映画「フライド・グリーン・トマト」あらすじと感想【ネタバレあり】

アメリカ南部を舞台に、現在の主婦と老婦人、1920年代~30年代に生きたふたりの女性同士の、それぞれの友人関係を描いている女性映画です。
現在のふたりをキャシー・ベイツとジェシカ・タンディ、昔のふたりをメアリー・スチュアート・マスターソンとメアリー = ルイーズ・パーカーが演じています。
まだブレイク前のクリス・オドネルも顔を見せていました。
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あらすじ
ジョージア州に住む、夫に顧みられていない倦怠期の主婦エヴリンは、夫の叔母を見舞う老人ホームに行く途中で、アラバマ州にある廃村に迷い込んだ。
ベンキが剥がれ、廃屋となったかつてのカフェ「ホイッスル・ストップ・カフェ」を見て、諦めたようにチョコバーを齧る。
地図を読み間違えたことで夫に呆れられながらホームに着くが、エヴリンを毛嫌いしている叔母は彼女を部屋から追い出した。
仕方なく談話室で夫を待っていると、人懐こい入居者ニニーが声をかけてくる。
彼女は先ほど通ってきたホイッスル・ストップの住民だった。
近所の友人オティスさんに付き合ってここに来たという。
そんな彼女から、ホイッスル・ストップの有名人イジー・スレッドグッドの話を聞かされる。
イジーは、フランク・ベネットという男を殺した罪で裁判にかけられたことがある、とのこと。
興味が湧いたエヴリンは、ニニーの話に聞き入った。
1920年代。
イジーには、バディという兄がいた。
はねっかえりで、とてもレディとはいえないイジーの最大の理解者で、イジーにとってはバディがすべてだった。
バディにはルースという恋人がおり、三人で過ごすこともあったが、ある日バディはルースの帽子を取ろうとして汽車に轢かれて亡くなってしまった。
イジーは立ち直れず、酒場でギャンブルに興じ、教会への侮辱を繰り返す。
ルースは数年ぶりにスレッドグッド家に来て、イジーを立ち直らせようと根気強く彼女に付き合った。
ルースの度胸の良さや真摯な気持ちに、イジーは彼女を信頼し、ふたりは無二の親友になる。
しかしその夏が過ぎたら、ルースはベネットと結婚することになっていた。
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感想
この作品は、私には珍しく映画を観る前に原作を読んでいました。
というより、原作を読んでから初めて映画化を知った作品です。
原作がすごく良かったから、映画も期待して観て、期待通りの良作で今でも心に残っている大好きな映画。
久しぶりの再見でした。
自然豊かな映像美がやっぱり素敵。
差別と偏見が根強い南部にいながら、黒人の従業員たちと分け隔てなく接し、ルースのDV夫やKKKにも屈しないイジーの強いキャラクターも、それに感化されて強くなっていくエヴリンの成長も、観ていて心地よく感じます。
ホームの面会時間は限られているので、エヴリンはニニーから話を聞くために足繫く通いました。
夫に相手にされず、女性セミナーに通っても満たされず、スーパーでぶつかってきた男にもバカにされる。
自他ともに自分の価値を見出せず、チョコバーに慰められるエヴリンですが、ニニーの言葉と、彼女が話してくれるイジーの話で少しずつ変わっていきました。
行き過ぎてニニーが心配になるほどの暴走も見せますが、次第に落ち着きを取り戻します。
エヴリンに影響を与えたイジーは、意思が強く、ルースをベネットから救い出した後、ふたりでホイッスル・ストップ・カフェを始めました。
料理上手の黒人女性シプシーが作るフライド・グリーン・トマトが絶品のお店です。
大柄な黒人男性ビッグ・ジョージが裏庭で肉を焼く係を担っています。
どっちもおいしそうで… (¯﹃¯*)ジュルリ
原作の方では巻末に「シプシーのレシピ」というおまけページがついていたと記憶しています。
黒人も普通にテーブルに座れるこのお店は、それを快く思わない人たちに目を付けられている、と保安官のグレイディから忠告されますが、イジーは意に介しません。
それはルースと、彼女が生んだ赤ん坊バディ・ジュニアを取り戻すことに執着しているベネットにとって好都合でした。
彼はKKKを利用してホイッスル・ストップを襲撃。
さらにその後日、ベネットはバディ・ジュニアを連れ去ろうとしました。
しかし彼はある人物の一撃で絶命します。
これが、イジーが裁判にかけられた事件です。
エヴリン同様、こちらも興味津々でニニーの話に耳を傾けてしまいます。
牧師の粋な証言で無罪となり、ルースが死に、状況が変化していく中で、ホイッスル・ストップ自体が過疎化して廃れていきます。
原作は、地の文の合間にちょくちょく「ホイッスル・ストップ新聞」という、地元の主婦が素人記者になって町の話題を提供している記事が挟み込まれていました。
ホイッスル・ストップ・カフェの開店やおすすめメニュー、隕石が落ちた話など、井戸端の噂話のような瓦版でしたが、終わり近くになるにつれ、記事内容も寂しいものになっていき、最後はその記者が引っ越すので新聞の発刊もこれで終わり、というものでした。
数日かけて読んでいたので、すごく寂しくなったのを覚えています。
すっかり気持ちがホイッスル・ストップの住民になっていたんですね (;´∀`)
この映画のラストも少し寂しいものでしたが、強くなったエヴリンが夫の反対を押し切ってニニーを家に迎え入れたのだと思います。
そして、映画では ニニー = イジー と思わせる描写になっていました。
ニニーが語る回想話の中に、ニニー自身がいないせいかもしれません。
原作ではニニーとイジーは別人で、ニニーは亡くなり、エヴリンは彼女の助言どおりキャデラックに乗って保険の外交員になり、ホイッスル・ストップに立ち寄っています。
そしてイジーは、仲が悪かった兄ジュリアンと一緒に雑貨屋を経営していました。
どちらのラストも好きです。
原作もまた読みたくなっちゃったな~。手放したの失敗でした~ (泣
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