映画「勝手にしやがれ」あらすじと感想【ネタバレあり】解釈なんて勝手にしやがれ、でOK?
ジャン・リュック・ゴダールの初長編監督作品でヌーベルバーグの金字塔です。
主演はジャン・ポール・ベルモンド、ヒロインはジーン・セバーグが演じます。
原案はフランソワ・トリュフォーで、監修にクロード・シャブロル、そして劇中にはジャン・ピエール・メルヴィルが俳優として参加しており、ヌーベルバーグの “顔” が揃い踏みになっています。
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あらすじ
自動車泥棒の常習犯ミシェルは、盗んだ車でマルセイユからパリに向かっていた。
パリには忘れられない女性がいる。
三週間前にマルタ島で知り合ったパトリシアというアメリカ人留学生だ。
パリに着いて仲間から金を受け取ったら、彼女を連れてイタリアに行くことを夢見ながら軽快に車を飛ばす。
ダッシュボードを開けると拳銃が入っており、ミシェルは上機嫌で森に向けて発砲した。
そんなふうに浮かれていたところ、道端で張っていた白バイ警官に目をつけられる。
追ってきた警官を撃ち殺したミシェルは車を捨てて走ってパリまで逃亡した。
情報は早く伝わり、ミシェルの顔写真は指名手配犯として新聞の一面に大きく載ってしまった。
ミシェルは警察の目を掻い潜りながらパトリシアに接触し、自動車泥棒も続ける。
パトリシアは新聞の売り子をしながら記者になる夢を追っていた。
これから新聞社の編集員と会い、初めて取材と記事作成を任されることに心を奪われていて、ミシェルにはツレない態度だ。
ミシェルは彼女が編集員と打ち合わせをしているレストランまでついて行き、嫉妬の炎を募らせる。
パトリシアの住むアパートに先回りして部屋に入り込んで彼女を呆れさせた。
執拗に彼女に迫るが、パトリシアはミシェルに対しての自分の気持ちが分からず、彼の戯れを躱していく。
しかし結局根負けした翌朝、ミシェルに送ってもらってパトリシアは作家の取材でオルリー空港にやってきた。
取材を終え、すぐ記事に取り掛かろうと新聞社に戻った彼女の元に刑事たちが訪ねてくる。
そして彼女は、ミシェルが殺人を犯して逃亡中であると知る。
感想
シンプルなストーリーを難解に見せかける癖が強いゴダール作品。
登場人物たちの心情や仕草についての解釈が難しいんですよね…
特に私は、人の気持ちが分からない・空気が読めない、という気質だから特に…( ;∀;)
ミシェルとパトリシアは、すごく会話を交わします。
一緒に歩いているときも、ふたりで部屋にいるときも、互いに自分の気持ちを言葉にして応酬していく。
こういったシーンにとても時間をかけています。
でも互いの自己主張が中心となり、相互理解をしていく雰囲気の会話ではありません。
なので、いっぱい喋るわりには「心に残る名言」とか「刺さる言葉」というのが、ない!
映画的にはどうなのよ、と思いますが、リアルなカップルの会話と考えると当たり前なんですよね。
特に部屋にいるときの、男の「なぁ~、ヤろうぜヤろうぜ、いいだろ~?」としつこく迫るサマも、女の「でもぉ~、私ィ、あなたのこと好きかどうか分かんないしぃ~」というやり取りは、なんか、あるねフツーに(;´∀`)
と、そのリアルさに人間観察の鋭さを感じますが、ただこのやり取りを“映画”として延々と見させられていると、さすがにこっちが「勝手にしやがれ」と言ってソッポ向きたくなりました。
ラストシーンは有名ですね。
「最低だ」と呟いて死ぬミシェル。
“自分が” 最低だ、とミシェルは感じているのに、難しいフランス語は分からないパトリシアは「なんて言ったの?」と訊きます。
刑事は「 “あなたは” 最低だ、と言ってますよ」とウソ教えます。
そしてパトリシアは「 “最低” って何?」と、単語の意味が分からず再度訊いてきました。
そう訊いた後、パトリシアはミシェルの癖 “親指で唇を撫でる” という仕草を、まるで憑りつかれたように無意識で真似しているところで映画は終わります。
はあ~、ここの意味の解釈、難しい。
自分の裏切りによってミシェルが死んだことの罪悪感が、仕草とセリフに現れたのかな…
この辺り、いろんな方が考察していると思いますが、やっぱり受け手がそれぞれ自由に解釈するものなのかもしれません。
それこそ、解釈なんて「勝手にしやがれ」、なんでしょうね。
(原題は「息せき切って」で、まったく意味が違うけど)
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