映画「カッコーの巣の上で」あらすじと感想【ネタバレあり】自由が欲しかっただけなのに…
非人道的な扱いがまかり通っている精神病院を舞台に人間性の解放を謳う、アカデミー賞主要5部門を受賞した名作です。
ジャック・ニコルソンの代表作のひとつで、アカデミー賞主演男優賞を獲得した最初の作品になります。
悪役のルイーズ・フレッチャーも同主演女優賞を獲得し、「みんなに嫌われて幸せ」と言った後、聾啞のご両親に向け、手話を交えてスピーチをしたのが印象的でした。
この作品には、その後も活躍著しいダニー・デヴィートやクリストファー・ロイドなども出演。
そして俳優のマイケル・ダグラスが製作に関わっています。
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あらすじ
郊外の精神病院に、マクマーフィという男が入所してきた。
彼は暴行5件の前科を持つ男で、今回も“未成年への淫行”で捕まっている。
刑務作業の労働から逃れるために精神病を装っている疑いがあり、それをこの病院で確認するために連れてこられたのだ。
そのとおり、マクマーフィは68日間の刑期を、この病院でのんびりとやり過ごすつもりだった。
陽気な性格のマクマーフィは、聾唖と知らずにネイティブ・アメリカンのチーフに話しかけたり、カードゲームの仲間に入って、早々に病棟の中心人物になっていく。
看護婦長ラチェッドが進行するグループワークでも、物おじせずに発言する。
規律を乱したくないラチェッドにとって、型破りなマクマーフィは要注意人物だった。
マクマーフィは、休憩時間にグラウンドから、外出許可が下りた患者たちが町に向かうバスに乗り込んで出発するのを見送った。
早くここから出ることを望みながら、彼はチーフを誘ってバスケットボールに興じる。
あっという間に皆を巻き込むマクマーフィの姿を、ラチェッドは窓から監視するように眺めていた。
感想
マクマーフィの快活さが作品に明るさを出しています。
ワールドシリーズを観たがったり、勝手に町に行くバスを運転して釣りに出かけたり、巻き込まれているはずの他の患者たちが、のびのびと明るい表情になっていくのが心地よいです。
だけど出る杭は打たれる、の言葉通り、院長やラチェッドはじめ病院側スタッフからするとマクマーフィは目の上のたんこぶ。
彼らにとって患者たちは“救う相手”ではなく“支配する相手”なので、人間性が失われているほうが都合がいい。
この監視体制を覆すことができず、マクマーフィもまたロボトミー手術という強制的な手段で人間性を奪われました。
鬱ラスト……(´Д`)
だけど、“自由になりたい”というマクマーフィの願いはチーフが受け継ぎます。
聾唖のフリをしていたけれど、実はまったくの健康体だったチーフ。
生命力に溢れたマクマーフィに、徐々に心を開いていく様子が可愛らしかったのですが…
最後にマクマーフィを殺すのはエゴなんじゃないかなぁ、とちょっと考えました。
ロボトミーによって廃人にさせられた彼を解放してあげた、という見方もあるけど、たぶんチーフは自身の父親も殺しているんですよね……
「殺すことによって被害者を救ってあげた」
こういう独善的な考えで殺人を犯す人って、絶対反省しないから繰り返し行って連続殺人犯になる可能性が高いですし。
映画のラストとしては美談になりますが、チーフはかなり危険人物で精神病院から出るのはヤバいんじゃ、と不安感を抱いてしまいました。
マクマーフィが脱走しようと試みる日。
患者仲間のビリーと、連れ込んだ女友達を二人きりにさせているのを待っている間、マクマーフィは窓辺で物思いに耽ります。
数分間、顔のアップだけで、その自然な表情の動きに目を奪われました。
セリフという言葉による情報もなく、しかも大げさに動かしているわけではないのに心情がしっかりと伝わる。
このジャック・ニコルソンの演技…!
エキセントリックな役や演技が多い俳優ですが、静的な動作でこんなに印象付けるとは( ゚Д゚)
演技派の真髄を見せつけられた気がします。
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