映画「ショーシャンクの空に」あらすじと感想【ネタバレあり】不屈の精神が希望を繋ぐ
多くの方が「一度は観るべき映画」と勧める名作です。
私も今回で二度目ですが、初めて観たときはあまりの面白さにしばらく脳裏から離れないくらい衝撃を受けた記憶があります。
今回も展開が分かっていながらも、時間の長さがまったく気にならない、むしろ短く感じたくらい夢中になって見入ってしまいました。
ティム・ロビンスとモーガン・フリーマンの、静かながら圧倒的な存在感を出している演技がとてもリアルです。
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あらすじ
メガバンクの副頭取をしているエリート銀行員のアンディ・ディフレーンは、妻とその愛人を殺害した容疑で裁判を受けている。
妻に離婚を切り出されて納得できず、妻が逃げて行った愛人の家まで、銃を用意して車で向かったため、冤罪にも拘わらず終身刑を言い渡されてしまった。
ショーシャンク刑務所で、同じく終身刑でもう20年も服役しているレッドは、今日も仮釈放の申請を却下された。
彼は囚人たちが欲しがるものを要領よく手に入れて渡してあげる“調達係”として一目置かれている。
アンディを含む10人以上の新たな囚人たちが護送されてきた。
彼らの行列を見ながら古株の囚人たちは、「誰が最初に泣きだすか」を賭ける。
仲間たちが気弱そうな新人に賭けていくなか、レッドはアンディに賭けた。
しかしその夜、泣きだしたのは他の新入りだった。
彼は看守のハドリーから過剰な暴力を受けて翌朝に亡くなった。
レッドは賭けに負けたが、刑務所に似つかわしくないアンディの静かな佇まいが気になっていた。
一か月後、誰とも親しくなろうとしていないように見えていたアンディにレッドは話しかけられる。
趣味の石細工作りのため、ロックハンマーという極小のツルハシを調達してほしい、というのだ。
なかなか難儀な注文だったが、手数料の上乗せで請け負った。
実物が届くと、図書係のブルックに頼んで本と一緒にアンディに渡してもらう。
これを機にレッドとアンディはよく話すようになった。
しかしアンディは、欲求不満だらけの囚人たちに狙われていた。
洗濯係の彼はある日、洗濯室でひとり作業をしている最中に襲われてしまう。
刑務所ではこうした屈辱は珍しいものではなかった。
5月になって、刑務所の屋根を修理する作業にアンディもレッドも応募して採用になる。
屋外ではレイプされることもない。
青空の下でのびのびと作業していると、見張りの看守たちの雑談が耳に入った。
ハドリーが遺産相続を受けたのだが、税金でごっそり取られる、とため息をついている。
アンディはおもむろに近づき、税金が免除される方法と、その書類作成を申し出た。
交換条件は、修理作業をしている囚人みんなにビールを飲ませてくれること。
こうしてアンディは囚人たちと打ち解け、看守たちからの信頼も得る。
その評判は刑務所長のノーマンの耳にも入り、彼はアンディに不正経理をさせて私腹を肥やしていく。
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感想
1901年から50年間ずっとショーシャンク刑務所に服役していたブルックに仮釈放許可が下りました。
しかし彼は外の世界が不安すぎて錯乱します。
大騒ぎをしたけれど決定を覆すことはできず、50年ぶりに外にやってきました。
車の多さに驚き、変化の速さに戸惑います。
国が用意してくれた住居と職に従いますが、刑務所に戻りたいという気持ちは日ごとに増すばかり。
刑務所ではみんなが自分を知っていて、それなりに役割もあったし仲良くもしてこられました。
だけど外の世界の自由さは逆に息苦しく、孤独で、自分の居場所がどこにもないと感じられるのです。
出所前からの不安どおり、外に出てからの絶望感にブルックは打ちのめされました。
人はみんな自分のコミュニティーやグループというものを持っていて、そこを自分の居場所として安心します。
地域や地元の友人たちとのグループだけではなく、学校や職場、趣味の集まりやサークル活動、など数え上げたらキリがありませんが、どこかしら安心できる場所を持っているものです。
やむを得ない事情でその場所から離れなければならなくなったとき、不安と寂しさから抵抗する人もいると思います。
安心できるコミュニティーというのは、それまで自分が培ってきたり形成したりした上でそういう場所にしたものでもあるので、愛着もひとしおでしょう。
だけど時間が経てば、離れなければならない時期もいずれやってきます。
不安や寂しさを受け入れて、また新しい居場所を作る覚悟を持つことは大事ですね。
前向きでいれば新天地でも居場所は作れると思います。
元銀行員、それも若くして副頭取まで出世していただけあって金融に強いアンディは、看守たちの税務処理や資金繰りの手助けをしてあげることで、自分の有用性を証明しました。
そのおかげで、彼をレイプし半殺しの目に合わせた囚人・ボグスは、ハドリーらにリンチされて病院送りとなり、ショーシャンクからいなくなります。
こうしてアンディは、刑務所内で “安全” を手に入れました。
彼は教養がいかに大切かを知っており、刑務所内の図書室を充実させるよう働きかけます。
そして何人かの囚人たちに高卒資格を取らせていました。
チンケなコソ泥だったトミーのことは、特に目をかけて勉強を見てやります。
まだ赤ん坊である娘のために、まっとうに生きたいという気持ちに心を動かされたのかもしれません。
そのおかげでトミーから、アンディが投獄されている冤罪事件の真犯人の情報を聞かされます。
(とんでもない事態になりますが、真相を知らずじまいより良かったと思います)
勉強は確かにつまらないものですし、やりたくないと投げたくなります。
しかし苦労してでも知識と教養を身に着けると、自分や周囲を助けたり助けられたりして、大きなリターンを享受できます。
つまらないと思って最初は敬遠していても、新しいことを知ったり、問題が解けたりする喜びを得られると、学習の過程そのものが面白くなってきます。
楽しみながら、いろんなことを学んでいきたいですね。
スピーカーを使って音楽を流したため懲罰房に入れられたアンディが出てきたとき、レッドたち他の囚人は、音楽を久しぶりに聞いたと言います。
刑務所生活というのは、いろんなことに興味を失わせる、廃人にしていくものだとレッドは諦めの気持ちでアンディに伝えました。
しかしアンディは、心の豊かさを失ってはダメだ、とレッドに反論します。
誰の心の中にも、誰にも奪えないものがある。
そう言って、希望を持つことの大切さを熱く語るのです。
仮釈放の申請が一向に通らず年だけとっていくレッドは、希望を持つことなどとっくに捨てていました。
だからアンディの言葉も醒めた気持ちで受け流してました。
だけど、アンディが最後にやり遂げたことを見て、なぜ彼が正気を失わずにいられたのかは、決して希望を捨てずにいたからだ、と驚きを持って理解します。
絶望の中でも希望はあります。
どんな状況に置かれても、諦めずに支えにして乗り越えていきましょう。
希望、そして不屈の精神を教えられる作品です。
アンディの力強い生き方は多くの人の勇気と共感を呼び、感動を生み出しました。
20年以上経っても色あせることがなく、何度も観てはトリビアを発見したり、考察を重ねたりする人もいます。
そのくらい愛されている映画なんですよね。
スティーブン・キングが原作の作品は、基本的にどれも面白いのですが、この映画を別格として観ている方もいるようです。
全体的に見ても、テンポよくストーリーが進み、すべての伏線が回収され、心を震わせる名シーンをクライマックスに持ってきて、本当にすごい完成度です。
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