ドイツ映画「U・ボート」あらすじと感想【ネタバレあり】潜水艦内の過酷な人間ドラマ
「ネバー・エンディング・ストーリー」や「エアフォース・ワン」などのウォルフガング・ペーターゼン監督がハリウッド進出するきっかけになった代表作です。
1981年の作品ですが、1997年にディレクターズカット版が公開されました。
約3時間半の超大作です。
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あらすじ
1941年10月半ば。
ナチ占領下のフランスにある、ラ・ロシェルの軍港からドイツ軍潜水艦U96が出航する。
任務は大西洋上の連合軍護衛船団を壊滅させることだ。
報道班のヴェルナー少尉も同乗し、潜水艦内の取材に意欲を燃やす。
彼は客人扱いのため、専用のベッドがあり、食事も艦長ら上官たちと一緒のテーブルについた。
狭いところに50人近くもひしめき合っている環境だが、若い乗組員たちがほとんどの艦内は活気があった。
しかし20日も過ぎた頃、その活気は徐々に無くなっていった。
みな髭面になり、汗や汚れで臭気が充満。
毛ジラミも大発生だ。
そして何より、仕事して食べて寝るだけの単調な生活。
未だにU96は戦果を挙げられずにいた。
他のUボートも同様で、敵艦を見つけて追尾しても見失うなど、情けない報告しかやってこない。
近くに敵艦が現れた情報が届いて意気揚々と駆けつけても空振りで終わるなど、徒労感で艦内の雰囲気も暗くなっていった。
ある日、敵護衛船団のソナー音をキャッチした。
魚雷を発射し、一気に沈める。
歓喜の声をあげたところで、敵駆逐艦が姿を現す。
潜望鏡だけ出して、U96は潜水して乗組員たちは息をひそめた。
自分たちの真上を駆逐艦が通る緊張感。
そして敵の機雷が降り注ぎ、U96は大きく損傷しケガ人も出る。
幸い死人も出なかったし、修理にも時間がかからなかった。
しかしその後も敵からの攻撃があり、機関長のヨハンは錯乱し、持ち場を離れて外に逃げ出そうとするのを皆が必死に止めた。
正気に戻ってからヨハンは艦長に謝罪し、軍法会議にかけられるかをしきりに気にしている。
艦長は何も答えなかった。
また別の日には、敵護衛艦を撃墜した後、浮上して沈没を眺めることにすると、敵艦にまだ人が乗っていたことに騒然となる。
なぜ逃げていないのか。
火に包まれて海に落ち、助けを求める声がいくつも届く。
彼らはその声を振り切るように後退し離れていった。
乗組員たちは、クリスマスには帰港できる、と楽しみにしていた。
しかし上層部からの命令は、イタリアへの回航だった。
入り口が狭い上、イギリス軍の船や哨戒機が夥しくあるジブラルタル海峡を潜って地中海に入る、危険なルートだ。
その前にスペインで燃料や食料を補給することになる。
艦長は、そこでヴェルナーとヨハンを下船させることにした。
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感想
実際のUボートのレプリカを作って撮影したそうです。
むさくるしさとは 息苦しさとは それが何か 見せつけてーやーるー♪
と歌いたくなる圧迫感。
すごくリアリティのある映像で、巨額の資金を投じて製作した甲斐がある臨場感です。
ものすごい狭さでシャワーすらなく、50人近くもいるのにトイレが一つしかないし食料もカビていく不衛生さ。
はぁー!? くっせぇ くっせぇ くっせぇわ♪
(歌うと思ったでしょ?)
観客もこの潜水艦の中で彼らと一緒に詰め込まれたような感覚に陥ります。
男同士の日常的なしょうもない雑談を聞かされたり、敵からの攻撃に緊張して息をひそめたり、もう乗組員の一員になった気分になるカメラワーク、見事です。
艦長はじめ名前が出るキャラが少ないにも関わらず、感情移入がしやすい人間ドラマがあります。
ディレクターズカット版は長いのですが、その分彼らの精神的なプレッシャーを丹念に見せています。
ドイツ軍兵士たちなので、歴史上では悪とされ、ナチの所業からしても非人間的に思えるのですが、連合軍兵士たちの死に心を痛めるあたり、やはり彼らも人間としての心を失っていない普通の人だと確認できます。
愛国心がありナチの手先であっても、見ず知らずの人の死に心穏やかではいられなくなる。
敵味方関係なく、普通の人間にとって戦争はつくづく残酷なものだと考えさせられました。
ジブラルタル海峡の死線で最大のピンチを迎えながらも無事に帰港します。
張りつめていた糸が緩んで、ホッとした空気に包まれて迎えられたところで悲劇が起こります。
せっかく生きて戻れたのに…
そのためにあんなにも頑張ったのに…
虚しさが滲むラストは、戦争映画ではよくあるものです。
実際の戦争が虚しいものだから、そうなるのが自然なんですよね。
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