フランス映画「ディーバ」(1981年) あらすじと感想【ネタバレあり】
ジャン = ジャック・ベネックス監督の長編デビュー作となったサスペンス映画です。
「ベティ・ブルー」でも起用したジェラール・ダルモンと、ジャン = ピエール・ジュネ監督作品常連のドミニク・ピノンが悪役コンビを演じます。
そしてベテランのリシャール・ボーランジェが主人公をサポートするおいしい役です。
あらすじ
郵便配達員ジュールは、オペラ歌手シンシア・ホーキンスの大ファンだ。
レコードを出さない彼女の美声が聞けるのはコンサートのみである。
ジュールはコンサートに行くたびに隠し撮りしていた。
海賊版を出す意図はなく、ただ自分の楽しみのためだけである。
カセットテープもだいぶ溜まってきた。
今回のパリ公演も隠し撮りし、終演後は他のファンたちと同様に彼女の楽屋に行ってサインをもらって少しだけ会話ができた。
楽屋から出る間際、コンサートで彼女が着ていたドレスを出来心で盗んでいく。
翌日、何かに追われるように裸足の女性ナディアが駅に降り立った。
ナディアを見つけて追いかける二人組の男。
駅前のカフェではナディアを待っている男女がいた。
男は情報屋、女は刑事のポーラ。
麻薬および人身売買組織を摘発するための証人として保護する約束をしていたのだ。
駅から出てきたナディアの危機を感じ、ポーラは駆けつけようとしたが情報屋は止めた。
ナディアは近くに止めてあった郵便配達のバイクの荷物入れにカセットテープを忍び込ませた。
戻ってきたジュールとナディアがぶつかると、二人組は警察を名乗り「いま見たことは忘れろ」とジュールを脅してナディアを連行する。
しかし逃げ出したナディアは殺された。
証拠品であるカセットテープを彼女が持っていなかったことから、二人組、そしてポーラたち警察もジュールを追う。
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感想
80年代。それも始まったばかりの81年。
いま見るとダサいセンスが蔓延している時代に思えますが、ベネックスのセンスは変わらずスタイリッシュです。
監督特有の青みがかった映像に、生活臭を感じさせない廃ガレージを自宅にする主人公。
テンポのいい画面の切り替えでサスペンスを出し、地下鉄駅構内をミニバイクで疾走させるアクション。
そんなトンガッている演出をしていますが、ジュールとシンシアの街歩きは穏やかな雰囲気を醸しています。
デート… のはずなんだけど、女主人と従者のような、憧れの女性と上手く距離が取れない少年の繊細さが現れている印象深いシーンです。
この部分以外がわりとガチャガチャしているから、中盤でいったん落ち着かせる。
緩急が効いています。
ストーリーのほうもテンポが良く、自分のバイクに重要な証拠品があるとは気づいていないジュールは、レコード店で万引きしたベトナム人少女アルバと仲良くなり、彼女に秘蔵の隠し撮りテープを貸してあげます。
アルバは保護者的彼氏のゴロディッシュにも聞かせてやり、そのためふたりも事件に巻き込まれることに。
ジュールたちより年上のため、ゴロディッシュがうまく立ち回ります。
とはいえ、ジュール自身も犯罪者なために事態は複雑に絡み合い、望まない方向に進んでいくスリルが観客を惹きつけます。
組織の黒幕がポーラたちの上司だと途中で分かったり、ジュールの隠し撮りを知っている台湾マフィアが海賊版発売を狙っていたり…
ジュールだけではなく、シンシアや刑事たちの先行きも気になる作りで、最後まで引っ張られました。
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