映画「天使と悪魔」あらすじと感想【ネタバレあり】宗教と科学の関わり合い
トム・ハンクス演じる象徴学者ロバート・ラングドンが活躍する歴史ミステリー作品の第2弾です。
監督も前作同様ロン・ハワード。
今回はユアン・マクレガーやステラン・スカルスガルドなどが活躍します。
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あらすじ
ローマ教皇が崩御し、次の教皇を決めるコンクラーベが執り行われる。
バチカンに集まった枢機卿たちは、次期教皇を4人の候補者の中から投票で決めることになっていた。
そのころ、スイスにある素粒子研究所で、核に匹敵する破壊力を持つ “反物質” の研究が最終段階を迎えていた。
担当研究員のヴィットリアが反物質を取りに行く途中、業者の人間とすれ違う。
特に気に掛けることもなく、ヴィットリアは網膜センサーを通過して反物質がある部屋に入った。
しかしすぐに、えぐり取られた眼球が床に転がっているのを見つけて身をすくませる。
恐る恐る奥へと進むと、目を無くした研究員の死体を見つけた上、反物質が何者かに盗まれていることに気づいて戦慄した。
ハーバード大学で象徴学の教授をしているロバート・ラングドンの元に、バチカン警察がやってきた。
次期教皇候補の4人が誘拐され、脅迫状が送られたきたので捜査に協力してほしいのだという。
すぐにバチカンに飛んだラングドンは、かつて “ラ・プルガ” という粛清によってキリスト教から弾圧された科学者たちの秘密結社「イルミナティ」とのつながりに気づかされる。
午後8時から1時間ごとに、候補者をひとりずつ殺していき、0時にはバチカン消滅を示唆する脅迫文。
時間との勝負のなか、ラングドンはヴィットリアやバチカン警察と連携を取って、イルミナティの会員だった “天文学の父” ガリレオ・ガリレイが遺した暗号を読み解いて、犯行場所に駆けていく。
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感想
「ダ・ヴィンチ・コード」のほうが先に映画化されましたが、原作はこちらが1作目になります。
そのためラングドン以外では「ダ・ヴィンチ・コード」の登場人物たちは出てきません。
前作から繋がっている部分はないので、未見でも楽しめます。
ただ耳慣れない言葉が多いので、セリフに集中しないと置いて行かれるかもしれません。
暗い画面が多いのも、状況を分かりにくくさせているので厄介に感じました。
なので先に原作を読むほうがいいんじゃないかな、と原作未読の身としてオススメしておきます。
誘拐された枢機卿たちが監禁されている場所や、犯行が行われる場所を特定するために、バチカンの書庫に保管されているガリレオの「真実の図表」を調べることにしたラングドンは、ヴィットリアと一緒に書庫に入ることにします。
歴史的な価値が高い蔵書が積まれ、入室するには司祭の許可が必要という、厳格な場所です。
それぞれの本の取扱いも要注意。
ラングドンは白手袋をし、ピンセットでゆっくりページをめくっていきます。
しかし、犯人が予告した殺害時刻が迫ってきていました。
グズグズしていられないけれど、なんか透かし文字とか浮き出ちゃってて、まだ読んでなーい。
でも門外不出の本。どうしよーどうしよー!
焦って思考停止になるラングドンの目の前で、ヴィットリアは該当ページをビリーッ!と切り離しました。
あ゛―――っ!!
ガ━(゚Д゚;)━ンゴ━Σ(゚Д゚;)━ンギ━Σ(゚Д゚||;)━ン!!!
