映画「赤ちゃんはトップレディがお好き」あらすじと感想【ネタバレあり】ベタなハッピーエンドがいい
80年代後半に流行した、赤ちゃんが中心の映画と、ニューヨークの中心街でバリバリ働く人に焦点を当てた映画をミックスさせて作り上げたハートフル・コメディです。
主演はダイアン・キートン。
チャールズ・シャイアとナンシー・マイヤーズが夫婦共作で脚本を書き、シャイアが監督、マイヤーズが製作をしています。
相手役をサム・シェパードが演じ、この頃悪役を演じることが多かったジェームズ・スペイダーがここでも小悪党な部下になってます。
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あらすじ
ニューヨークの中心街にオフィスを構えるコンサルティング会社で、「タイガーレディ」と呼ばれてバリバリ仕事する女性JC・ワイアット。
大手フードチェーンとの案件を成功させれば重役に昇進するという打診もあり、JC同様にエリートの銀行員スティーブンとの同棲生活も順調だ。
仕事第一の彼女は結婚も育児も無縁の人生を歩むつもりであり、社長のフリッツにもそう宣言している。
しかし夜中に一本の電話が入る。
遠縁の親戚が亡くなり、その遺産を唯一の親族であるJCが受け取れるというのだ。
金融財産だと思ったJCは、翌朝さっそく空港に行って代理人の書類にサイン。
しかし遺産とは、亡くなった親戚の一人娘で、乳幼児のエリザベスのことだった。
JCは受け取りを拒否するが、サインをしているため押し付けられてしまった。
フードチェーン会社ララビー社長との会食にそのまま行く羽目になり、泣きじゃくるエリザベスが気になって仕事の話に集中できない。
会社でも家でもエリザベスに振り回されるJC。
養子に出そうとしたが、エリザベスを可愛がってくれる人たちではなさそうで、良心が痛んだJCは結局自分が引き取った。
そのためスティーブンは去って行き、仕事の方も、集中力を欠いた彼女は外されて部下のケンに奪われてしまう。
左遷されたJCは退職し、以前から購入を考えていたバーモント州の中古物件にエリザベスを連れて引っ越した。
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感想
この映画大好きで、久しぶりに観て元気をもらえました♪
順風満帆だった人が一旦どん底まで落ち、そこからまた這い上がる、というベタなストーリーなんですが、それがいいんです。
引っ越ししたJCでしたが、そこからすぐに持ち直すわけではありません。
人口300人ちょっとの田舎町で、購入した家はとんでもない欠陥住宅でした。
暖房はつかなくなるわ、二階の屋根が壊れて家の中に雪は積もるわ、井戸が枯れて水は出なくなるわ…
ブチギレて出た「水は蛇口をひねれば出てくるものなのよー！」の言葉は何故か何年たっても忘れられない名ゼリフ。
これまでシリアスな役や都会的な女性を演じることが多かったダイアンが、コートで着ぶくれしながらえっちらおっちら薪を運んだり、凍結した路面に足を滑らせながらタイヤ交換に挑んだり、コメディ演技に開眼した作品だと思います。
そんなダイアンがとても魅力的です。
膝丈スカートのスーツ姿では、美脚が際立ったますし。
楽しいコメディですが、テーマ自体は「キャリアと育児」の問題を扱っています。
とくにJCはシングルマザーでもあるわけですから、その辺も包括してます。
1987年の作品で、女性の社会進出は認められてきていたけれど、その先にある結婚・出産・育児などのライフステージの変化についてはまだ確固としたものが出来ていない時期でした。
そこに切り込んでいる映画です。
この作品では、育児によりJCは周囲の理解を得られず会社を去る選択をします。
そして育児により開発できたベビーフードを手掛けたことで、キャリアの復帰の道筋が出来るのです。
結局JCはニューヨークでの仕事は断り、田舎町に戻るという選択をしました。
映画なので綺麗な終わり方としてこういうチョイスになったのでしょうが、育児をしながらもキャリアを積む女性は増えていると思いますし、40年近く経って社会の理解もだいぶ浸透してきました。
(まだ完ぺきとは言えないと思いますが)
もし今リメイクとなったら、別の結末になったかもしれないですね。
いや、そもそも会社での扱いがもっと丁重にされて引っ越すことはないかもしれない。
とはいえ、人によって幸せの形は違うし、育児をしながらキャリアを追うも良し、退職するも良し、でJCにとっては田舎でエリザベスを育て、思いが通じ合った獣医のジェフと暮らすのが幸せだと気づく話です。
全編にマイヤーズらしい柔らかい雰囲気があって、ご都合主義だろうがリアリティに欠けていようが、それ以上に魅力が詰まった作品だと思っています。
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