フランス映画「かげろう」あらすじと感想【ネタバレあり】プレッシャーと緩和
エマニュエル・ベアールとギャスパー・ウリエルが共演したアンドレ・テシネ監督作品です。
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あらすじ
1940年。
夫を亡くしたばかりの教師オディール。
二人の子供たちフィリップとカティと共に、パリを逃れて南仏に向かう。
同じように移動する人たちの中、車はノロノロとしか進まない。
そんなとき、ドイツ軍の空襲が行列を襲った。
小麦畑の中で身を潜めるが、フィリップがパニックになって駆けだしてしまう。
このままでは標的になる。
そのピンチを救ったのが、十七歳の少年イヴァンだった。
オディールは彼を訝しむが、子供たちは彼に懐いた。
行動を共にするようになり、家主がいなくなった豪邸で四人は暮らすようになる。
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感想
戦争によって夫を亡くし、一人で子供たちを守らなければならないオディールの張り詰めた心が手に取るように伝わってきます。
十三歳のフィリップは、そんな母を支えようという気持ちもあるのでしょうが、やはりまだ子供。
失敗もするし、甘っちょろい面もあり、全面的に頼るということができません。
そこに現れたのがイヴァン。
食料は調達するし、隠れ家は見つけるし……
まだ十七歳の少年だけど、この状況下でものすごく頼りになります。
だけどオディールは、彼をなかなか信用できずにいました。
教師のときは子供たちに「人を信用すること」と教えてきたのに。
戦争が、彼女の価値観すらも変えてしまったことが分かります。
水も食料も不足。
自分たちのことに手いっぱいで人を助ける余裕はなし。
そんなギリギリの精神状態は、隠れ家で生活していても見受けられました。
窓ガラスを一心不乱に磨く。
早足で歩き回って配膳をする。
とにかく忙しくして不安をかき消したかったのだろうな、と思えます。
たぶん彼女ももっと素直にイヴァンに甘えたかったのかもしれない。
そんな二人が徐々に心を許し合っていく過程が丁寧です。
そして起こる悲劇。
敗走してきた二人の兵士の存在が大きな転機になりました。
戦争の混乱に乗じて感化院から脱走してきていたイヴァンは捕まってしまい――
独房で首を吊った、というのが、ちょっと私は納得できないものでした。
生きることに貪欲だったように見えたから。
でも他人が何を考えているのか、表面だけでは分からない。
こんな悲劇もあったのではないか、と戦争の罪を考えさせられる映画でした。
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