映画「ヴェルサイユの宮廷庭師」あらすじと感想【ネタバレあり】
ハリー・ポッターシリーズで有名なアラン・リックマンが監督・脚本(共同)、出演の一人三役をこなしている歴史コスプレ映画です。
主演はケイト・ウィンスレット。
逆境に立ち向かう強さと過去の後悔に苦しむ弱さを併せ持つ女性を巧みに演じます。
あらすじ
1682年フランス。
ときの国王ルイ14世は、新しい宮殿をヴェルサイユに建てようと計画していた。
そこで、片田舎で庭師をしている未亡人サビーヌ・ド・バラの元に、新宮殿の造園を手掛ける庭師の面接を打診する書状が届く。
総責任者の造園家アンドレ・ル・ノートルによる面接は、秩序を重んじる彼とは相いれない図案ということで気に入ってもらえず、ものの3分程度で終わってしまった。
しかしその夜、ル・ノートルがサビーヌの家を訪れ、秩序の中には混沌も必要なことを説きサビーヌを採用。
彼女が任されたのは、現在はただの荒れ地である場所に、水と緑を使って舞踏会の会場になるようなテーマの庭 “舞踏の間” を作ることだった。
最初に紹介された職人たちは、無責任で職務放棄をするような人たちばかり。
彼女は一人で作業しなければならなかったが、それを見た別の同業者がきちんとした職人たちを紹介してくれる。
一方、ル・ノートルは既婚者であるが、支配的で享楽的な妻との間には愛情がなかった。
ル・ノートルが盛り立ててもらっているのは自分のおかげだと夫に言い聞かせて見下し、愛人と堂々とイチャつく妻に、ル・ノートルは関心を示さなかった。
“舞踏の間” のアイディアについて、ル・ノートルの家までやってきて話し込むサビーヌを見て、妻は嫉妬心に駆られる。
作業も順調に進んできた頃、サビーヌはルーブル宮殿に招かれた。
しかし煌びやかな貴族の女性たちの中、庶民であるサビーヌは気後れして国王の間に入ることができない。
気詰まりを感じるがル・ノートルを見つけて二人で庭園に出る。
同じ目的を持っている者同士、会話は尽きない。
もっと話していたかったが、王弟のオルレアン公やその妻らが現れて、ル・ノートルは公の、サビーヌは妻の話し相手にさせられることになり、それぞれ別行動となってしまった。
ある日サビーヌは、一人で小さな庭園にいた国王と偶然会い、 “舞踊の間” について話をする。
サビーヌを気に入った国王は、一度視察に行くことに決めた。
しかしサビーヌへの嫉妬心が高じたル・ノートル夫人は、愛人を使って “舞踊の間” を水浸しにし、泥だらけの荒れ地に変貌させた。
視察に来た国王はこの惨状を見て、激しく失望する。
そしてサビーヌにフォンテーヌブローの宮殿まで申し開きに来るように言付けした。
打ちひしがれるサビーヌを、ル・ノートルや他の職人たちは励ました。
サビーヌは “舞踊の間” 完成に向けて自らを奮い立たせる。
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感想
この時代のフランス宮廷貴族たちは不倫が当たり前の文化だったそうです。
(ある靴下を履かない芸能人は、現代の日本でも「不倫は文化」という考えのようですが…)
なのでル・ノートル夫人が特別なのではなく、国王はじめみんな愛妾を持っていました。
結婚当初は上手くやっていこうと、ル・ノートルのほうから歩み寄ろうとしたようですが、夫人のほうが拒絶して、互いに愛人を作っていい契約結婚という形にしたのだそう。
次第にル・ノートルも妻に関心を持たなくなり、家でも仕事に没頭します。
そうなると夫人も逆に気になってきて、仕事中の夫にちょっかいを出します。
そして一向に自分を見ようとしない夫をあの手この手で振り向かせようとするのですが効き目無し。
最後には「私を見ろー!」と言ってようやく振り向かせました。
なんか… なんか「お疲れ様」って言いたくなりました。
そしてサビーヌの登場に、気が気ではなくなります。
夫の目の前でも公然と愛人とイチャつく夫人なのですが、夫に愛人ができるのはイヤなんですね (;^ω^)
書いている最中に思ったのですが、この夫人、結婚当初はル・ノートルを好きではなかったのかもしれないけれど、年月が経つうちに好きになってきちゃったのかな~、と思いました。
で、最初につっけんどんな態度とっちゃったから引っ込みがつかなくなって、これ見よがしに愛人とイチャついてみせるのも本当は構って欲しい、という気持ちがあるのかも、と推察します。
だからサビーヌが邪魔だし気に食わないから嫌がらせしちゃった、と。
人間臭い人だけれど面倒くさい人ですね。
王妃がいても寵姫がいても、次々と愛人を作る国王に、女性たちは傷ついています。
サビーヌは、そんな女性たちをバラに例えて、どんな境遇でもたくましく咲き誇るけれど、いずれは必ず萎れるし、太陽の恵みがなければ散ってしまう、と国王に諭します。
(ご存知でしょうが、ルイ14世は「太陽王」と呼ばれていました)
年を取ったからと飽きてしまうのではなく、常に目を配ってやれ、ということです。
大切にされれば、バラは期待に応えて綺麗に咲きます。
人だってそうですね。
大切にされればその人をもっと大切にしようとしてくれるわけです。
と、ここでバラも出てきたし、サビーヌの苗字も偶然にもバラです。
邦題を「ヴェルサイユのバラ」と付けたかったんじゃないかな~、配給会社の人…と思いました。
ここまでフラグが立っていれば…ねえ?
まあ紛らわしいし、権利関係もあるでしょうから無理だったのだろうけど、う~ん残念。
サビーヌが手掛けた庭園は、実際のヴェルサイユ庭園のひとつ “ロカイユの木立 (舞踏場) ” の設定のようです。
写真を見ると、確かにラストシーンの庭園にそっくりです。
史実上、実際に手掛けたのはル・ノートル。
サビーヌは架空の人物なのですが、もしかしたら無名の女性造園家がいたのかもしれない、と思わせてくれました。
サビーヌの人物描写はとても良く、メインシナリオを書いた女性は新人だったそうですが、掘り下げ方が一生懸命な印象を受けました。
辛い過去を背負いながらも頑張る彼女に信憑性があって、ケイト・ウィンスレットの演技力との相乗効果で、歴史上に実際にいたのではないかと錯覚させる説得力があるのです。
ちょっと余計なシーンや人物がいる印象もありますが、全体的には面白かったです。
それと、水と緑がコラボしている場所の快晴の日って、癒し効果がありますね。
こういう場面の映像をみるだけでも気持ちよかったです♪
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