映画「暗殺の森」あらすじと感想【ネタバレあり】いい女 = おもしれー女?
ベルナルド・ベルトルッチ監督、ジャン = ルイ・トランティニャン主演のサスペンス作品です。
ヒロインをドミニク・サンダが務めました。
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あらすじ
イタリアのファシスト党員であるマルチェロ・クレリチは、大学時代の教授クアドリの監視を命じられる。
クアドリはパリに在住しており、マルチェロは恋人のジュリアとすぐに結婚して、新婚旅行としてパリに向かった。
パリ行きの列車の中、マルチェロは13歳の時に初めて人を殺したことを思い出す。
相手はリーノという少年趣味の男で、マルチェロはその男に凌辱されそうになったのだ。
そしてリーノが持っていた銃で彼を撃ってしまい、それがきっかけでファシズムに目覚めたのである。
今回の指令には、マルチェロのお目付け役としてマンガニエーロという党員が密かに付いてきていた。
パリに着き、マルチェロはさっそくクアドリの家に行く。
そこで会ったクアドリの妻アンナに一目惚れし、ふたりは互いの配偶者の目を盗んで仲を深めていった。
そんな時、マルチェロにクアドリ暗殺の命令が下る。
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感想
一目惚れの条件って、なんでしょうね?
アンナ初登場時、彼女は数歩進むごとにポーズ☆を取っていました。
なんだか雑誌の撮影みたいですが、演じているドミニク・サンダが実際にモデルだったので、その素材を活かした演出だったのかもしれません。
でも、ちょーーーーっと滑稽に見えてしまって、マルチェロが一目惚れする魅力があるかと言われれば違うかな、と。
「おもしれー女」枠でジワジワ好かれていくタイプではないかと思えるムーブなんですけど、マルチェロは秒で恋に落ちています。
痛い女がいい女、と見られる時代だったのかな… (;´∀`)今見るとギャグみたいで笑ってしまいます。
そして一番の見どころにしたであろう、アンナとジュリアのタンゴのシーン。
これも… う~ん、イマイチ。ごめんよベルトルッチ。
華やかさはあるんだけれども、女性同士だとどうしても支える力なんかが足りなくて、キレの良さが犠牲になっているんですよ。
うん、トランスとかフェミの人とかには怒られそうだけど、やっぱりペアダンスは力強い男性と華麗な女性で踊るのが一番いいなと思いました。
その方が見応えがあるんですよね。
こうした演出面がところどころ気になりましたが、ストーリーのほうはまあまあでしょうか。
特に面白かった、ということはなかったです。
メロドラマっぽいんだけど、そこまでドロドロしていないから、強烈な印象が残るわけではありません。
だけど、助けを求めるアンナを非情に見捨てるシーンは、彼女の叫びもあって圧倒されます。
ふたりを絶つものは車のドア一枚だけ。
開ければ彼女は助かるのに、マルチェロは頑なに開けませんでした。
別荘に向かうクアドリを、途中にある森で暗殺することが決まっていたなか、マルチェロは事前にアンナに一緒に行かないように言っていたのです。
しかし約束を違えて夫について来たアンナに腹を立てていたのでしょうか。
その報復としてドアを開けなかったのかもしれませんが、見捨てればアンナは確実に殺されることが分かっていながらのこの仕打ちに、マンガニエーロですらドン引きし、マルチェロを卑怯者と罵って離れていきます。
アンナを見殺しにした報いは、ファシズム崩壊後にやってくる。
マルチェロの暗い未来を暗示させるラストは良かったと思いました。
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