映画「気のいい女たち」あらすじと感想【ネタバレあり】ストーカーは恋愛を求めていない
ヌーベルバーグで活躍したクロード・シャブロル監督の初期作品です。
中心人物を演じるクロチルド・ジョアーノの代表作になります。
他にもベルナデット・ラフォンや、監督と結婚した (後に離婚) 常連のステファーヌ・オードラン、そして後に監督として活躍するクロード・ベリなどが出演しています。
それと撮影監督はアンリ・ドカエが担当しました。
人物を煽りで撮って後ろのビルも映すスタイリッシュなものから、小川のある林を歩く人物たちを少し離れた岸辺から撮ってロマンティックな雰囲気を出すものまで、多彩な映像で楽しませます。
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あらすじ
就業後、夜の街に繰り出した同僚同士のジャーヌとジャクリーヌ。
一緒に歩いているところを、マルセルとアルベールという中年男がふたり、車でナンパしてきた。
ジャクリーヌは完全に無視しているが、遊び好きのジャーヌは気になる素振りを見せる。
結局ジャーヌの説得でジャクリーヌも彼らの車に乗った。
一緒に食事に行くがマルセルたちは話もつまらなく、「紳士的に」と言っているわりにはストリップバーに連れて行き、さらにはジャーヌのお尻を何度もしつこく触る下品な行動を取りまくる。
さすがにジャクリーヌは途中で帰宅し、ジャーヌだけが彼らの家に行った。
翌朝7時に帰宅したジャーヌを、同居人のジネットは気にしなかった。
一緒に職場に向かう。
彼女たちは小さな電器店で働いていた。
他の同僚には彼女たちと同年代のリタと、年嵩のレジ係ルイーズ、そして事務室に籠りきりの男性店長だ。
9時からの就業だが、ジャクリーヌは5分ほど遅刻してしまった。
おかげで店長からセクハラ混じりの叱責を受ける。
仕事はとてつもなく暇で、全員終業時間までダラダラと過ごすのが常だった。
くだらない話を時折し、詩の読み聞かせに来る暇人や商品を卸に来る馴染みの業者、そしてたまに来る客の相手をする。
そんな中で、いつもバイクで外から覗き込んでいるストーカーがいることに皆が気付いた。
目当てはどうやらジャクリーヌである。
終業後に行く先々でストーカーは彼女の後をつけ回す。
恋愛に夢を持っているジャクリーヌは、次第に彼に対して恋心を持つようになる。
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感想
このタイトルだし、女性4人が中心でパリが舞台と聞けば「オシャレでポップなフレンチ・コメディ」と思うじゃないですか…
でもかなりブラックな映画で驚きました。
シャブロル作品、そんなに観てなかったけどそういえば明るい作風ってないような… 迂闊だった (;´∀｀)
同じ電器店で働く4人のパリジェンヌ。
仕事中のチンタラぶりは一緒だけど、性格や生活はそれぞれ違います。
彼氏の両親と初めての顔合わせで失敗するリタ。
夜はナイトクラブでシンガーをしていることを隠していたジネット。
彼氏がいるのに奔放なジャーヌ。
そんな中で恋に奥手なジャクリーヌがこの映画の中心人物です。
前半は、彼女たちの就業中・就業後の何気ない日常を見せる中で、密かにストーカーが背後をうろついている様子を映し出します。
みんなに隠しているルイーズの「お守り」も、ジャクリーヌだけが教えられて、日常の中にジワリと不安感を広げる手法。
それでもラストの惨劇を予感させるほどではありませんでした。
しかし、みんなでプールに遊びに来たシーンから様子が一変。
再び現れたマルセル＆アルベールのコンビが、度を越えた悪ふざけをするのです。
ジャクリーヌは特に狙い撃ちされ、何度も何度も水に沈められかなり危険な目に。
このシーン、すごーーーくムカつきました (#￣皿￣)
食事のとき同様、空気も読めず周囲や相手の感情も気にせず自分勝手でギャハギャハはしゃぎまくって 中学生か！！ それもかなりバカ寄りの！
息継ぎの間もなく浮き上がってはすぐに沈められるジャクリーヌの危機を察して助けたのはストーカー。
バカコンビは「なんだよ～。ちょっとふざけただけだろぉ～」と、これまた中学生じみたクソ発言で退散。
あー、ジャマくさかった。二度と現れるな、ﾍﾟｯﾍﾟｯ と思ってるうちに、ジャクリーヌとストーカーことアンドレの恋が始まります。
早速デートに出かける二人。
バイクに乗って田舎のほうへ… 個人的には元ストーカーとのデートでひと気がない場所に行くのは危険なんじゃない？ と思いました。
そして的中。
まずレストランでの奇怪な行動の数々…
マジックの披露は別にいいけど、場所も弁えず大声を出し、テンション高く頭をテーブルにゴンゴンぶつけて、やっぱストーカーやっばぁ！
1964年の作品なのでストーカーという言葉がまだない時代でしたが、このストーカー自身が「つけ回すような男を信用しちゃいけない」と警告しています。
なのに信用してしまったジャクリーヌは… 殺されました。
(ﾟдﾟ)
こういうオチなのね…
ラストは髪が伸びたジャクリーヌがクラブで男性と踊る姿です。
死してなお恋愛に夢を見ていた、という死後の世界の彼女の思念だったのでしょうか。
面白かったけど、けっこう不快な映画です。
鑑賞にはご注意を。
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