きするものなのかもしれません。
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