映画「トリコロール / 青の愛」あらすじと感想【ネタバレあり】
クシシュトフ・キエシロフスキー監督の三部作の1作目です。
フランス国旗トリコロールの青の意味「自由」をテーマにしています。
主演はジュリエット・ビノシュ。
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あらすじ
作曲家の夫と、5歳の娘と一緒にドライブに出かけたジュリー。
しかし車はオイル漏れがあり、事故を起こしてしまう。
近くにいた少年が急いで駆け寄り病院に運ばれて一命を取り留めるが、夫と娘は亡くなってしまった。
絶望したジュリーは自殺を図るが死にきれない。
病室でふたりの葬儀中継を観ながら涙を流す。
心の傷が癒えないまま体の傷は完治して退院したジュリーは、家財をすべて処分して引っ越すことにした。
書きかけの譜面もである。
引っ越し前日、夫の友人で同じく作曲家のオリヴィエを空っぽの家に呼び、寂しさを埋めてから家を出た。
パリでアパートを借り、人々の様子を醒めた目で見つめる。
集団暴行を受ける男性。
腰が曲がりヨタヨタと歩く老女。
同じアパートの女性からは、1階に住む女性の立ち退き署名を頼まれるがジュリーは断った。
そんなとき、アントワーヌという少年から連絡が来る。
事故のときに駆け寄った少年だ。
彼はそのとき拾った十字架のネックレスをジュリーに返したいと思っていたのだ。
しかしジュリーは受け取らなかった。
そしてオリヴィエもまたジュリーに会いに来た。
彼は未完の譜面の写しを手に入れていたのだ。
ジュリーのつれない態度に傷ついた彼は、テレビに出演して曲の公開を促してジュリーに圧力をかける。
そのとき、彼が番組に提供した夫の写真の中に、見知らぬ女性と親密な様子で撮られてものがあり、ジュリーは目を見開く。
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感想
厭世観を持ってしまった人は、寛大になれるのでしょうか。
夫の恋人だった女性に会いに行ったジュリーは、彼女が妊娠していることを知ります。
そして彼女の首元にある十字架のネックレスを見て、夫が愛していたのは自分ではなく彼女だった、と悟りました。
ジュリーがアントワーヌから受け取らなかったのは、それは彼女の物ではなく、夫の物だったからなのですね。彼女とペアの。
よくあるデザインだから本当にペアで作ったものなのかは分かりませんが。
彼女に声をかけたジュリーが「夫の恋人?」と聞くと、すごくアッサリ「そうです」と答える彼女。
「あなたの方が夫に愛されていた」と言うジュリーに「そうね」とも。
すごい自信満々というか…
事実を認めているだけなのかもしれないけど、人の気持ちも斟酌せず平気で傷つけることが出来る人ヤダなぁ。
本来なら向こうは浮気相手なのだから詰ってもおかしくないんだけど、ジュリーは静かに去るだけ。
それどころか、お腹の子が後継者になるべきだから、と住んでいた家と財産を譲り渡すのです。
寛大が過ぎるでしょ… ( ゚Д゚)
ましてや、夫の曲は実はジュリーが作っていたという。
栄誉も名声もすべて彼にあげていたのに、浮気されていた。
かなり残酷な人になってしまってもおかしくないと思うんだけど、もしかしたら怒ることすらも疲れてしまったくらい絶望していたのかな、と思いました。
オリヴィエのために未完曲の続きも完成させましたが、彼からは「君の名で発表すべきだ」と言われて途方に暮れます。
もともと目立つのが苦手なのかもしれません。
夫も娘もすべてを失ったことで、ジュリーは自由を得たと思うのですが彼女自身が望んだことではありません。
何かに縛られている。誰かに従っている。
その状況のほうが心地いい人もいると思いますし、ジュリーもそういう人だったのかも、と考えました。
ちょっと難しかったです。
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