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映画「オール・アバウト・マイ・マザー」あらすじと感想【ネタバレあり】

2024/08/24
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

アカデミー賞、ゴールデングローブ賞ともに外国語映画賞を受賞した、ペドロ・アルモドバル監督のスペイン映画です。

主演はセシリア・ロス

国際的に活躍するペネロペ・クルスや、「ライフ・イズ・ビューティフル」のマリア・パレデス、「ミツバチのささやき」のフェルナンド・フェルナン・ゴメスなども出演しています。

 

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あらすじ

マドリードで移植コーディネーターとして働くマヌエラ

女手ひとつで一人息子エステバンを育てている。

作家志望のエステバンは常にノートと鉛筆を持ち歩き、いつも何かしら書き留めていた。

夕食後、一緒にテレビで映画「イヴの総て」を鑑賞。

マヌエラは、若い時に小さな劇団で舞台女優をしていたことをエステバンに打ち明ける。

彼女が見せた当時の写真は、半分にちぎってあった。

翌日はエステバンの17歳の誕生日で、ふたりは女優ウマ・ロッホ主演の舞台「欲望という名の電車」を観に行く。

マヌエラは昔、同じ舞台で主人公の妹ステラ役を演じたことがあることをエステバンに教えた。

そこでエステバンは、写真が破かれていたのは、そこに彼の父親が写っていたんじゃないか、と指摘。

躊躇うマヌエラだが、エステバンももう17歳という大人に差し掛かる年頃になったことから、観劇後に彼の父親のことを教える約束した。

舞台が終わり、興奮冷めやらぬエステバンはウマのサインをもらおうと、雨の中裏口で彼女を待つ。

マヌエラもそれに付き合った。

共演女優のニーナと共に車に乗り込んだウマに、窓を叩いて声を掛けるが無視されてしまう。

走り去る車を追ったエステバンは、マヌエラの目の前で別の車に撥ねられてしまった

エステバンは脳死となり、彼の臓器は各レシピエントたちに移植される。

一人息子を失って憔悴しきったマヌエラは仕事を辞め、故郷のバルセロナに戻った。

古い友人でトランスジェンダーの街娼アグラードと再会し、昔の恋人ことエステバンの父親ロラの居所が聞くが、彼はアグラードから金を借りたまま姿を消したという。

マヌエラはアグラードの紹介で修道女のロサと知り合うが、彼女はロラの子どもを妊娠しており、マヌエラを動揺させる。

そしてバルセロナでもウマの「欲望という名の電車」の舞台がやってきて、マヌエラは吸い寄せられるようにウマの楽屋に入っていった。

 

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感想

わりとメッセージ性の強い映画だと思います。

ウマとニーナは同性愛の関係で、しかもニーナは薬物依存症。

アグラードは豊胸を施していつつ男性器を切除するつもりはありません。

むしろこの特殊な体をウリにしているきらいがあります。

ロサはロラから子供と同時にHIVもうつされていました。

そしてロラの本名はエステバン

女性に性転換していました。

マヌエラの周りには、マイノリティーが渋滞していますが、殊更にヘンな目で見たり特別扱いしたりせず「普通の人」として接しています。

そのため視野が広く、頼りにされることが多いです。

請われてウマの付き人になったマヌエラは、クスリのせいで舞台に穴を開けたニーナの代わりにステラ役で舞台に立ちました。

「イヴの総て」のようになるかとこっちも思ったし、ニーナも噛みつきましたが、マヌエラにそんなつもりはありません。

しかしこれをきっかけにウマの付き人は辞め、両親を頼れないロサを支えることにしました。

ロサの父は認知症で、娘のロサのこともわからない状態だし、母親はそんな父を支え、思想的にはマイノリティーへの理解を示さない人だからです。

マヌエラは母と娘を和解させますが、出産と同時にロサは命を落としました。

その葬儀にやってきた女性… ロラとマヌエラはようやく再会し、エステバンという息子がいたことも打ち明けて号泣します。

複雑に入り組んだ関係性の中、息子を愛している、という芯だけはマヌエラの中で揺らぎませんでした。

ずっと息子がほしいと思っていながらマヌエラの元を去って女性になったロラは、息子がいたことも、そして亡くなったことも、死を前にしてようやく知ることで自分の生き方に後悔することになります。

同性愛者でもいい。トランスジェンダーでもいい。

だけど自分が本当に望むことを見極めて選択しなければ悔いを残す人生になってしまう

そんなふうに伝えているように思えます。

ロラは「息子がほしい」と望んでいたけど、同時に「女性になりたい」というほうを優先して後悔しています。

彼の中では性転換のほうが望みの優先順位は高かったのかもしれないけれど、息子を持てていたほうが幸せだったのかもしれない。

未来は見えるものじゃないから、どういう選択をすれば幸せになれるのかは結果が見えてからじゃないと分からないものです。

難しい問題だと思いますが、ひとりで息子を育てたマヌエラは幸せだったのかもしれません。

だけど失うという不幸にも見舞われ、幸せは永遠に続くものではないことを示します。

そしてロサが生んだ男の子はマヌエラが育てることになりました。

その子の名前も、ロサの希望でエステバンと付けられ、また新たな子育てがスタート。

マヌエラの後任でウマの付き人になったアグラードは、意外にもニーナとケンカ友達のようになって仲良くなりました。

そんなニーナは結婚してウマの元を離れ、アグラードが女優になります。

ウマは変わらず大女優。

マヌエラとの再会を喜びますが、舞台の出番直前には「女優の顔」になります。

このウマの顔でラスト。

この映画に出てくる女性たちの多面性を表わしているように思えました。

面白かったです。

 

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