映画「マイ・ブルーベリー・ナイツ」あらすじと感想【ネタバレあり】恋の予兆から遠回り
「恋する惑星」など、香港映画界で活躍していたウオン・カーウァイ監督が初めて手掛けた英語作品です。
主演は歌手のノラ・ジョーンズ。
共演はジュード・ロウ。
レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマンなども出演しています。
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あらすじ
ニューヨーク・ブロンクス地区。
ジェレミーが経営している店「カフェ・クリーチ」に、エリザベスという女性が飛び込んできた。
この店のすぐ近くにあるアパルトマンに住んでいる彼氏が最近来たかどうかを尋ねる。
昨夜やってきたが、別の女性と一緒だったと聞いて、すぐ彼に電話して真相を問いただす。
新しい彼女が出来て捨てられたのだと分かったエリザベスは、捨て台詞を吐いて電話を切った。
ジェレミーに彼の部屋の鍵を渡して、またここに彼が来たら返しておいて、と頼んで荒々しく店を出て行った。
日を空けないうちにエリザベスはカフェに舞い戻り、彼は鍵を受け取りに来たか、と訊いてきた。
まだ来ていない、と聞かされてガックリするエリザベスに、ジェレミーはガラスケースの中でホール丸ごと売れ残ったブルーベリー・パイを見せる。
このブルーベリー・パイは人気がなく売れ残っている。
だけどそれはこのパイのせいじゃない。
美味しさに気づいてくれる人がいないだけなんだ。
そう言ってゴミ箱に捨てようとするジェレミーを制止し、エリザベスは一切れくれるように頼んだ。
バニラ・アイスクリームも添えてもらい、エリザベスは売れ残りのブルーベリー・パイを、今の自分と重ね合わせているように、じっくり咀嚼する。
そしてジェレミーはこの店に置いていかれた多数の鍵が入った瓶を見せる。
その鍵のひとつひとつに人生模様があった。
ここにはジェレミー自身の思い出の鍵も入っている。
このカフェの名前に使われている “クリーチ” は、ロシア語で “鍵” のことだ。
祖国に帰ってしまったロシア人女性・カティアとの思い出がジェレミーの心を占めていた。
ある日、店内の防犯カメラの調子が悪くて気にしていたところ、店の中で乱闘が起こってしまった。
ジェレミーは慌てて止めに入るが、ひとりが会計もせずに店外に逃げていったのを追いかけて負傷した。
鼻を抑えながらカフェに戻ると、同じ仕草のエリザベスもやってくる。
彼女は地下鉄で絡まれたのだという。
ふたり揃って鼻にティッシュを詰め、防犯カメラの話をする。
ジェレミーは、たまに防犯カメラが撮ったテープを見ては、自分はどれほど多くのことを見逃してきたのだろう、と考え込む時間を持っていた。
エリザベスも興味を持ち「見せて」と頼む。
元カレと今の彼女が、一緒にこの店で食事をしたときの様子が映っていた。
まだ吹っ切れていないエリザベスは膝を抱えて嗚咽し、ジェレミーはその肩を抱いた。
落ち着きを取り戻し、ジェレミーが差し出したブルーベリー・パイを、エリザベスは猛然と食す。
カウンターで寝落ちしたエリザベスの口の周りには、アイスクリームがついていた。
ジェレミーは自分の口でそれを拭い取った。
その夜、路上から元カレの部屋を見上げたエリザベスは、彼が新しい彼女と仲良くしている姿を見て、この別れを受け入れるため、別天地に向かう決心をする。
エリザベスは、テネシー州メンフィスで新たな生活を始めた。
忙しく立ち働く中で出会う人たちの人生と関わり、時折ジェレミーに手紙を書いて、心の再生を図っていく。
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感想
メンフィスでエリザベスは、昼はダイナー、夜はバーで働き詰めになります。
不眠症になってしまったので、元カレのことを思い出さないように忙しく立ち働くことにしたのです。
「これが最後の酒だ」と言いながら、いつもバーに来る客アーニーと話すようになります。
