映画「ラストエンペラー」あらすじと感想【ネタバレあり】ぜんぶ時代のせい
清朝最後の皇帝・溥儀の生涯を映画化したベルナルド・ベルトルッチ監督作品です。
主演のジョン・ローンの知名度はこの作品で上りました。
ピーター・オトゥールが重要な役割を担い、ジョアン・チェンや日本からは坂本龍一さんや高松英郎さんらが出演しています。
坂本さんは楽曲も担当し、日本人初のアカデミー作曲賞を受賞しました。
あらすじ
1950年、満州。
中ソ国境の駅で「戦犯」と呼ばれる人たちが降り立ち、収容所に連行される。
その中に、皇帝と傅かれる人物がいた。
かつての清朝皇帝・愛新覚羅 溥儀だった。
溥儀は洗面所に入り、そして両手首を切って自殺を図る。
溥儀はわずか3歳で、西太后の任命により清朝の皇帝に即位した。
母と引き離されて紫禁城で軟禁生活を送る彼は、乳母のアーモに甘えることで母の愛を感じている。
天子として傍若無人な振る舞いをする溥儀を周囲の宦官たちも許しているが、どうやっても紫禁城からは出してもらえなかった。
7年後、ようやく母と再会し、そして弟の溥傑も紫禁城で暮らすようになる。
それと同時にアーモからは引き離された。
ある日、溥傑から皇帝は別にいる、と聞かされて激昂するが、紫禁城の外では共和制が出来上がっており、大統領の袁世凱が車に乗ってパレードをしている姿を見てショックを受ける。
宮内長官に説明を求めても、紫禁城の中では皇帝です、という答えのみだった。
中国は共和制になったが、次第に政治は腐敗し、軍閥政治となって動乱の世に変わっていく。
1919年。
イギリス人のレジナルド・ジョンストンが溥儀の家庭教師として赴任してきた。
彼の教えは溥儀に西洋への憧れの気持ちを湧きたてる。
年頃になった溥儀は、婉容という正妃、文繍という側妃を娶った。
皇帝として城内の改革を行い、多数の宦官を追い出して盗みの実態を探るために宝物庫の目録を作成するように命じる。
しかし隠蔽のため宝物庫は焼かれてしまった。
さらにはクーデターにより、溥儀たち家族は紫禁城から追い出され、日本公館に身を寄せることになる。
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感想
気の毒な人ですよね…
何も分からない3歳の幼児が、いきなり皇帝に祀り上げられて大人たちに傅かれる。
周囲はなんでも言うことを聞くけれど、紫禁城から出ることや、家族と一緒に暮らせないなど、一番の望みはまったく思い通りにさせてもらえない。
実母が亡くなったときですら、家に帰してもらえませんでした。
情緒不安定になって、かなりひどい暴君になってもおかしくない環境ですが、ジョンストンが彼の支えとなり暴走を止めたんじゃないかと思います。
側仕えの者に墨汁を飲ませるような残虐性が子供の頃にはありましたが、ジョンストンから「紳士の振る舞い」を教わり、婉容とモダンな西洋文化について話すことで未来に希望を持ち、それが溥儀の心の安定につながって暴君にならずに済んだのではないかな、と。
賢帝とも言えないけれど… (;^ω^)
紳士の振る舞いを身に付けたおかげで、後に収容所に入れられ過酷な尋問や慣れない労働でも冷静に黙々と対処でき、模範囚として出られたのでしょう。
幼少期のあの環境で、ジョンストンの教育なくクーデターになっていたら…
ワガママ三昧ですぐに暗殺されるとか、かなりキツい現実が待っていた気がします。
高貴な生まれながら、庭師となってキチンと生活しているし、時代が違えば皆から愛される皇帝になる要素を持った人だと思いました。
不幸な出来事が多い人だったけど、庶民になったことで落ち着いた晩年だった気がします。
ストーリーだけではなく、色彩豊かで本格的な衣装や美術造形の数々で映像からも楽しめる映画でした。
3時間近くありますが退屈しなかったです。
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