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映画「PARIS パリ」あらすじと感想【ネタバレあり】幸福に気づいていない人々の街

 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

監督秘蔵っ子のロマン・デュリスと、ベテランのジュリエット・ビノシュを中心に、パリで生きる人たちの生活を映し出すセドリック・クラピッシュ監督作品です。

出演は他に、ファブリス・ルキーニ、フランソワ・クリュゼ、メラニー・ロラン、アルベール・デュポンテル、ジル・ルルーシュ、カリン・ヴィアールなど、かなりの豪華キャストを揃えています。

パリ

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あらすじ

パリで暮らすダンサーのピエールは、1ヵ月前に重い心臓病の診断を受けた。

移植をしても生存率は半々。

悩んだ末、父母より先に姉のエリーズに打ち明ける。

夫に捨てられ三人の子を育てるシングルマザーのエリーズだが、なるべく弟の傍にいることにした。

しかし社会福祉士の彼女は、時短や休日増など就業形態を変えたい旨を同僚たちに伝えるが、猛反対されて頭を抱える。

いつ死ぬか分からない病気を抱えて絶望しているピエールは、日がな一日アパートのベランダから外を眺めていた。

そして向かいのアパートにとても可愛い女の子が住んでいることに気づき、エリーズに彼女への恋心を打ち明ける。

その女の子レティシアに恋しているのはピエールだけではない。

大学生の彼女は、初老の教授ロランが匿名で送るショートメールに時折悩まされていた。

ロランの文章は直情的だった。

レティシアは送信者がロランだと知ると、彼と関係を持つ。

ロランは、弟のフィリップ夫婦にも報告して浮かれるのだった。

エリーズがよく行く市場は、威勢のいい男たちが明るく接客をしている、活気づいている場所だ。

そのうちの一人ジャンと、エリーズは親しくなった。

自身の恋の気配を感じながら、ピエールの恋のために一肌脱ぐことにしたエリーズは、アンケート調査を装ってレティシアの部屋を訪ねる。

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感想

「猫が行方不明」のときにも思ったのですが、本当に等身大のパリを映すのが上手い監督です。

観光では絶対に行かないような裏通りや、そこに住む人たちの様子もしっかり見せ、「花の都」の華やかさと裏道の泥臭さを併せ持つパリの顔。

その全てをひっくるめてパリを愛しく感じている監督の心情が伝わる映画です。

この映画に登場しているパリジャン / パリジェンヌたちは、イメージ通りのかっこよくオシャレな人たちばかりではありません。

恋愛や結婚に躓いたり、生死に向き合ったり、思い通りにならない人生に四苦八苦している人が大勢います。

ピエールのためにレティシアに会って彼女と会話するエリーズですが、レティシアには彼氏がいることが分かり、姉弟はガッカリします。

その彼氏はロランではない、若くて彼女にお似合いのイケメンでした。

ロランもまた失恋で落ち込みます。

ジャンは、明るく元気だった前妻が事故で唐突に亡くなり、言い知れない寂しさを抱えました。

凱旋門の上から彼女の遺灰を蒔きます。

エリーズと関係を持ったけれど、心の内ではまだ前妻を愛していたのかもしれません。

喧嘩するほど仲が良い、という感じの二人でしたから。

失恋はしたけれど、やはり生に希望を持っているピエールは、手術を決心します。

タクシーに揺られながら道行く人々を眺めるピエール。

レティシアとその彼氏。ロラン。フィリップ。ジャン。カメルーンからの不法移民者。

「みんな寂しくて、でも誰かを愛したくて。

誰もが不満を持ち、文句を言うのが好き。

幸運に気づいていない。

歩いて、恋して、口論して、遅刻して ―――なんという幸せ」

“健康” こそが一番の財産だと気づいたピエールは、哀しく笑いながら思います。

パリに住む人々。パリという街そのもの。

良いところも悪いところも、すべてが愛おしくてたまらない。

監督のラブレターともいえるような群像劇で、面白かったです。

病や死と向き合いながらも明るい作風なので、暗い作品が苦手な方でも観やすいと思います。

パリに興味がある、パリに旅行に行きたい、という方はぜひ。

 

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