映画「殺し (1962) 」あらすじと感想【ネタバレあり】信頼できない語り手
ピエロ・パオロ・パゾリーニの原案を、ベルナルド・ベルトルッチが監督しました。
ベルトルッチの処女作です。
ひとつの殺人に、容疑をかけられた人たちが警察の尋問に答えるスタイルになっています。
しかしその内容には嘘が混ざっていて… という黒澤明監督の「羅生門」と同じ “信頼できない語り手” の手法をとっている作品です。
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あらすじ
ローマ・テーベレ川の畔で一人の娼婦が他殺体で見つかった。
前日は夕立があり、彼女は夜に公園でひとり客待ちをしていた。
警察は、その時間帯に公園にいた人物たちを個別に尋問する。
第一の証言者 ルチアーノ
昨日は職探しで、紹介状をくれるという仲間二人に会いに行った。
工場の仕事が見つかり、その帰り道で公園を通った。
公園内には女がひとりいた。
それと少年がふたり。
兵隊は見ていない。
【真相】
森の中で、油断しているカップルから荷物を盗む泥棒である。
ラジオを盗もうとしてバレて殴られ、仲間たちもズラかった後、公園を通る。
少年はふたり、と言っていたが、彼らと一緒にいる人物がもう一人いたことには気づいていない。
第二の証言者 ブステッリ
昨日はデートだった。
彼女を送った帰りに公園を通り、女と少年たちを見たが顔もろくに見ていない。
【真相】
デート相手には別の場所で待たせて、養ってくれている女性エスペリアに会いに行く。
高利貸しの彼女が借金回収するのについていった。
しかし別れ話がこじれてエスペリアに殺されそうになり、慌てて逃げ込んだ先が公園である。
通り抜けるつもりでいたが、出口にエスペリアがいたため茂みに隠れた。
第三の証言者 コセンティーノ
兵隊。
映画を観た後、ローマ市内を散歩した。
夜に公園に辿り着いた頃にはひどく眠くなっており、ベンチで眠った。
寝る前も目覚めてからも公園内では誰も見ていないが、外に出てから木製のサンダルを履いた男とすれ違った。
上着の下に入っているものを抱えながら走っていた。
【真相】
比較的正直。
しかし「公園には行かなかった」と言ったり、散歩と言っていたが実はただのしつこいナンパであったり、少々不安定。
女や少年たちは寝ている彼の傍を通っている。
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感想
この後、第四の証言者・木のサンダルの男が続きます。
彼は公園内でルチアーノ・ブステッリ・コセンティーノを目撃しています。
そして、さらに別の男がひとりで立っているのを見ました。
トレンチコートを着たその男は少年たちを待っており、三人で歩き出します。
そしてサンダルの男は少年たちと顔見知りだったため、次は少年たちのひとり・ピピートが召喚されました。
ルチアーノより、さらに年下の彼はもう泣きそう。ぴえん。
もう一人の少年フランコリッキオは、警察に捕まりたくなくて泳いで逃げています。
10代のパワーすげえ (ﾟдﾟ)
彼らは女の子たちとの食事会で材料を調達するためにお金が必要でした。
思春期の少年らしさが爆発しています。
女の子と過ごすためなら、多少無茶な金額も手に入れればいい！
それが青春！それが性欲！
ナンパなイタリア男の素地がすでに出来上がっています。
そこでやってきた例の公園。
目についたのはトレンチコート男です。
彼はホモでした。
公園 × ホモ…
や ら な い か ？
ウホッいい男♡ とは言い難いトレンチコート男ですが、女の子たちとの食事会のためならホモのオッサンにお尻を差し出すぐらい…
とは、ならないんだなぁコレが。
コートを預かった二人は、それ持ってトンズラします。
だから警察から逃げたんだけど、容疑は窃盗ではなく殺人。
そりゃ泣くわ (￣▽￣)
こうして証言者は5人で終了。
あとは犯人捜しですが… わりと分かりやすいと思います。
けっこう面白かったですが、公園内での証言者たちのリンクがちょっと薄かったことや、夕立のたびに被害者が外出の仕度をする姿に切り替わるけどあまり意味を持っている風に見えないなど、もう少し演出面を膨らませることは出来なかったかな？ と思いました。
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