彼は人を寄せ付けない雰囲気を出している人ですが、エリザベスのことを気に入り、自分のことを話していきました。
彼は別居中の妻に未練を残しており、その寂しさからアルコールに溺れていたのです。
そんな彼も昼間は警官として働いており、ある日エリザベスが働いているダイナーに偶然立ち寄り、以来こちらにも顔を出すようになります。
そしてバーに、アーニーがいるとは知らない元妻のスー・リンがやってきました。
スー・リンに一生懸命話しかけるアーニーに、彼女は苦い顔をします。
もう縛られるのはイヤだ、自由になりたい、もう関わってこないで、と次々と不満をぶつけるスー・リンですが、アーニーは諦めきれません。
彼女の現在の彼氏に暴力をふるったことで、ついにスー・リンを激怒させます。
アーニーがスー・リンと知り合ったのは、17歳の彼女がハイになっていたところで声を掛けたことがきっかけでした。
警官と未成年の少女。
たぶん元々相手を束縛する傾向があった上に、年齢や立場で上下関係が初めからできていたことが、スー・リンの自由を奪う結婚生活になったのだと思います。
エリザベスの元にも、昼も夜も訪れるあたり、ちょっとしつこくて、束縛する人の特徴に当てはまりますし。
正直、息苦しいし、スー・リンがうんざりするのもよく分かります。
性別問わず、束縛は相手に嫌われるのでやめたほうがいいです。
閉塞感のある場所より、風通しのいい場所のほうが好きな人のほうが多いと思います。
人間関係でも同じですよね。
好きな人と常に一緒にいたい、という気持ちも理解できますが、本当にへばりつくように一緒にいたり、行動を制限させようとすれば反発されます。
浮気されそうで心配だから、なんて言って正当化しようとしても、相手の心はますます離れてしまうんだし、自分の我を通すことはやめて、相手の自由を奪わない勇気を持つほうが関係は長続きするでしょうね。
アーニーがたまに参加している断酒会では、参加者にカジノのチップを渡しています。
エリザベスは、アーニーが置いて行ったチップを眺めながら、気持ちをそらすことが依存症を克服する、と考えます。
元カレへの未練が依存症と重なる彼女にとって、ジェレミーが焼いたブルーベリー・パイが、このチップの役割なのかもしれない。
そんな手紙をジェレミーに書きました。
依存症の克服。
難しいテーマです。
人によって重さや期間などもまちまちですし、素人が簡単に “これが特効薬!”なんて言えません。
でもエリザベスがいう “気持ちをそらす” というのは、失恋などの落ち込みから立ち直る方法として有効だと思います。
失恋の傷は新しい恋で癒せ、は昔からよく聞くフレーズですね。
新しい恋じゃなくても、何か新しいことを始めてみたりして、他のことで気を紛らわせているうち、気が付くと立ち直っているものです。
時間が解決する、とは言いますが、ただ無為な時間ではダメなのです。
もし失恋したら…
思いっきり落ち込んだ後は、ニュータイプの自分に生まれ変わるつもりで、他のことに没頭するのが一番ですね。
失恋相手のことは、頑張って頭から追い出しましょう。
ライトの色彩感覚が、中国・香港などのアジア映画っぽいな、と感じました。
何と言うか、極彩色。
個人的には今、あまり香港映画を見なくなったので新鮮な感じでした。
エリザベスはメンフィスの後、また別の町に行き、さらにまたラスベガスまで行って、どんどんニューヨークから離れていきます。
なのでジェレミーとの時間って、すごく短いんです。
手紙を書いたり、電話で彼女の居所を探したり、と交流っぽいことはするのですが、恋愛に発展するにはスパンが短すぎないか?(;・∀・)
そもそも最初で二人の間に恋が生まれる予兆があったのに、エリザベスってば別天地を求めて姿を消しちゃうし。
恋愛より、主人公エリザベスの心の成長がメインテーマ、と見るのが正解のようです。
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