映画「キッド」 (1921年) あらすじと感想【ネタバレあり】得意のペーソス・コメディ

喜劇王チャールズ・チャップリンが監督・主演・脚本・制作・作曲をこなした長編作品です。
長年コンビを組んできたエドナ・パーヴィアンス、この作品で子役スターになったジャッキー・クーガンが出演。
チャップリンの二番目の妻になったリタ・グレイも、彼の夢のシーンで登場しています。
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あらすじ
出産したばかりの赤ん坊を抱いて慈善病院を退院する女性。
子供の父である恋人には捨てられ、頼れる身内もいない。
彼女は、公園近くに停めてあった車の中に赤ん坊を入れ、置き去りにする。
しかし車は、二人組の悪党に盗まれてしまう。
走り去ってしばらくすると、後部座席から赤ん坊の声がしたため、悪党たちはゴミ捨て場にこの子を捨てて行った。
捨てられてしばらくすると、朝の散歩中のチャーリーがこの子を見つける。
誰かの落とし物かとしばらくウロウロして、他人の乳母車の中に入れたり、警官に怒られたりして困っていると、赤ん坊の懐の手紙に「この子をお願いします」と書かれていたので、チャーリーは自分が育てることにした。
近所の人に名前を聞かれて、咄嗟にジョンと名付けた。
5年の月日が経ち、相変わらず生活は苦しい。
ジョンに他人の家の窓ガラスを割らせ、そこへチャーリーがガラス屋として修理する、という詐欺商法で生計を立てる。
ときどき警官に目を付けられて追い回されることもあるが、二人は楽しく暮らしていた。
赤ん坊だったジョンを捨てた女性は、いま大スターになっている。
裕福になった彼女は慈善家にもなっており、ジョンが目の前に現れたときも、実の息子とは気づかずにお菓子を施していた。
ある日、ジョンが近所のガキ大将と喧嘩になって相手を負かしたら、ガキ大将の兄が現れた。
弟が負けた腹いせにチャーリーを殴ろうとしたところ、たまたまその場にいたジョンの母親が仲裁する。
そしてジョンが病気に罹っていることをチャーリーに伝えた。
すぐに医者を呼んだチャーリーは、自分が実の父ではないことを白状。
そのため医者が呼んだ児童保護施設の職員たちがやってくる。
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感想
相変わらずチャップリンの身体能力の高さに感心しますね (∩´∀`)∩
特に連れ去られたジョンを追いかけて屋根から屋根に移るシーンは、筋力とバランス感覚の見事さを見せつけています。
喜劇役者は体が資本!
他の共演者たちもチャップリンの動きに息を合わせて、高度なやりとりを展開。
警官もガキ大将の兄も、乳母車のオバさんまで、全員いい動きです。
その中でも、まだ子供なのにジョンを演じるジャッキー・クーガンは、この映画に見事にハマッていました。
早送りにすることでテンポが速くなっているとはいえ、バラエティーに富んだ動きの数々で、上手くチャップリンの相方役を務めたと思います。
特に木賃宿で一緒のベッドに入るシーンは、サーカスでも観ているような気分になりました。
背中合わせに寝ながらタイミング良くチャップリンに蹴りを入れるところなんか、笑いながら感心します (≧▽≦)
長編と言いながら1時間もしない作品ですが、ストーリーの運びが上手く充実。
この映画から、ずっと長編を撮ることになりますが、すでに雛型として完成しています。
ちゃんと笑いと感動を入れ、ハッピーエンドにしている、従来のチャップリン作品になっている。
ファンにもそうじゃない人にも安心して観られる作品です。
久しぶりに観たけど、相変わらず笑えました。
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