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内田康夫「箱庭」あらすじと感想【ネタバレあり】浅見光彦シリーズ61作目…でも初めて読む

2024/07/03
 
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駆け出しライターのポムりんごと申します。 最近はめったに雪が積もらなくなった雪国在住。 映画や海外ドラマの視聴が趣味で、それが高じて英語学習もやっています。 英検準一級。TOEIC780。 漫画やゲームも好きな完全内向型。 家にこもってわがまま(セルフィッシュ)三昧に日々過ごしてます。

なぜか家にポツンとおいてあったので、読んでみました。

ブログタイトル通り、読むのも初めてならドラマなど映像化されたものも観たことがないので「人物関係とかの設定がわからなくて理解できないかも」と若干の不安がありました。

つい先日、岩田剛典さん主演で別作品の浅見光彦ドラマがあったようですが、まったくノーチェックでしたw

前知識として観ておけばよかった (;´∀`)

 

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あらすじ

安芸の宮島に台風が上陸し、日本三景・厳島神社も甚大な被害を被った。

台風が引けた波打ち際では、男性の遺体が打ち上げられる。

彼は前日、厳島神社の内侍をしている女性に、あるはずのない「紅葉谷公園のお墓」の場所を聞いて不審がられていた。

 

2年後。

浅見光彦は、義姉・和子のところに届いた封筒について相談を受ける。

入っていたものは、30年以上も昔に撮られた、中学時代の修学旅行の写真だった。

セーラー服姿で同級生・三橋静江と共にボートに乗っているところだ。

場所は厳島。

そして同封されていた便箋には「キジも鳴かずば撃たれまい」とだけ書かれている。

一緒に写っている静江とは交流は途絶え、消息はわからない。

和子の夫であり浅見の兄である警察庁刑事局長の陽一郎に相談するのは気が咎めるということで、浅見が手紙の投函先・島根県益田市に行って静江を探すことにした。

彼女の足取りを辿るうち「厳島神社」という名称の神社は多数存在することに気づき、お墓がある紅葉谷公園というのも宮島とは違う場所・山口県岩国市に存在することを知る。

そしてその紅葉谷公園の墓地で男性の他殺体が見つかった。

浅見は静江の行方と同時に、この殺人事件の謎も追っていく。

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感想

すごく読みやすくて驚きました。

レギュラーキャラクターだとしても、ちゃんとその人物像を説明してくれているので、これまで読んだことがなくても「どういう立ち位置の人でどんな性格なのか」が分かりやすく書いてあります。

おおぉ、親切…!

シリーズものでは時々「これまでのシリーズを読んでれば分かるでしょ」とばかりにキャラクター像を端折る作品を見かけることがあるので「新参者は去れっちゅーことかい」と面白くない気分になったりしたものですが、この作品はそんな冷たさはありませんでした。

古参も新参もウェルカムー♪ という感じの優しさを感じて嬉しい (∩´∀`)∩

そして文章、とくに会話がテンポよくってスルスルと読み進められます

トラベルミステリーなので場所の情景も丁寧に書かれていて旅行に出かけたくなりますね。

島根も山口も、厳島神社も行ったことがないのですが興味を搔き立てられました。

この小説が書かれたのは1993年なので、厳島神社はまだ世界遺産登録されていない頃です。

それでもこの神社の荘厳さが余すところなく描写されています。

 

行方が分からなくなっている女性を追う、という点で「火車」に似ているな、と思いました。

「火車」ほど凄惨な人生ではないですが、三橋静江さんも薄幸な人生を歩んでおり、浅見さんは同情心を持ちながら追いかけます。

…でも、介護士として有力者に引き立てられているので、そんなに悪い人生には見えませんけどね。

素朴な女学生の写真から端を発した謎は、政治の腐敗という思いがけない裏に繋がります。

あまり肉体派とはいえないイメージの浅見さんですら尾行されたり拘束されたりと、知能が役に立たない状況に追い込まれてハラハラ。

そこに加えて今作のヒロインといえる女性はもっとピンチになり、浅見さんも体を張って彼女を助けようとして… カッコイイじゃないですか。

文中でたびたび「居候次男坊」だのと、今の言葉に直すと「子供部屋おじさん」呼ばわりされているにも関わらず、その呼称に似つかわしくないイケメンぶりを発揮しています。

 

タイトルの「箱庭」は最終章で回収されます。

箱庭心理療法のことだと聞いて、偶然にも数回前のアニメ「SPY×FAMILY」にも出てきたものじゃないですか、と驚きました。

何これ、セレンディピティっていうんでしたっけ?

偶然の一致すごーい。 なんの役にも立ってないけど。

で、マッドな雰囲気の病院理事長が箱庭療法について「面白そうだろう?」とテンションアゲアゲでヒロインに語るシーンで、アニメでアーニャが箱庭療法を「つまんなそう」と思うシーンを思い出して、つい鼻で笑ってしまいました。

理事長ゴメンネ。

タイトルとはいえ、箱庭療法についてはそんなに言及されていませんし、こんなふうに軽く流しちゃう程度のものですが、この小説自体は面白かったです。

また機会があったら他の浅見光彦シリーズも読みたいな、と思いました。

(さすがに全部は無理だけど)

 

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