なんということでしょう…
歴史的蔵書をいとも簡単に破壊した行為にラングドンは口パクパクです。
歴史的遺産を守りたい情緒性と、とっとと人助けに行くための合理性のせめぎ合い。
たしかに悩ましいところでしたが、どちらが優先されるべきか、といえば、やはり今生きている人たちの命ですよね…
もちろん先人たちが生きてきた証である歴史のあるものは、残っていてほしいと思います。
この先もずっと保存され続けてほしいし、テロなどで破壊したり、嫌がらせやふざけた行為で落書きしたり破損したりするような輩には怒りを覚えます。
だけど人命がかかっている状況のときに、どちらかを選ばなければならないとなれば、明らかに人命優先ですよね。
人の命もですが、自分の命もです。
みんな分かっていることなんですよね。
だけど…災害が起こったときなどに、船・田んぼ・用水路などの様子を見に行って命を落とす方が後を絶ちません。
この先の生活の糧に必要なものだから、気になるのは分かります。
しかし命あっての物種です。
何はなくとも人命が一番。
生きてさえいれば失ったものはまた取り返すことができます。
まずは取るものもとりあえず急いで避難しましょうね。
「宗教と科学は相容れないものなのか」
この作品の全体テーマです。
もともとイルミナティは、“宗教と科学の統一” を目指している団体でした。
しかし教会側は、宗教は精神的なもので在り続けることを望み、ラ・プルガという拷問によってイルミナティを弾圧したのです。
神や天使など、宗教は目に見えないものを崇拝し、奇跡を信じます。
しかし科学は目に見える形で奇跡の正体を暴くもの、と捉えられたのかもしれません。
本来は目に見えるものも見えないものも、全部ひっくるめて受け入れる柔軟な世界が一番過ごしやすいのではないかと思うのですが、何しろまだ科学も黎明期で宗教が絶対という時代だったから、頑なに拒否されたのでしょうね。
人心掌握のためにも宗教の神秘性を侵されたくなかったことが、悲劇につながったように見えます。
そして今現在、宗教は存続しながらも科学も大きく発展し、うまく融合しています。
一見水と油のような関係に見えながら、実はそうでもなかったわけです。
神秘だからこそ、その謎を追いたくなるのも、また神が人類に与えた “知恵” への挑戦だったのかもしれません。
私は特定の宗教には属していませんし、入信する気もありませんが、無神論者ではないです。
“神” という、理由はなくとも無条件で敬うべき存在に常に感謝しながらも、科学のおかげで便利になっている世の中を存分に享受させてもらっています。
この考えが気に入らない方もいるでしょうが、「どちらか一方が絶対!」と偏るより、このくらいユルいスタンスでいると、いろんな考えに触れられて視野が広くなるんじゃないかと思います。
この映画も最後には、宗教と科学は仲良くできるよ♪、と伝えていました。
宗教が科学の台頭を認めなかったことが、悲劇の始まりだった今作品。
ラストに教皇となった人物は、ラングドンに「真実の図表」 (ヴィットリアが破った例のアレ) を渡しました。
そして過去にキリスト教が犯した罪を背負いながら「宗教も間違いを犯すもの」と、反省を込めて認めます。
どの宗教も、多くの信者に教義を説き、絶対のものとして完ぺきである、と思わせます。
完全だからこそ崇拝されるわけですが、その中にも間違いはある、と宗教側が認めるんですね。
現実ではそうそう認めないと思いますが…
やはり完ぺきな存在というものはこの世にはなく、すべてのものは間違いも犯すし不完全なものなのでしょう。
だから何か不都合があっても許容する心の広さもできるのでしょうし、逆にその不完全を埋めようと高みを目指す人もいます。
人それぞれの考えがありますが、不完全だからこそ人は成長できる、ということに変わりはありませんね。
タイムリミットがある中、ラングドンは前作よりも走り回ります。
ローマ・バチカン市内を右往左往。
観光地としても有名なシスティーナ礼拝堂やサン・ピエトロ大聖堂などの荘厳さも堪能できて、これだけでも垂涎ものです (←変態)
しかし実は撮影許可が下りたところが少なく、ほとんどはセット撮影だったと聞いて、美術スタッフすごい、と感嘆しました。
どこがロケでどこがスタジオだったのか、見分けがつきません。
この仕事ぶりも見どころだと思います。
コンクラーベに集まる枢機卿たちの、赤ずきんちゃんみたいな衣装の可愛さも注目です (←不敬)
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