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映画「旅情」あらすじと感想【ネタバレあり】せつない旅先ロマンス

2023/10/16
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

1955年公開のデヴィッド・リーン監督作品。

キャサリン・ヘップバーン主演で、全編ヴェネチアの美しい風景を堪能できます。

一人旅のワクワク感と孤独感が混じった感情を自然に演じています。

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あらすじ

アメリカ人のジェーンは38歳の独身女性。

長期休暇を利用してヴェネチアに一人旅でやってきた。

アメリカとまったく違う町並みや雰囲気に胸躍らせて16ミリカメラを事あるごとに回して旅を楽しむ。

だけどホテルでは自分以外はカップルばかりで、一緒に過ごしたくても、みんな自分たちだけでさっさと出かけていってしまう。

一人で観光に行き、サン・マルコ広場のオープンカフェで寛いでいると、斜め後ろのテーブルに座る男性が自分を見ていることに気づいて、そそくさと立ち去ろうとした。

会計をするためウエイターを呼ぶが、英語のため気づいてもらえない。

すると例の男性がイタリア語で呼んでくれた。

ジェーンはオロオロして、お礼も言えないまま慌てて立ち去ってしまった。

翌日、街を散策していると、店頭に目を引くヴェネチアングラスのゴブレットを置いているお店を見つけ、惹きつけられるように店内に入った。

店主は昨日広場にいたあの男性。

名前はレナート

ジェーンはなぜかドギマギして挙動不審になり、早々に退散した。

ホテルのテラスで同じ宿泊客の画家夫婦が出かけるのに同伴できないかと聞いてみるが、ジェーンの知らない人たちと約束しているから、と断られてしまう。

手持ち無沙汰になったジェーンは、再びサン・マルコ広場のカフェに行った。

そこに偶然、画家夫婦が他のカップルとダブルデートしている姿を見て、慌てて人待ち風を装ってイスをテーブルにもたせかけて誰も座れないように。

だけど画家夫婦たちはジェーンに気づかずに通り過ぎていった。

空回りして嘆息するジェーン。

そこへレナートがまたジェーンに会えるかと期待してやってくる。

声を掛けられて笑顔を向けるけれど、イスをもたせかけたままだったので、レナートは行ってしまった。

またその翌日は仲良くなったストリート・チルドレンのマイロに観光案内をしてもらう。

その途中レナートのお店の前を通りかかり、ジェーンはお店の外観を16ミリに映すことにした。

撮影に夢中になりすぎて後ろ向きに歩いて運河にドボン!

結局、観光を取りやめてホテルに戻るのだった。

しかし着替えや洗濯を済ませてロビーに降りると、レナートがジェーンに会いに来ていた。

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感想

ジェーンがヴェネチアに来たのは観光だけではありません。

彼女は旅先でのロマンスを期待しているのです。

それを聞いたホテルのオーナー兼支配人のフィオリニ夫人は、男性を紹介すると言ってくれますが、ジェーンは自分で見つけたいからと断ります。

そこでフィオリニ夫人は「積極性が奇跡を生むのよ」と力強く言い放ちます。

たしかにその通りなんですよね。

消極的では掴めるロマンスも掴めません。

だけど紹介されることに抵抗がある気持ちもわかります。

気に入ってもらえなかったら傷ついてしまう、という恐怖心があったのではないかと思います。

逆にこっちが気に入らなかったら、紹介してくれた人の手前ハッキリ断るのも悪く思えて厄介なことになりそう、なんて危惧もあったり…

だから紹介をしてもらうより、自然な形での出会いが欲しい。

ロマンスを求めるけれど臆病なジェーンの本音はこうではないかな、と考えます。

でもフィオリニ夫人はさらに「ステーキを食べたくても、その場にないなら目の前のラビオリを食べればいいじゃない」とジェーンに発破をかけます。

イタリアの女性、肉食だなぁ(;^ω^)

とりあえず誰とでもいいからイチャコラしたい、みたいな暴論ですが…

手の届かない高嶺の花を追うより妥協も必要、という意味でなら賛成です。

 

デート後にレナートが既婚者と分かり、ジェーンは傷ついて帰っていきます。

しかし真っ直ぐホテルに戻る気にもなれず、バーでお酒を飲んでいると、画家の妻もやってきました。

何やら彼女も夫婦関係に悩んでいることがあるようです。

「私は彼のすべてでありたいのに!」

彼女はこう叫びました。      

何があったのかは分かりませんが、この後ジェーンは、画家とフィオリニ夫人が不倫していることを知ります。

おそらく妻への愛は薄れているか、最悪、なくなっているのかもしれません。

一緒に出掛ける時も夫は妻に、さっさと来い、と横柄に何度も怒鳴っていました。

ジェーンはこの妻との会話およびその後の周囲の雰囲気で、「結婚とは」「夫婦とは」「不倫とは」「恋愛とは」といろいろ考えるところがあったかもしれません。

 

既婚者だと打ち明けた後ホテルまで来たレナートは、情熱的に愛を伝えます。

不倫関係だとしても、こうして出会ってしまったのだから、この愛を止められないし止めるつもりもない、ということです。

一方ジェーンは、これまで真面目に生きてきたし性格も生真面目なため、別居中とはいえ不倫なんてしたくない、と何度も拒みます。

しかし強引さに負けて、あえなく陥落。

二人はブラーノ島で数日バカンスを楽しみますが、やはりこの関係は終わりにさせなければいけない、とジェーンは旅を終えることを決意しました。

出発の2時間前にレナートに帰国することを伝えて彼を驚かせます。

レナートは引き留めようとしますが、ジェーンは断腸の思いで振り切りました。

もうとっくに好きになっている人と別れる。

非常に苦しい決断ですね。

だけど不倫のまま続けていても、幸せにはなれない、とジェーンも気づいていたからこそ、ひと夏の思い出で終わらせることにしたのだと思います。

一皮向けてより人として強くなれて、決してこの決断は間違っていないはずです。



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