映画「ゼロ時間の謎」あらすじと感想【ネタバレあり】現代のフランスに移したクリスティー作品
アガサ・クリスティーの傑作ミステリーを、フランスのパスカル・トマ監督が映画化。
時代設定は公開時の2007年当時にしてあり、舞台や人物設定もフランスにしてあります。
出演者は「ぼくを葬る」「夏物語」のメルヴィル・プポー、「石の微笑」のローラ・スメット、「チャップリンからの贈りもの」のキアラ・マストロヤンニ、そして「うたかたの恋」「8人の女たち」などの重鎮ダニエル・ダリューなど豪華キャストです。
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あらすじ
裁判所の判事室で、フランス警察のバタイユ警視とトレボーズ判事は顔を合わせた。
他愛無い雑談に加わると、トレボーズ判事は「殺人は、そこに至るまでの過程で多くの理由と出来事が絡み合った結果、ある日のある時間帯・ある人物がある場所に赴く状況となり、それが重なり合って臨界に達すると起こる」という話を始めた。
すべてが集約され向かうべき一点。
それが「ゼロ時間」なのだという。
帰宅したトレボーズ判事は、これから自分がする行為がゼロ時間に向かっている予感を持ちながら、手紙の封を切った。
切り立った断崖から海に男が飛び降りた。
自殺を図った男は一命を取り留めて病院で目を覚ます。
彼は看護師から「そこにいるだけでいい。ある場所・ある瞬間に立ち会うだけで重要な結果をもたらせる。だから死んではいけない」と諭された。
これからバカンスに行く予定のバタイユ警視は、娘の学校に呼び出されていた。
構内で盗みを働いたのだという。
本人に事情を聞くと、両手で顔を洗うような動作を一瞬してから、本当はやっていないけれど、疑いの視線に耐えられずに無実の罪を認めてしまった、とのことだった。
バタイユ警視は娘を慰め、バカンスはまず母とイタリアに行ってから、ブルターニュで合流しよう、と提案した。
テニスプレイヤーのギヨーム・ネヴィルは、この夏に叔母が住む「カモメ荘」に行くことになっている。
しかしそこには前妻のオードも来るので、現在の妻キャロリーヌはヒステリーを起こしていた。
絶対に自分への当てつけだ、と言ってギヨームに当たり散らす。
カモメ荘の女主人カミーラは、オードがここに来てキャロリーヌと顔を合わせることを不安に感じていた。
付き人のマリ=アドリーヌにも相談し、オードに連絡を取った。
そしてカモメ荘に人が集まってきた。
ギヨームとキャロリーヌ夫婦に、オード、カミーラの友人・トレボーズ判事、キャロリーヌの友人・フレッドらが夕食に呼ばれる。
もてなすカミーラと、マリ=アドリーヌはじめ住み込みで働く執事・メイド・看護師らも忙しく立ち働く。
その席で、何か面白い話を、と振られたトレボーズ判事が、過去に起きた子供同士の事故の話をし始めた。
ふたりの子供が弓矢で遊んでいたが、片方が放った矢がもう一人の心臓に刺さり死亡した、という。
事故として処理されたが、加害者は数日前から弓を射る練習をしていた、という目撃証言が後に出て、本当は計画殺人だったというオチだった。
その加害者ももう大人になっているはずで、どこで何をしているのか分からない。
しかしある身体的特徴を持っている。
周囲がその特徴とは? と聞くが、判事は答えなかった。
その夜、判事は宿泊先のホテルで死亡する。
バカンスでこちらに来ていたバタイユ警視が捜査に乗り出した。
そして第二の殺人がカモメ荘で起こる。
感想
時代を変えても国を変えても、クリスティーが原作の作品は格式が高いな、と思いました。
カモメ荘の豪奢な外観と内装。
銀食器やそこかしこに置いてある小物のひとつひとつにも高級感があり、否が応でも上流階級の表面的な美しさと裏に潜むドロドロした人間ドラマで綴るミステリーの雰囲気。
好みです( *´艸`)
綺麗な海なのに、ときおり凶暴な荒波になる演出もいい。
原作はかなり評判がいいらしいですね。
未読なので今度機会があったら読みたいと思います。
映画のほうは約1時間半のためか、ちょっと説明不足に感じる部分もありました。
弓矢の子供の身体的特徴について、ラストに言及あったかな?
でも間違いなく犯人なんですよね。
だから判事さん殺されちゃった( ;∀;)オバカー
基本的に「ネタバレするか?しないか?」はあまり気にせず、「ネタバレありと書いておけば、なんでも奔放に書ける」という理由でいつも【ネタバレあり】にしていますが(そもそもどこまでバラすのがネタバレなのか、というのも分かっていない)こういうフーダニットの作品で犯人をバラすのは、さすがにやりすぎかなぁ…と迷います。
なので犯人は書きません。
たぶん未読・未見の方の楽しみを奪っちゃうから。
だーれーかーなー?
推理しながら見てみてください。
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