映画「ラ・ジュテ」あらすじと感想【ネタバレあり】静止画で綴る浪漫時間飛行
ゴダールや押井守監督に多大な影響を与えた、クリス・マルケル監督の短編SF作品です。
1995年のブルース・ウィリス主演映画「12モンキーズ」の原案にもなっています。
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あらすじ
ある日曜日のオルリー空港・展望デッキの光景。
男にとって、少年時代のいつまでも忘れられない思い出だった。
鮮烈に印象を残すのは女の顔だ。
この数年後に勃発する第三次世界大戦の戦禍の中で、いつも思い出していた。
想いが強すぎて現実にあったことなのかも分からなくなるほどに。
轟音と共に展望デッキは人々の悲鳴が響き渡り、崩れ落ちる誰かの身体を見て驚愕する女の仕草が目に焼き付いている。
彼はある男の死を目撃したのだ。
大戦によりパリは壊滅。
世界中が放射能に汚染され、人々は地下に移り住む。
そこで科学者たちは捕虜たちで人体実験を繰り返した。
地下生活でいずれ枯渇する医薬品や食料、エネルギー源を未来や過去から得るために、時間移動を可能にしようと彼らは考えているのだ。
しかし実験は捗々しくいかず、被験者たちは死ぬか狂人になるかのいずれかだった。
そしてついに男が被験者となる番がやってきた。
苦しい実験から数日後、あの展望デッキのイメージが映り、男はあのときの女と相まみえる。
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感想
静止画の連続なのですが、そのひとつひとつのショットが洗練されていて目を奪われます。
角度や遠近、人物の表情やポーズ、風景・小物・動植物…
すべてが細かく計算されている画像。飽きません。
大塚明夫さんのイケボ・ナレーションも加わって、全体的に芸術的です。
そして30分にも満たないストーリーは、当然冗長なところはないですが、主人公と女の交流は、ふたりの気持ちが近づく過程をきちんと描写しています。
街を歩く、公園に行く、博物館に行く…
逢瀬を重ねてゆくふたりですが、科学者たちは非情にも彼らのデートを途中でぶった切り、ついに未来に行くように仕向けます。
そこで彼が見たのは、過去から来た人間を見下す未来人。
科学者、そして捕虜を監視する戦勝側の人間たちにとって必要なエネルギー源をくれたため、もう主人公は用なしになりました。
あとは死を待つのみ、という主人公に、未来人たちが仲間にならないかと言ってきます。
額に封蝋みたいのがついているだけで、何がそんなにスゴいのか分からない未来人…
この現在に生きている人たちが頑張ったから未来があるんだよな~、と思うと未来人がなぜ上から目線なのか分からない。
主人公は、意識が過去ワープでの女に向いていて、もう一度彼女と過ごしたいからと断ります。
そして念願通り、あの日の展望デッキで佇む彼女に駆け寄り…
崩れ落ちたのは主人公でした。
彼は少年時代に、自分の死を目撃したのだとラストで分かる衝撃。
短い時間で綺麗にまとまっていて、驚きのラストも用意している、本当によく出来ている映画でした。
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