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映画「なまいきシャルロット」あらすじと感想【ネタバレあり】思春期女子の難しさ

2023/11/15
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

数々のフランス・ヌーベルヴァーグ時代の作品に関わってきたクロード・ミレール監督の長編2作目です。

シャルロット・ゲンズブールの初主演作でもあり、当時14歳の彼女の瑞々しくキラキラした存在感は “シャルロット旋風” と呼ばれるほどの人気を博しました。

この映画でのファッションも注目され、ボーダーTや洗いざらしの白いシャツにデニムを合わせた、誰でも手を出しやすいプチプラな素材でもオシャレに見える、と気づかされます。

(そしてスタイルの良さが伴わなければダサくしか見えない、と試着室で思い知らされる…)

この作品でシャルロットがセザール賞新人女優賞 (最年少) 、悪女役が多かったベルナデット・ラフォンが心配性の家政婦さんを演じて同助演女優賞を獲得しました。

ヌーベルヴァーグを代表する俳優のひとり、ジャン=クロード・ブリアリも出演しています。

ちなみにラフォンは「マドモアゼル a Go Go」という作品で、シャルロットの両親 (セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキン) とも共演してました。

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あらすじ

13歳のシャルロットは毎日に鬱屈していた。

学校内で友達はいない。

母はもう亡くなって、自宅脇のプレハブを使って個人で製造の仕事をしている父は怒りっぽいし、兄は意地悪だし、家政婦のレオーヌは口うるさい。

家は狭くて落ち着かないし、こんな町、大嫌いだった。

プールの授業で足をケガしたシャルロットは、保健室から体操の授業に戻る途中、音楽の授業をやっている講堂からのピアノの音色に引き寄せられる。

窓ガラス越しに中を覗くと、自分と同じ年で天才ピアニストと言われている少女・クララのリサイタルがビデオで流されていた。

シャルロットの存在に気づいた教師は、彼女を講堂に招き入れる。

シャルロットは演奏するクララから目が離せなかった。

 

その夜は近所に住むルルという女の子が泊まりに来た。

7~8歳くらいのルルは体が弱く、看護師の母親が夜勤のときはこうしてやってくるのだった。

ルルはシャルロットに懐いており、シャルロットにとって唯一の友達だ。

夏休みに入り、前日から泊まっていたルルと一緒に父にお使いを言い渡される。

寄り道して露店を覗いているとき、オープンカーに乗った紳士・サムに声を掛けられた。

ふと見ると、助手席には憧れのクララが乗っていて驚く。

サムは彼女のマネージャーで、日曜日にこの町で行なわれるミニコンサートのためにやってきたのだ。

旋盤工の工場までの道を尋ねてきたふたりに、行く場所が同じだから、と案内する。

ルルの手を引きながら、クララに会えた嬉しさで頬が緩んだ。

 

翌日、兄はバカンスに出かけ、レオーヌもまだ来ない。

気まぐれに家の片づけを始めるが逆に散らかしてしまい、激怒した父に「遊びに行ってこい!」と無理やり外出させられた。

やりたいこともない。行きたいところもない。

無作為に歩き回り、昨日クララたちを案内した工場まで行ってみる。

すると昨日シャルロットの目を惹いた作業員が、配送車にクララがコンサートで座る椅子を載せている最中だった。

その作業を終え休憩に向かう彼の後を何となくついていき、カフェで声をかけられる。

家まで送る、と車に乗せてもらった。

彼はジャンと名乗り、普段は船に乗っているが休暇中だけ手伝いでここに来ているのだという。

シャルロットは、14時からの椅子の配送に付き合いたい、とお願いし了承を得る。

一旦家に戻ったシャルロットは、昼食もつまみ食いだけで済ませ、服を合わせたり軽くメイクもしたりと、慌ただしく支度をして再び出ていった。

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感想

学校も家も面白くない。

レオーヌはガミガミと小言を言ってくるし、背が高いことを「デカ女」とからかってくる兄はいちいちウザいし、外に出ればイヤミなクラスメイトに遭遇して気分が悪いし…

ひとつひとつは小さなことばかりですが、シャルロットの心の中は不満でいっぱいで、常にモヤモヤしています。

ときに自分で制御できなくなり、レオーヌが結ってくれた髪型が気に入らない、と言って荒れたり、泊まりに来たルルに暴言を吐いて泣かせてしまいます。

だけど父から何をそんなに気に入らないんだ、と訊かれても答えられません。

上手く言葉にできない感情だからです。

というより、いろんな要因が重なりすぎていて整理がつかない

そのもどかしさがまたイライラする原因になり悪循環になります。

思春期の少女特有の、このモヤモヤした感じ。

分かるんですよね、やっぱり。

保護者から自立したい気持ちがありながら、頼らなければ何もできない自分へのいら立ち。

そして体がどんどん変化していくことに戸惑いを感じているのに、そうした成長の兆しを「デカ女」だのとからかわれて腹が立つ気持ちとか。

自分でも自分を持て余して、どうしたらいいのか分からない状態で「なぜ自分の気持ちを分かってくれないの!」という無理難題が心の中に渦巻いていたなぁ、と苦く思い出します。

(大人からしてみれば「そんなん分かるかい」と思ってしまうんですが)

八つ当たり的に暴言を吐いたりつっけんどんな態度をとったり…

それなのに「なぜそんなことをするのか」と聞かれても、言葉が上手く繋がらず説明できないとか、恥ずかしくて口にしたくない、などで口をつぐんでしまう。

シャルロットの言動には私自身にも覚えのあります。

 

憧れのクララと仲良くなり、周囲に同年代の友達がいない彼女から「あなたが付き人になってほしい」と言われてシャルロットは舞い上がります。

嬉しさのあまりレオーヌとルルに、日曜日のコンサートが終わったらクララと一緒に世界中を回るの、と打ち明けます。

ルルはショックを受けて寂しそうな表情になりますが、レオーヌは、そんな夢みたいなこと言って浮かれないように忠告しました。

ようやくこの町から離れて、鬱屈した生活からのびのびと羽ばたけるのに、と水を差されたシャルロットは「どうしてそんなこと言うのよ」と反発します。

レオーヌは「現実はそんなにヌルいものではない」と分かっているので、甘言に惑わされないように心配して言うのですが、シャルロットにしてみれば意地悪された気分になるものです。

シャルロットは夢見がちな少女というわけではなかったのですが、夢のような世界が手に届きそうとなれば、興奮しますよね。

特に若い時は将来の可能性が無限に広がっているような時期ですから、多くの人が夢を見ます。

大人はその夢を現実的な方向性に舵きりして実現できるように応援できればいいですが、あまりにも突飛だったら諦めさせるためにキツいことだって言うでしょう。

それが「大人は分かってくれない」に繋がるんでしょうね。

本当に難しい時期です。

 

真夏の風景がたっぷり詰まった爽やかな味わいがある成長物語です。

「ひと夏の体験」というと、アッチ方面を意味することが多いですが、この作品は “憧れからの脱却” のための出会いと別れを経験する、というストーリーラインになっていました。

ジャンとの恋愛もあるのですが、それよりクララとの出会いによる「理想から地に足のついた現実へ」と切り替えることが出来た “ひと夏の出来事” のほうに、より焦点が当たっています。

いま現在、夢みるアドレセンス真っ只中の少女たちだけではなく、夢見がちだった思春期を通り過ぎた女性たちにも刺さる作品だと思います。

ちなみに主題歌もすごく好き♪

この作品にピッタリのポップな曲で、一度聴き始めるとまたリピートしてしまう中毒性があります。

今回もまたやってしまった (;´∀`)好きだからしょうがない

 

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