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映画「エル・スール」あらすじと感想【ネタバレあり】振り子もブランコも心も揺れる

 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

「ミツバチのささやき」から10年を経て作られたビクトル・エリセ監督の長編二作目です。

15歳になった主人公を演じたイシアル・ボジャインは後に映画監督になりました。

謎めいた父親を演じるのは「グッドモーニング・バビロン!」にも出演したオメロ・アントヌッティ

「ルシアンの青春」でヒロインを演じたオーロール・クレマンも出ています。

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あらすじ

1957年秋のある朝。

失踪した父アグスティンを必死に探す母フリアの声で目覚めたエストレリャ

枕の下に父が愛用していた振り子があり、エストレリャはもう父は二度と戻らないことを悟り涙した。

この北部の田舎町に引っ越してきたのはエストレリャがまだ幼いときだ。

医者であり霊能者でもあったアグスティンは、ときどきダウジングで町の人たちを助けており、エストレリャも幼いながらもお手伝いをしていた。

8歳になったエストレリャが初めての聖体拝領を受ける日が近づき、南部から父方の祖母と乳母のミラグロスがやってきた。

そのときにエストレリャは、父が祖父と仲違いをしていて帰れないことを知る。

スペインが共和制だった頃、祖父が悪い側でアグスティンが正しい側だった。

だけど情勢は変わり、内戦に勝利した祖父のほうが正しい側になり、アグスティンは悪い側として投獄されたのだという。

内戦が終結しても祖父との意見の相違は埋められず、顔を合わせれば罵り合う関係に疲れてアグスティンは家を出たのだった。

明日の聖体拝領には来てくれるだろうか、とエストレリャはアグスティンの動向が気になった。

当日、母やミラグロスに手伝ってもらいながら仕度をしていると、外で銃声が鳴り響いた。

不穏なものを感じるエストレリャだったが、儀式は無事に終了。

アグスティンも陰から見守ってくれていた。

祖母たちが南部に帰ってからしばらくして、エストレリャは父の手帳に女性の似顔絵が描かれ、そこに「イレーネ・リオス」という名前が書いてあるのを見つける。

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感想

この映画は本来3時間くらいある作品だったのですが、プロデューサーの意向で後半は切られてしまったのだそうです。

そのため、私は少し消化不良に感じました。

つまらなかったわけではなく、むしろ面白かったからこそ、もう少しこの先が観たかった、という理由です。

 

イレーネ・リオスは、アグスティンのかつての恋人でした。

彼女の映画を鑑賞した後、アグスティンは彼女に手紙を書いたのです。

返事は、端的にいうと「今さら、何?」と突き放された内容でした。

その返信を受け取ってから度々アグスティンは夜に家を空けるように。

エストレリャは、アグスティンの「父」の面しか知らない、という事実に気づいて戸惑いました。

自分は父のすべてを知っているわけではない

8歳の少女が父親離れをするのに十分な理由かもしれません。

あんなにも懐いていた父と、心の距離が出来てしまいます。

そして15歳になったとき、アグスティンはエストレリャをランチに誘いました。

そのときエストレリャは思い切ってイレーネのことを聞きます。

しかしアグスティンが誤魔化そうとしたため、ふたりの間の溝は深まりました。

聖体拝領のときに一緒にダンスしたときの曲がかかってもエストレリャは興味ありません。

エストレリャは父を残して先にレストランを出ました。

その夜、アグスティンは自殺します

イレーネから拒絶され、フリアは話を聞いてくれず、エストレリャからは素っ気なくされ、そして故郷には帰れない。

……ちょっと大人になり切れなかったアグスティンが悪いんだけど、気の毒になりました。

心に傷を深く負ったエストレリャが、ミラグロスの勧めで初めて南部に向かうところで映画は終わりました。

おそらくこの先、南部で心が再生されていくエストレリャが見られたのかもしれない、と思うとやはり続きが観たかったです。

エリセ監督らしく、画のセンスも俊逸でストーリーの中にどっぷり入り込めました。

やっぱり自然光含む照明や、配置・カメラの動かし方など、本当に絵画のようで芸術的です。

そしてストーリーは文学的

振り子の話に被せるようにエストレリャが漕ぐブランコの映像を入れ、登場人物たちの不安定な心の揺らぎを表わしているシーンなんて、非凡さを感じずにはいられません。

「ミツバチのささやき」同様、何度も繰り返し観たくなるし、この作品に関しては続きの映像をお蔵出ししてほしい、と思います。

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