映画「毒薬と老嬢」あらすじと感想【ネタバレあり】スクリューボール・ブラックコメディ
ブロードウェイで大ヒットした戯曲をフランク・キャプラ監督、ケーリー・グラント主演で映画化したブラック・コメディです。
共演には「逃走迷路」のヒロインを演じたプリシラ・レイン、「エデンの東」で厳格な父を演じたレイモンド・マッセイ、そしてピーター・ローレらが顔を揃えます。
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あらすじ
著名な演劇評論家のモーティマー・ブルースターは、独身主義を推奨する本を出版していながら、牧師の娘エレーンと結婚することにした。
ハロウィン当日、モーティマーはエレーンと一緒にブルックリンの役所に婚姻届けを提出。
途中で新聞記者たちにバレそうになって焦ったが、無事に受理され、これから新婚旅行にナイアガラに行こう、と約束する。
彼女が暮らす牧師館の敷地内には、モーティマーの叔母姉妹が暮らしていた。
叔母のアビーとマーサは、モーティマーの兄テディと一緒に住み、屋敷内の余った部屋を間貸ししている。
敷地内の墓地の手入れもしていて、牧師や地元警察官たちからも信頼されていた。
エレーンが牧師館に戻って支度を済ませるまでの間、モーティマーは叔母たちの家で待機。
モーティマーは、自分自身をルーズベルト大統領だと思い込んでいるテディのことを施設に入所させようかと考える。
そこで、ふと窓辺にある収納ボックス型の長椅子の上部部分を開けると、そこに死体が入っていて仰天した。
慌てて叔母たちに話すと、実は彼女たちが毒殺したのだと知ってさらに吃驚。
間借りしてきた孤独な老紳士たちを、これまでに12人も殺してきたのだという。
遺体は全部、地下室でテディに掘らせた穴に入れて埋葬したとのこと。
テディは、大統領として黄熱病で亡くなった国民をパナマ運河に埋葬するため、と言われて掘ってきたのだ。
殺人を「孤独から救ってあげた」善行だと思っている叔母たちに、モーティマーは開いた口が塞がらない。
とりあえず、我知らず犯罪に加担させられているテディを施設に入れてしまおうと、モーティマーは出かけて行った。
彼が留守にしている間に、長兄のジョナサンが、彼の顔を整形手術したニセ外科医アインシュタイン博士と共に屋敷にやってくる。
ふたりは殺人をして、その死体をこの屋敷に隠すつもりだった。
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感想
舞台劇らしいスピード感とワチャワチャ感で、ちょっとうるさいんだけどケーリー・グラントの顔芸も含めて楽しめました♪
ほんの数分前に結婚したばかりだというのに、今更知ってしまった親族の秘密。
品の良い老婦人姉妹がまさかの大量殺人鬼とは普通思いませんよね～。ましてや自分の叔母さん。
しかも兄ふたりも普通じゃない。
自分の中に流れる血に不安を持ちつつも、モーティマーは叔母たちの犯罪がバレないように右往左往。
支度を済ませたエレーンが何度もやってきて、彼女も場をかき乱します。
そしてジョナサンとアインシュタインの登場で屋敷内は完全にカオスに陥りました。
フランケンシュタインのような容貌になったことが気に食わないジョナサンは、死体を隠そうともするけど、整形の再手術もここでやろうという魂胆です。
サイコパスだけど暴力沙汰は苦手な老姉妹も、ジョナサンの横暴にはオロオロ。
モーティマーのことも殺そうとする危険なジョナサンが大暴れです。
コメディなんだけど、死体を隠そうとするシーンなんかでは影の効果をつけてサスペンスの演出をつけていて、ここはなかなかに怖い。
アインシュタインはその影に怯えるわけですが、演じているピーター・ローレは「M」では自身が人々を恐怖に陥れる影の演技を披露していて、なんかエモいわぁ、と思いました。
地下に掘った穴には、老姉妹が殺した人を入れるか、それともジョナサンが殺した人を入れるかでひと悶着。
板挟みのモーティマーも、なぜかジョナサンに命を狙われることになります。
自分が観賞したサスペンス劇の話をアインシュタインに話しながら「後ろから犯人が狙っているのに、この主人公気づかないんだよ。バカだね～」なんて言って笑っているところでジョナサンから同じ目に遭うモーティマー。
バカはお前だww
ベタベタなギャグですが、このときのグラントの演技が良すぎて笑えます。
椅子に縛りつけられてからは、顔芸だけでなく体を張ってギャグを徹底。
まだ若い頃だから動きにキレがある！
ソファに真正面からダイブしてソファごと倒れこんだときの脚は見事なスケキヨになってました。
ヒッチコックの「ロープ」がコミカルになるとこんな感じでしょうかね。
ジョナサンは逮捕されますが、アインシュタインは駆けつけた警部がアホだったため見逃され、老姉妹も犯行はバレず、モーティマーは実は血のつながりがなかったと知って安心する、という大団円。
面白かったけど、老姉妹はこれからも善意の殺人を続けちゃうのかな～、という疑問は残りました。
あ、でも墓堀人のテディが施設に入っちゃったからもう無理かも。
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■ 1947年（昭和22年）戦後毒薬と老嬢 ワーナー・ス 世界文庫発行 パンフレット 34ページ 中古価格 |
