「プロヴァンス物語 マルセルの夏」あらすじと感想【ネタバレあり】
作家マルセル・パニョルの少年時代の回想録を映画化した作品です。
「夜の騎士道」「愛人ジュリエット」などに出演していたイヴ・ロベールがメガホンを撮りました。
あらすじ
プロヴァンスにそびえる巨大な岩山ガルラバンのふもと、オーバーニュで生まれたマルセル。
父ジョゼフは小学校教師、母オーギュスティーヌは元お針子だ。
3歳で父の昇進によりマルセイユ近郊のサン・ルーに移り住み、母が買い物に行っている間は父のクラスに預けられた。
一番後ろの席で大人しくしていたが、ある日黒板の文章を読んで意味も理解していることから父に驚かれる。
しかし一緒に暮らしているオーギュスティーヌの妹ローズは「脳が破裂する」と信じて、マルセルに文字を読ませることを禁止させた。
そして弟のポールが生まれた年、父はまた昇進し、マルセイユで一番大きい小学校に赴任。
それからまた3年の月日が経ち、もうすぐ6歳になるマルセルも学校に入学した。
その頃マルセルは、毎週日曜日ローズ伯母さんに連れられてボレリー公園に散歩に行くのが常だった。
そこで伯母さんは、ジュールという男性と出会い結婚。
ジュールがボレリー公園の持ち主だという話が嘘だったと聞いて、このとき初めて大人に失望する。
しかしジュールは金持ちで気前が良い。
父ともすぐに仲良くなったかと思ったが、信心深い彼に対して父は教会を信じていないため、ときどき喧嘩になっていた。
ある日同級生から、母親のおへそのボタンを押すとお腹が開いて赤ちゃんが出てくると聞いて、妊娠中のオーギュスティーヌから赤ちゃんが生まれるのを楽しみにしていた。
だけどマルセルが伯母の家に預けられているうちに母は妹を出産。
伯母の出産もマルセルはお腹が開くところを見られなくてガッカリした。
そして夏休み。
父がガルラバンに別荘を購入し、伯母一家も交えてみんなでひと夏をそこで過ごすことになった。
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感想
前置きがものすごく長かったですが、このガルラバンで過ごす夏休みの出来事がこの映画のメインです。
人生で一番輝いている思い出、とナレーションが入るとおり、楽しくてたまらない日々を過ごすマルセルの姿に、観ているこちらもニコニコします。
時代背景が、20世紀が始まったばかりの1900年。
いろいろ不便な時代だけれど、そのスローライフがのどかで癒されます。
風光明媚な自然の中で、悪人がいない優しい世界。
マルセルは子供らしく元気いっぱいですが、それでもちょっとだけ成長します。
狩り初心者のパパは、ジュールおじさんに口うるさく指導されていました。
人を指導する立場のパパが、おじさんに威圧されているのが面白くないマルセルは、なんとかパパに手柄を立てさせようとします。
これね~… 分かります。
自分の親が他人に責められたり、威圧されている姿って見たくないんですよね。
普段あまり仲が良くなくても、親のそういうところを見てしまうと「なんでそんな人に言われっぱなしなのよ」とヤキモキして味方につきたくなる。
共感ポイントです。
そして道に迷ったり、獰猛な鳥に狙われて怖い思いをしながらも、パパが大物を二羽仕留めるのをサポートしたマルセル。
買い出しに利用しているラ・トレイユ村で、鼻高々で見せびらかすパパの姿に、威厳より人間臭さを感じてますます好きになります。
ガッカリしないあたり、マルセルも大人になっているんだと思いました。
そして山で知り合い友達になった少年リリとの交流。
気づけばあっという間に夏は終わり、楽しかった日々も終わり。
帰郷するのがイヤで「丘の仙人」になる、と家出しましたが、怖くなって結局戻るのは、現実を知って成長したんだ、と見て取りました。
大きな事件が起こるわけではない、牧歌的で美しい、童心に還れる平和な作品です。
続編はこちら
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