映画「この子の七つのお祝いに」あらすじと感想【ネタバレあり】
第一回横溝正史賞を受賞した斎藤澪さんの同名小説を原作にした映画です。
「赤いシリーズ」などのテレビドラマでも有名な増村保造さんが監督。
岩下志麻さんが情念たっぷりに復讐鬼を演じます。
事件を追うルポライターは根津甚八さんです。
あらすじ
昭和30年。
古びた木造アパートで暮らす幼い少女・麻矢は病弱な母親・真弓から毎晩父への恨み言を聞かされていた。
戦時中に中国で知り合い真弓と結婚した高橋道夫は、他の女の元に走って真弓と麻矢を捨てたのだという。
結婚当初の写真や、親子三人の掌紋がアルバムに貼られ、真弓は麻矢の脳に刷り込むように見せて、道夫を殺すようにと語る。
真弓は麻矢に、病気の自分はもうすぐ死ぬけれど、道夫への復讐を必ずやり遂げるように強く言い聞かせていた。
27年後。
池畑良子という28歳の女性が自宅マンションで惨殺された。
来客としてやってきた犯人はケーキを手土産に持ってきており、鋭い刃物で彼女を殺害。
血だらけの部屋の中、血の掌紋が残されクローゼットが荒らされている。
この事件の取材で警察署にやってきたルポライターの須藤は、先輩のベテランジャーナリストの母田が取り調べを受けていると聞いて驚いた。
良子と会う約束をしていたことが、彼女の部屋にあったカレンダーに書き込まれていたからだ。
取り調べを終えた母田に声をかけ、事件のことを聞くことにした須藤は、馴染みのバー「往来 (ゆき)」に母田を誘う。
ママのゆき子は愛想の悪い女だったが、須藤は彼女に惚れていた。
奥のテーブルを借り、須藤は母田に経緯を聞く。
良子は最近まで政界のフィクサー秦一毅の家で家政婦をしていた。
しかし本当の黒幕は秦の妻・青蛾という手相占い師が政界を牛耳っているのだという。
その話を良子から詳しく聞く予定だったのだ。
帰り際、先にタクシーに乗った須藤を見送った母田は、持病の関節痛で苦しみだす。
一緒にいたゆき子は彼と一緒にタクシーに乗り込み、母田の部屋に行って彼を介抱した。
そして二人は関係を持った。
警察では、ケーキを購入した人物やクローゼットを荒らした理由から、良子を殺したのは女だと断定した。
犯人が女だと分かった須藤と母田は、青蛾が犯人だと目星を付ける。
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感想
話の内容とか覚えてなかったんですけど、岩下志麻さんのセーラー服 (40歳) は覚えていました。
この写真が出てきただけで吹いてしまった。スミマセン
横溝正史賞作品だけに、金田一シリーズのような猟奇的な雰囲気が出ている作品です。
晴れ着や日本人形などの小物、しなびた木造建築、真っ赤な血しぶき…
そこかしこに横溝作品のような演出が施されていますが、フーダニットではありません。
犯人は途中で分かるので、その先のストーリーでどう観客を引っ張るかが重要になってきます。
そこが犯人を最後までバラさない金田一とは違いますね。
青蛾と麻矢の関係、過去の誘拐事件…
道夫こと佳哉の口から語られる真実はわりと捻ってあります。
ただ、須藤がもっとジャーナリストとして真実を追いかける構成にしたほうが良かったかも、とも思います。
犯人がゆき子 = 麻矢と分かった時点でガックリきちゃって、取材に身が入らなくなった須藤の存在って、いらなくなっちゃってるんですよね。
麻矢と会う佳哉にヒョコヒョコついて行ってるけど、母田殺害の真相を突きつけるだけでは弱い。
他のもっと深い部分まで真実を晒した佳哉に見せ場を持っていかれた印象です。
残念に思う部分もありますが、真弓役の岸田今日子さんのイッちゃってる演技は目が離せないし、懐かしの昭和風景やグッズがいろいろ見られるし、最後まで退屈しないで楽しめました。
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